1月28日2012/01/29 03:53

 〆切。とてもイヤな言葉だ。そいつと向き合っていたので、しばらく更新できなかった。ちなみに、商業誌に掲載されるモノではない。でも、〆切って言葉はイヤだ。色々わかっちゃいるんだけど、どうにもあのプレッシャーがね…
 
 本日の話題は、ガッツリ書くネタでいこう。まずは第1弾として、「空母戦雑感」。空母戦ゲームについて色々考える機会があったので、つれつれと書いてみようかと。なお、私は「空母戦ゲームはあまりプレイしない人」なので、色々至らないことを書いてしまうかも知れない。それを恐れて黙っているのも何なので、お読みの皆様側で「そんなもんだ」とご配慮いただければと。
 
 私は空母戦ゲームはほとんどプレイしない。何度かプレイしたことあるんだけど、どうにもガツンと来るモノがなかった。記憶にある限り、最初にプレイしたのは…確かエポック「シミュレーションゲーム入門2」についてる奴。米軍担当して、先に敵空母発見して攻撃隊を送り込んだところ、直援の零戦だか対空砲火だかに攻撃隊バタバタ墜とされ、アタマに来て第2次攻撃隊(何故そんなモノが残っていたのか、我ながら不明)を発艦準備させたトコロを日本軍に攻撃され、艦上で誘爆した攻撃隊のおかげもあって空母全滅。まあそんなものだ。
 
 その後は珊瑚海海戦で「タンカー10隻」(駆逐艦10隻かも。とにかく不自然な艦隊。ちなみに艦種誤認。)を発見して攻撃してみたり、マルタ島の航空部隊を残らず「海に捨てる」(燃料切れになるまで船団護衛に貼り付けた)り、…と、なんかヘンなプレイばかりしていたような。コレはコレで楽しかったし、キテレツなのはゲームがどうではなくプレイヤーが全面的に悪いとは思うんだけど、どうにもガツンと来なかったんだな。
 
 あまり印象が良くなかった理由?う~ん…多分、「面倒」だからだと思う。索敵して、その間に発艦準備のこと考えて、輸送船団動かして…と、とにかくやることが多い。事前に研究とかしてあればいいんだろうけど、そうじゃないと「状況に急かされてばかりで、作戦考えてる気がしない」ような。「よほど好きじゃないと出来ないなあ」とか思った記憶がある。
 
 そんな私が言うのは何だけど、空母戦って「面白いゲームになりにくい」戦いじゃないかと。まず問題なのが、「空母が強すぎる」って部分かな。ハッキリ言って、「片方にだけ空母がある」って状態は、全くゲームにならない。そのため結局は「空母が沈むかどうか」だけが問題の大味なゲームになりがちじゃないかと。
 
 余談だけど、この問題を解消する手段として、「空母が出てこない期間・空間をより多く含める」って手が考えられるのは事実。でも、問題の根本が「空母の強さ」にある以上、必ずしもうまく機能しない可能性がある。下手すると「空母戦の勝利に捧げるためのスケープゴート」を増やすだけになりかねない。
 
 空母が強すぎると言うのなら、逆に「空母だけ出せばいい」のでは?私もそう思っていた。先日の飲み会で、衝撃の台詞を聞くまでは。その時はさらっと流したけれど、後から考えるとスゴい発言だった。
 
 その発言とは…その昔ツクダから出た「航空母艦」についての発言。このゲームは「空母同士の決闘」だけを扱ったゲームである。色々問題はあるけれど、その点は確かに評価出来る。出来るんだけど…「結局どのシナリオも、空母の顔ぶれが違うだけでやってること同じなんですよね。」…そんな話だった。
 
 この発言のドコがスゴいのか?世の中には「戦術級全体にピンと来ない人」ってのがいる。そういう人が、たとえば空戦ゲームについて「零戦対ワイルドキャットも、紫電改対コルセアも、メッサーシュミット対スピットファイアも、フォッケウルフ対ムスタングも、結局やってるコト一緒だ」ってな趣旨の発言をするトコロは、何度か見ている。そのたびに私は心の中で、もしくは酒の進み具合によっては実際に「いや、全然違うでしょ」と叫んでいたモノだ。
 
 もし先ほどの発言がそーゆー方から出たのであれば、別にスゴい発言ではない。良くある話だ。そうじゃなくて、私以上に「戦術級大好き人間」であるtakoba39714殿の発言だから問題なのだ。戦術級が好きで兵器の細かい違いにこだわりを持ち、しかも空母戦大好きな人間をして「やってること同じ」と言わしめたのだ。
 
 この発言から導かれる、空母戦が面白くなりにくい問題点は、「空母って、実はキャラ立ちしてない」となる。「空母であること」そのものは他を圧倒するレベルなのに、空母同士ではあまり差がない…いや、米空母が頑丈だとか日本空母の艦載機は優秀だとか、違いはチャンとある。あるけれど、それがゲーム内での活用方法に影響を与えるほどじゃない。「10攻撃力あれば、まあ相手を破壊できる」時には、攻撃力が11か15かなんて、どーでもいい。空母間の違いは、結局その程度になってしまうようなのだ。
 
 単純に「対戦ツールとしてのゲーム」に出てくる駒として考えた場合、「空母以外と比較すると圧倒的に強いのに、空母同士だと差がない」って存在は、色々扱いに困る。他と戦うと弱い者イジメ、空母同士だと運勝負(実際には「先に見つけた方が勝ち」の索敵勝負)じゃあ、面白くするのが難しいよね。歴史の中には「知名度が高いくせに、ゲームにすると面白くなりそうもない戦い」ってのがいくつかあるけれど、空母戦もその仲間に入れていいんじゃないかって気がするくらいだ。
 
 にもかかわらず、「空母戦が好き」と公言する人間が少なからず存在するのは確か。じゃあ、そーゆー人達はどの部分を楽しんでいるのか?う~ん…これは私個人の想像だけど、そーゆー人達は実は「対戦ツール」としてどうこうって部分はあまり重視せず、「ゴッコ遊び」の対象として空母戦ゲームを楽しんでいるんじゃ…って気はする。ゴッコ遊びの対象としてどうこうってのは、陸戦ゲームでも結構重要な要素だと思う。私はその昔「シミュレーションゲームとは、将軍って立場の人間のロールプレイングゲームである」って主張していたくらいだ。ただ、空母戦ゲームの場合、その比重が陸戦ゲームより高いのではないか。
 
 ただ…この考えを突き詰めてゆくと、「何故ボードウォーゲームで空母戦を楽しむ必要があるのか」って話になると思う。ゴッコ遊びって、結構PCゲームと相性良いと思うんだよね。ビジュアルなどの演出面はどう考えても上だし、納得いく結果が得られるまで思う存分つき合わせられるし。元々「空母戦ゲームは電脳系でやればいい」とは言われていたんだけど、その理由は索敵システムうんぬんだけじゃないのかも。
 
 更に言うのなら、実は空母戦ゲームって、テーブルトークRPGの手法が応用できるのかもしれない。つまり、「ゲームマスターって地位の人間がいて当たり前」ってモノにしてしまえるのではないかと。空母戦のような「索敵が問題となるゲーム」って、「審判を用意したいんだけど、そんなものを喜んで引き受けてくれる物好きを探すのはタイヘンだ」って問題があり、それは解決不能だろうと思われていたけれど、実は審判=ゲームマスターだととらえ、審判必須にしてもいいのでは。それだと2人だけじゃプレイできない?そんなことはない。1人が日本軍なり米軍なりを担当し、もう片方がGMとなり、残った方を操ればいい。戦闘解決の際のダイスは「オープンダイス」(プレイヤーに結果を見せるようにダイスを振ること)にしてしまえば、よほどのことがない限り勝ち負けで揉めることは避けられるのでは?って気がするし。
 
 まあ、実際はこんなゲームをデザインするのは難しいとは思う。ただ、ソロ専用ゲームを2人でやるとこんな感じになる(「アンブッシュ!」で経験済み)ので、1つのアイデアとしてはあるのかもしれない。
 
 もっとも、このアイデア最大の難点は、いわゆる古株のウォーゲーマーのうちかなりの割合が「RPG嫌い」だってことではないか。過去のトラウマというか何と言うか…を引きずっている人って、少なくないと思うので。ま、しょせん空母戦そんなに好きじゃない人間の戯れ言なので、どーでもいいことではあるんだけど。

1月29日2012/01/29 23:12

 本日は、長らく放置していたネタ「第2回SLG-CON」について。色々振り返るのは大事なことだから、ガッツリ書きます。
 
 「初心者にボードSLGを楽しむキッカケを与える」ことを目的として行われているSLG-CON。何故か私は一応「運営側」の人間ってコトになっている。私がそんな立場で良いのかどうかは果てしなく疑問だけど、誰も面と向かって文句を言ってこないので、とりあえずは良しとしてある。
 
 実際の会場の様子については、ゲーマーSNS「Must Attack」などにレポートが山ほど掲載されたので、詳細は割愛する。前回は「明らかに人数多すぎてスタッフ機能が停止同然」って事態に陥ったけれど、今回はそんなコトもなく、「良い」イベントだったのかなと。良かった…と言うよりは、「ほっとした」ってトコロかな。
 
 とまあ、イチ参加者目線で語るだけならこれだけでいい。それで済ますつもりなら、ココまで引っ張らなかった。私は一応スタッフって立場なんだから、より細かい部分についても語っておかないとね。なお、コレはあくまで私個人の見解であり、「SLG-CONスタッフ全体の見解」とは別物である。その点はご注意下さい。
 
 まず気になったのは、「参加人数が減った」という事実。前回がイジョーであり、今回ぐらいが適性だったのは事実だ。しかし、それでも「減った」という事実は無視できない。季節要因(今回は寒くて外出しにくかった)やら何やらあるんだろうけど、今後を考えると楽観は出来ない。原因分析や対策なども含め、キチンと向き合っていかなければイケナイのでは。
 
 もう1つ気になったのは、やはり「あのような対応で良かったのか?」って部分。そもそもノウハウがないトコロから手探りでやってゆくしか無いイベントなので、良い悪いを論じようにも、正解が無い。どうしても「その場しのぎのアドリブ中心」になる。それはわかっている。とはいえ、だからって開き直って「コレで良いんだ!」って気持ちになるようじゃ、色々マズいでしょ。具体的に改善すべき点が指摘されたワケじゃないけれど、やはり心のどこかに「もっと良い対応が出来たのでは?」ってエクスキューズを持っておきたいと思うな。
 
 ただまあ、一応ではあるけれど、「前回の対応はあまり間違っていなかったらしい」ってな根拠が見つかった。前回私がお相手した方が、今回も顔を見せてくれたのだ。「二度と来るものか」と思われていたらどうしよう…って不安はあったので、ちょっと安心した。理屈から言えば、常識的な対応が出来ていれば、ソコまで悪く思われることはない…ってのはあるけれど、自分の人間的魅力とやらはあまり信用してないので、どうしても不安はあるんだよね。だいたい、「そもそもF男なんぞが初心者勧誘の場でスタッフ扱いされているのは、どうかと」って思いがあったりするくらいだ。
 
 とはいえ、やはり「う~ん…」って部分はあった気がする。今回、私は「どうやったら勝てるようになるのか、知りたい」って方のお相手を務めたんだけど、キチンとそーゆーモノを伝えられたのかどうか、はなはだ疑問だ。いや、気持ちはわかる。私も過去に似たようなコトを上級者相手につぶやいた記憶がある。私なりに考えて「日露大戦」で表裏対戦して、「こういうトコロに注意した方がいい」って部分を指摘して…ってコトをやってみたんだけど、それが適切な方法だったのか、上手く伝わったのか、正直自信はない。
 
 私が知っている「どうやったら勝てるようになるのか」って方法論は1つ。実戦経験を積んで、血を流して覚える。それだけ。いつか一人前のゲーマーになるんだ!って野望(コレがないと心が折れちゃう)を持ち、なんか怪しげな手を工夫して上級者に挑み、ボコボコにされる。そんでもって、「ドコがいけなかったのかなあ…」と反省し、自分なりにこうすれば良いんじゃねえかって手(大抵的外れ)を考え、また上級者に挑んで…の繰り返し。今から考えると、極めて効率は悪かったような。何故途中で投げ出す気にならなかったのか、当時の自分に聞いてみたいくらいだ。
 
 今から考えると、自力でウォーゲームの魅力を引き出せる程度の技量に達すれば、こういうやり方でも問題ないような。同じ負けでも、「前回より少しは上達した」って手応えが出てきたのは、こうなってから後の話って気がするので。けれど、それ以前の段階では、やはりキチンと教えてもらった方が良かったんじゃないかなあ。少なくとも、その方が効率良いと思う。
 
 この世界には、「初心者だからって、簡単なゲームをやらせるのは間違いだ」と主張する人間が少なからずいるんだけど、そういう方は「初心者」と「初級者」を混同していると思う。一般人にもわかりやすい例で言えば、「スキー靴を履いたことがない」って人間が初心者だ。そいつがいかに運動神経良くても、まずは「歩き方・転び方」を教えて…って話になるでしょ。そうじゃないと、リフトすらマトモに乗せられない。ミッチリ懇切丁寧に教える必要があるのかどうかはともかく、とりあえず「コレならリフトに乗せられる」って段階に達していると誰かが認定する必要がある。そうじゃないと当人もつまらないだろうし、周囲だって迷惑だ。
 
 SLG-CONってのは、とりあえずの目標として「スキーで言えば、リフトに乗って良いという許可」にあたる部分、つまり「こうやって戦えば良い」という基礎部分(ホントに基礎でいい)を教えるってコトがあると思う。ソコまでは手伝いが必要だと思うので、専門の人間を用意しますよ、それを習得した後は、実は結構難しいゲームでも「動かせる」ようにはなる(勝てるかどうかは別問題)から、ゲームサークルの例会とかに顔出しても大丈夫ですよ…ってワケだ。ソコを端折ると、今の若い人間はついて来ないんじゃないかと。「昭和の時代」ならともかく。
 
 もっとも…そこまではわかっていても、実際やれと言われたら…色々厳しいのはわかっている。けれどまあ、誰かがやらなきゃいけない気はするね。「そう思うんだったらお前がやれ」って声?にお応えする意味で、私はSLG-CONのスタッフやっているわけだ。適切な人材かどうかはさておき。
 
 ちなみに、今まで誤魔化してきたけれど、私がSLG-CONのスタッフに立候補したのは他にも理由がある。私の戦友でもあったしのはら殿がスタッフだったからだ。私ごときが彼の穴埋めを出来るワケじゃないけれど、とりあえず何か受け継ぎたいなと思って。だから…どんなに辛くても苦悩しても、無責任に投げ出すようなことは出来ないんですよ。義理人情の話だから。とはいえ、そんな古い考えの持ち主が、若い奴にゲーム教えるコトなんてできるのかねえ…ブツブツ…