7月15日2012/07/15 23:10

 金曜の昼、唐突に電話が来た。普通なら絶対出ないんだけど、たまたま少しヒマだったので、珍しく対応。その結果、はねはね殿と「ミッドウェー海戦」を研究することに。私の都合により、土曜の千葉会がその舞台となった。
 
 本当のところを言うと、今週末は引き籠もっている予定だった。日曜夜に予定がある上、コミケのカタログが発売されるから。私の場合、コミケカタログのチェックは異様に時間が掛かる。まず、「ゲーム(電源不要)のウォーゲームっぽいシマ」に代表される重要なエリアをチェック。これ自体はすぐ終わる。問題はその後で、何らかの事情により「ヘンテコなエリアに配置されているモノ」が無いかどうか、全体を浅く広くチェック。分厚いコミケカタログでコレをやるのはタイヘンだ。とはいえ、実際会場をうろつき回る(時間と体力の許す限りでやっているけれど)よりはずっとマシなので、仕方がない。更に、私の主戦場になるであろう企業ブース(ほぼ確実に突撃命令が出される)のチェックもある。正直言って、可能ならば余計なコトは考えたくないのだ。実際は色々あるんだけれど。
 
 ただまあ、誘われたからには受けるのがスジってモノでしょ。近所で入手したコミケカタログを担ぎ、電車内で難しい顔して読みながら千葉会の会場へと向かう。今回はウォーゲーム系の落選が多いようだなあ。うわ、企業ブースにヘンな新顔が…突撃命令出るのかな?だとすると色々ヤバいかもなあ。くそう、なんでオレの体は1つしかないんだ…ブツブツ…
 
 ちなみに、電話受けた直後には「何故F男?」と考えた。はねはね殿の交友関係から考えるに、相手してくれそうな人間は山ほどいると思うんだけど。極端な話、千葉会にぶらっと顔を出し、「ユニット切ってあるから、誰か相手してくれ~!」とアピールするだけで、誰かしら相手は見つかったはず。とはいえ、身も蓋もない研究をかなり突っ込んだ部分まで詰めようと思ったら、ソコまでつき合おうとする奴が貴重って意味で、私が最適なんだろうなと(笑)。
 
 早速ゲームを広げて研究開始。まず、私にルールのカン違いがあった。空母攻撃ディスプレイに描かれている、攻撃側航空機を配置するマスのスタック制限に関する件だ。私は当然のように1マス1駒しか置けないと思い、それがある種の投入制限を現しているんだなと思っていた。実際はスタック制限無しだった…う~ん、だったらこんなマス、1つにまとめた方がいいと思うんだけど。対空砲火も2回に分ける意味がわからない。いやね、最初が直援機の攻撃、次が対空砲や対空機銃…ってのはわかる。わかるけれど、ドッチも「ダイス1個振って○以下だと…」って処理なら、まとめても問題ないじゃん。意味のある違いがあるなら細かく処理させてもいいと思うけれど、そーゆーモノが無いのならば、簡略化すべきだと思う。この辺が「お説教ポイント」なんだよな。
 
 ルールに文句付けるのは適当に切り上げ、プレイ開始。陣営入れ替えたりして何度もやる。この日の私はなんか索敵チットの引きが悪く、3枚ある「効果無し」チットをやたら引いた(1回のプレイで2枚平均…)気がするけれど、なんとか勝ったり負けたり。一応「作戦研究」っぽいものを仕上げ、ついでに問題点も良くわかった…気がする。
 
 まずは作戦研究。米軍は単純。索敵して、敵空母が1隻「確度A」判定で見つかった時点で即攻撃。索敵精度を上げる意味ナシ。日本軍がミッドウェー島を必死に攻撃しているのなら、別空母のA判定を求めて索敵継続もありかな…って程度。攻撃に使う空母は、最も艦載機が生き残っているモノを選ぶ。間違っても数が少ないミッドウェー島航空隊を使ってはイケナイ。小破で終わった時のトドメに使うなら話は別だけどね。なお、敵攻撃隊の標的にされているからと言って、別空母を選ぶ意味ナシ。視認失敗して上空付近をうろついている敵攻撃隊がいたとしても、堂々と発艦準備しなさい。コレは大事なことです。
 
 日本軍の場合、ミッドウェー島を攻撃するのか、それとも敵空母を求めて索敵するのか…って問題がある。この答えも簡単。ミッドウェー島は最初無視して良い。敵空母を探すべき。索敵チットが不利?確かに。でも、ミッドウェー島を攻撃していると、その間に相手に索敵されまくる。だったら最初から索敵した方がまだマシだ。この「索敵合戦」は日本軍に不利だけど、だからどーした。他のコトするよりはマシだと思って開き直るしかない。
 
 こーやって空母同士で叩き合いをして、ミッドウェー島航空隊が「米軍最強の攻撃部隊」になるか、あるいは日本軍が「勝利得点的に勝てそうだ」と感じた時点で、ミッドウェー島攻撃を行う。義務なんだから仕方ない。もっとも、この時点で攻撃隊がボロボロで、ミッドウェー島を中破するために何度も反復攻撃しなきゃイケナイ場合もあるけれどね。後は得点稼ぎに敵空母にトドメ刺したり、勝ち逃げするため索敵(索敵チットが尽きたらゲームエンド)したり…ってな調整をしてゲームを終える。
 
 このゲームの問題点は端的に表せる。「二人用ソロプレイゲーム」なのだ。相手が何しようとも、何をしてこなくても、自分の行動にほとんど変化がない。させようがない。もし仮に変化させたんだとしたら、それは「死亡フラグ方向」ってコトになる。たまに「対空砲火に攻撃隊を墜とされて火力不足気味なので、発艦準備中を狙いたくなる」って時があるけれど、自軍がグダグダになって他にやりようが無くなってからのこと。駆け引きってレベルの話じゃない。私とはねはね殿の対戦だと、お互い「そーゆーものだ」と割り切って黙々と対応するけれど、普通は「貴重な週末を、こんな行為のために割いたのか!」って感情が湧くんじゃないかなあ。ソロプレイだったら、いちいちゲーム会に出掛けなくても出来るわけで。
 
 たまたま?千葉会に参加しておられた軍神殿は「空母同士の決戦だけ切り取ると、こうなるんだよ!」ってなコトを主張しておられたけれど、若干違う気がする。確かに基本的にはそんなモノだと思う。けど、普通のゲームはマップがあって機動部隊が「移動」するので、「敵を確実に捕捉するため、危険を承知で前進するのか、それともリスクを避けるため、とりあえず後方に下がるのか」ってな決断を下す余地がある。この辺が「見えない敵に対処する」って部分であり、空母戦の醍醐味って奴じゃないの?このゲームの敵空母は「見えない」のではなく「索敵って手順を踏まないと攻撃できない」だけの存在であり、ある意味ではミエミエである。白色彗星のド真ん中にいるので、まずは波動砲をピンポイント攻撃で当てて…って行為と変わらない。
 
 別に敵空母が「見えない」存在である必要は無い、という考え方も成り立つとは思う。脚を止めて殴り合って、何が悪い。そーゆーゲームは結構ある。けど、そーゆーコトをやらせたいだけなら、無駄に細かいルールは省いても良かったのでは?前回も書いたけれど、実際プレイしてみてやっぱり「無駄に細かいルールが多い」と感じたのは事実。プレイ時間短縮というより、「プレイ中にイライラを感じさせない」よう、省けるルール・手順はスッパリ省くべきだったと思う。
 
 ちなみに、1回のプレイ時間は30分。いちいち面倒な処理につき合わず、ルールに抵触しない範囲で簡略化した(例:攻撃隊は種類ごとにまとめて1つのマスに配置する)とはいえ、短いなあ。でもまあ、「移動がない」ゲームである以上、そんなもんかなと。もう少し状況判断がどうとか、相手の行動がこうとか…と悩むようなゲームならともかく、そーゆー要素がないんだもの。とはいえ、これはこのゲームの美点かな。私はプレイ時間の長短はあんまり気にしない方だけれども。
 
 私個人の総合評価としては、「おおむね思った通りのゲームだった」となるかな。悪い意味で期待を裏切る所がなかった。作戦面では思ったモノと少し違った結論が出たけれど、だからどーした。私は基本「陸戦の人」なのだ。海空戦には不慣れである、そんな私がルールその他を見ただけで、「このゲームの作戦はこうだ!」と見抜けるようじゃ、お話にもならん。
 
 ただ、何度も繰り返すようだけど、私やはねはね殿はどう考えても「このゲームのメインターゲット」ではない。大事なのはメインターゲット層がどう受け取るか、だ。そこについては…よくわからん。ただ、これだけは言える。「歴史に興味はないけれど、ゲームには興味がある」ってな層、平たく言うなら「ゲームマーケットに、ウォーゲーム以外のモノを求めて殺到する人間」に対しても、このゲームはイマイチと受け止められそうだと思われる。「ゲーム性」があーだこーだってのは色んな議論があるけれど、このゲームはそーゆー方向では「褒められたモノじゃない」ような。
 
 もっとも、「歴史好きにプレイしてもらう」ことを考えた場合、むしろゲーム性は邪魔になるのでは…って議論が成り立つ気がするのは事実。映画・小説・戦史記事に比べればはるかに「ゲーム性」があるのは間違いないので、比較対象がその辺だとすると、あまりゲーム性を持たせると「負担と感じてしまうのでは」って意見はあるような気はする。流石に「駄目」の一言で片付けられるようなモノじゃないな。その辺についてはそのうち意見が集まってくると思うので、その報告(どーせどっかから漏れ聞こえてくる)を待とうかと。
 
 我々ゲーマーは「初心者」なるものを画一的に考えがちだけれども、よく考えると我々よりもより多様性を持った存在である。人数が違う以上、そうなる。それを思えば、「何を強調して何を切り捨てるのか」は様々な答えがあってしかるべきだと思う。少なくともデータがない以上、色々試してみて反応を見るのは大事じゃないかな。私が知らないだけで、「メインターゲットにはこーゆーモノがウケる」って予想が成り立つだけの何かがあったのかも知れないし。ソコは私も評価したい。ただまあ、「その割にルールがヤヤコシイ」って部分は…不必要にヤヤコシイルールだと、不必要にヤヤコシイルールブックになりがちなんだよね。前者を直接敵視してるつもりはないけれど、後者は私の生涯の敵だ。そのため、この部分についてだけはしつこく文句を言わせてもらう。
 
 なお、「日本海海戦」のプレイ観戦もさせてもらった。これがねえ…ネタバレになるので詳細は避けるけれど、「想像以上に駄目だった」とだけ言わせてもらう。だってさぁ…

コメント

_ takoba39714 ― 2012/07/16 23:15

空母攻撃ディスプレイに関しては、なまじ我々がウォーゲーマーで色々知っているがゆえ、「?」って思っちゃいますね。
最初は私も全く同じ疑問を持ちました。
作ったご本人に確かめたわけではないですが、あれはビジュアル的に艦載機が寄ってたかって襲いかかるの図を見せるための手法なのではないかと思っています。
空母の上面図への拘りしかり、注意書しかり、ゲーマー的視点で考えたら不可思議だけど、ちょっと外して考えると、道理が見えることが多々ありそうです。

_ F男 ― 2012/07/17 00:45

「ゲーマー的常識」をリセットしてどうこう、という姿勢については、評価点だとは思います。ただ、「何故ソレが常識なのか」を考えてゆくと、安易に無視できないモノでもあるんですよね。その辺は難しい所だと思います。

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