8月15日2011/08/16 03:46

 唐突に復活。コミケ後だし。つーわけで、コミケレポートなんぞ。今回は一応細かいトコロまで触れようかなと。
 
 私は基本「買い出し部隊」に分類されている。どこかの誰かの指令を受け、色々買ってくるわけだ。報酬はサークル入場券。場合によっては「別の人に別のモノ買ってきてくれと頼める」場合もあるけれど、私が欲しいモノは「他人様に頼めるようなモノじゃない」ので、あまり関係がない。冬に「カレンダー求めて企業ブースに突撃する」って習性がある関係上、企業中心に攻略命令が下されるコトが多い。これはまあいいんだけど…
 
 今回もいくつか指令を受けたんだけど、リストを見た瞬間「コレはヤバそうだ」と感じたトコロが2つあった。アニプレックスとまんがタイムきらら。両方とも「エロじゃない」ってのがミソ。最近はソフトなモノの方が「ヤバい」んだよ。一応長いこと企業ブースに突撃しているので、「どれぐらいヤバいのか」は無駄に勘が働く。外れることも多いけど、ある程度は信用できるんだな。
 
 アニプレックスに警戒信号出した最大の理由は、「ネタ」かなあ。「魔法少女まどか☆マギカ」絡みだから。コレは基本的にヤバい。ゲームマーケットの国際通信社ブースに置いてあった、このネタの同人ゲームにさえ「危ない」と感じ、実際スゴいことになっていた。まんがタイムきららの方は、ネタ(コッチにも「まどマギ」ネタアリ)に加え、「出版社系だ」ってのも警戒理由。出版社の社員って「偉い」(差別用語です)ので、コミケにやってくるのはペーペー。しかも、大半が「コミケなんて来たことない」連中。その練度は、銀狐作戦に投入されたSS「ノルト」並み。混雑をさばくためのノウハウが皆無なので、訪れる人数の割に行列の消化が悪いときたもんだ。毎度毎度楽じゃない指令が下されるんだけど、今回は特にキツいか?と感じた。
 
 しかも、初日の朝イチは「企業じゃなく、同人からスタートしてくれ」って指令が…行列の長さだけ考えたら、朝イチは混みそうなトコロに突撃するのが正しい。けれど、売り切れが絡むとそうも言ってられないんだよね。オマケにだ。「ついででいいから」ってなコメント付きで、コミケ有数の大行列サークルの指定まで…私の直属の上司(直接指令を下す人)は事情知っているので、「アソコはついでで何とかなるような場所じゃない」って話はしてくれたようだけど、ソコはまあ、色々ありまして。「無理して行かなくていい」ということにはなったけれど、まさか「かったるいから」で省略するワケにはいかない。まいったね。
 
 ひととおり指令を受けた後は、私の裁量で回る順番などを決める。私自身の買い物もあるし。優先度とか売り切れとか行列の長さとか考えなきゃイケナイので、楽じゃない。ある意味経験と勘が重要なんですよ。私がたてた行動計画は以下の通り。
 
 初日。「朝イチに買ってこい」と指定されたのは「ゲーム(電源不要)」。よってコレを入手した後は私自身の買い物をすべくこのジャンルに留まり、その後企業へ行き、クソ面倒くさそうなアニプレックス&まんがタイムきらら「以外の」企業(自分のモノ含む)を片付ける。この後体力に余裕があったならば東館へ行き、FC(少女)で便せん漁り。会場を出た後は「第1次品物受け渡し」がある。
 
 2日目。アニプレックスとまんがタイムきららを片付ける。どちらを先にするかは当日の人の流れ次第。その後東館へ行ってスポーツを物色、余裕があるなら音源CDも何とかしたい。ただ、翌日に備えるため、早めの離脱を心がける。
 
 3日目。「コミケ最悪の戦場」の1つにアタック。早め早めの行動を心がければ、さほど惨いことにはならないはず…その後は同じ東館にあるメカミリ旅行と評論を物色し、連絡通路が空く昼前ぐらいに西館へ移動、「ヒマだったら」と依頼されていたイラスト集と、創作(少年)に居を構える速水螺旋人先生&M.WOLVERNE先生のトコロでお買い物。後は会場内で「最終品物受け渡し」をして、コミケ終了。
 
 実際どーなったか?まず初日。「朝イチで買ってこい」と指定のあった場所を事前偵察し、「アレなら大楽勝、怖いのは売り切れだけ」だと判断。よって、開始までさいたまオフライン殿のスペースでまったり過ごしていました。だって、近いんだもの。決して怠けていたワケじゃない。もちろん、開始と同時に目標へ突撃しましたよ。ところが、思ったより人が集まった。対応や顔色から判断するに、これはサークルの人間や周囲のコミケスタッフにとっても「想定外」だったようだ。おそらく、「すぐ売り切れちゃいそうな品」があったからだろう。とはいえ、問題になるほどじゃない。売り切れ警戒の品も含めてひととおりゲット。
 
 その後はウォーゲーム系を。朝のうちにひととおり巡回して挨拶済みだったので、サクサクお買い物。書きたいことだらけなので、ココの詳細は後日ってことで。ただまあ、今回は「公式な取材じゃない」ので、ちょっと手抜き気味だったかな。
 
 ゲーム系を片付けた後は、企業へ突撃。すさまじい行列がそこかしこに…ただ、長さに騙されてはいけない。「長いけど消化が良い」「短いけど消化が悪い」なんてのは良くある話。更に「売り切れる危険性がどれくらいあるのか」なんてコトも考えつつ、回る順番を考える必要がある。ざっと観察した結果…アニプレックスの列は予想以上。この時点であそこに並んだら、他は全く買えなくなる…ってレベル。後に判明した情報によると、どうやらこの時点でもう「買えないから並んでも無駄」と列が切られていたらしい。しかも最悪4時間待ちだったようだ。まさに「最悪の戦場」。まんがタイムきららも「駄目」。列消化の悪さでは定評のある出版社系なのに、ものすご~く長い列が。よって、この2つは2日目以降に回し、他を片付けることに。
 
 ここでの特筆事項は2つかな。まずはニトロプラス。「まどマギ」小説本に購入指令があり、私自身も購入予定に入れていた。それはいいんだけど、思ったより分量があった…読み応えありそうなのは良いんだけど、重たいんだよね。早い段階で購入してしまい、その後運び続ける羽目に。もう1つはオーガスト。ヲタク一般にはエロゲーメーカー扱いされているけれど、私に言わせれば音楽とカレンダーのトコロ。自分の分としてサントラ集買ったのはいいんだけど、これまた重い…なんか値段が高いので「おいおい、値上げか?」と思っていたら、単にCD5枚組だから高いだけだった…ソレは聞いてない。過去の傾向などから言ってせいぜい3枚組だと思っていたのに。
 
 企業を「片付ける」途中、一休みを兼ねてFC(少女)で恒例の便せん漁りもしました。購入したいモノが「売り切れそうな品」じゃない場合、あえて人気商品が売り切れたタイミングを見計らって突撃した方が楽に買えるんだよね。特に「エロゲーのサントラ集が欲しい時は、抱き枕カバーが売り切れてから」ってのは重要です(苦笑)。ただ、今回は便せん不作。元々「便せんは21日のコミティアに回す」と思っていたけど、ちと寂しい…
 
 2日目にいこう。この日のオープニングは企業。アニプレックスとまんがタイムきららを片付けたいところだけど、両方ともシャレじゃ済まない。売り切れの関係で3日目に引きずることも覚悟していた。どっちを先にするかは悩みどころだったけど、朝っぱらからアニプレックスの列がシャレじゃ済まなそうな雰囲気を漂わせていたので、コッチを先にする。これだとまんがタイムきららの売り切れが心配だな…と思っていたけれど、それは杞憂だった。私が到着した時点で、注文された品は完全完売(3日目に回しても無駄)だったので。多分アレは初日で完全完売だな…っておい、2日目以降にコミケ来た奴は全く買えないってコトかよ!普通はこうならないように2日目・3日目用の品は別にしておくんだけど、それを投入しちゃったようだ。いやまあ、出版社系ってそーゆーコトやらかしかねない連中ではあるんだけどさあ。事情説明したら笑って許してもらえたけれど、私にもプライドってモノがある。カンベンしてくれ。
 
 アニプレックスでも「失敗」やらかした。前日さいたまオフライン代表の菅原殿から「警告」を受けていたにもかかわらず、追加で注文が入った「魔法少女まどか☆マギカプロダクションノート」を自分の分も購入してしまったのだ…モノとしてはいいと思う。けど、重いんだよ…「辞典」とは聞いていたので小辞典クラスを覚悟していたんだけど、まさか中辞典より重い(我が家の辞典比)とは…
 
 企業を片付けた後は、スポーツへ。お目当ては競馬系。この日の東館は「東方」という殺人的なジャンル(ものすごい人混みを形成する)があるので、できれば足を踏み入れたくなかったんだけど、競馬同人誌のためならそんなコトは言ってられない。あんぶる殿の「普通はやらない競馬場巡り」があるし。今回は「あまり遠征できなかった」とおっしゃっていたけれど、震災があったことを考えれば仕方ないかなと。我々も影響受けたし。ブツブツ…
 
 せっかく東館まで来たんだから…と、音源もチェックした。特筆事項は1つかな。何のアレンジもヒネリもなく、推定だけど打ち込みなどではなく生ピアノのクラシック曲(ラヴェルのピアノ組曲「クープランの墓」)のCDがあった…名手名人の演奏を入手する手段が山ほどあるこのジャンルに、こういうモノをぶつけるとはいい度胸だ。ただまあ、売り子の方にコレを実際口に出して伝えてしまった以上、「批判を言うなら買え」という私のポリシーに従って買うしかないよね。なお、より安かった「亡き女王のためのパヴァーヌ」じゃなくてコッチにしたのは、私なりのこだわりである。
 
 この日は早めに切り上げて…という予定で、実際早めに切り上げたんだけど、「メインレースに間に合うなあ」と考えてしまいました。気がつくと何故か後楽園にいて、クイーンSの馬券を持っていた…アヴェンチュラ単勝でいいのに、つい欲出してアプリコットフィズとの馬連にしたのが…腹いせに?秋葉原まで繰り出し、こみっく☆トレジャー(9月4日インテックス大阪)のカタログを入手。今回は国際通信社もいないことだし、行く必要は無さそうだ…と思っていたけれど、諸般の事情(後日説明)により遠征決定…駄目だオレ。
 
 3日目。「コミケ最悪の戦場」の1つに突撃指令。結果的にまんがタイムきららが「片付いた」ので、アタックする余裕がある。ならば行くのが「下っ端」の勤め。サークル入場券があるので、そこまで惨いことにはならない…んだけど、代償も小さくない。確かに、「列に並んで日差しに照らされつつ立ち続ける」なんてことはしなくていい。その代わり、早起きするのはいいとして、会場に着いたら「各サークルへの行列を形成する場所へ行くための行列」が形成されそうな場所(一応決まっている)付近を、荷物持ったままウロウロし続けなければならない…立ち止まっているとコミケスタッフに追い払われる、って決まりがあるのだ。荷物受け渡しがある関係で「辞書」担いでコレやらなきゃイケナイんだから、楽じゃねえ。でも、炎天下で2時間(場合によってはもっと)並ぶよりはマシ。
 
 体力削って「まあこんなモノだ」って位置を確保したおかげで、ここは20分で片付ける。残る指令は西館に行って…しかし、この時間に連絡通路を通ろうとするのは自殺行為。通行規制かけられて全く動けない可能性が高いからだ。そこで、東館での「自分の買い物」を少しやっておく。まずはそれなりの行列を作るエロ系サークル「FrendlySky」に。「少女兵器大戦」「Battleship Girl」のZECO先生のトコロだから。どーせお目当ての品(ZECO先生の作品)はないと思うけど、それは知ったコトではない。「この業界」を見捨てて別のトコロに行っちゃわないで欲しいなあ…と思っても、私に出来ることなんてこれぐらいだからだ。実はエロ系はこれだけ。企業で仕入れたモノも、エロ系ではあってもエロくないモノばかり(夏だと半分が音源。ちなみに冬はカレンダーばかり)だからなあ。正直、「とらのあな」だの「メロンブックス」だので買えるモノを、コミケで入手する必要は無いと思う。ココでしか入手できないモノが山ほどあるってのに。
 
 次に向かったのは、まずメカミリ。特筆すべきは「Wrecked Panzer in Russia」かな。以前コマンド誌でも紹介した「ゆめみ~あい別館」殿の品で、41~42年に独軍に撃破されて放棄された赤軍戦車の写真集。今年は独ソ戦開始70周年だからね。撮影地点(=撃破地点)を戦況図で紹介し、更に元の所属部隊(推定だけど)にまで言及するという、ゲーマーに嬉しい仕様。こういう同人誌を出してくれるサークルを「応援」することは、色んな意味で大事だと思うんだけどな。
 
 あと、小林源文先生もこのジャンルに。「黒騎士物語外伝」と「バルバロッサ作戦」が再版されていたので、つい両方とも…うんうん、やはり小林先生の描く戦場は迫力があってイイ。またゲーム雑誌で仕事してくれないかなあ。頼み方次第では何とかなると思うんだけど…
 
 評論系も私の定番。あえて紹介したいのは「非電源卓上ゲームにおける聴覚的演出の添加案」かなあ。目の付け所は面白いと思うけれど、流石に色々甘いかな。要は「そーゆー要素を付け加えると面白いのでは」って提案に留まっているので。真面目な話、目の前に対戦相手がいる関係上、会話や歓声・悲鳴といった「音を伴う人間的な反応」を楽しむことが出来る…ってのは、非電源卓上ゲームが電源ゲームより優れている点ではないかと。他にもBGM(映像作品を代用にすることもある)流してみたり、ダイス振る時の音にこだわってみたり…と、「実践例」は山ほど考えられると思うな。更に言うなら、テーブルトークRPGから「会話」という聴覚情報を取り除くのは無意味だし、「会話以外の音が重要な意味を持つ卓上ゲーム」でさえ、既にいくつかあると思うぞ。研究が甘い!ただ、これを相手に向かって伝えようと思ったら、私のポリシーに従って買わなきゃイケナイ…
 
 そろそろ西館への通路が空いてきたかな…ってんで西館へ。指令が下されていたイラスト集を買った後は、速水螺旋人先生とM.WOLVERNE先生のトコロへ。「日ごろの感謝」を伝える良い機会なので、やはり足を運んでおきたいもの。なお、本来ならば創作(少女)で便せん漁りをするんだけど、どーせ21日のコミティアに行く関係上、思い切って省略。
 
 私の買い物関連以外の話を1つ紹介しましょ。2日目アニプレックスの列に並んでいる時見かけたコスプレイヤーの話。「まどマギ」のほむらの格好してたんだけど、すげー似てた。何が似てるって、やさぐれたトコロが(笑)。まあ気持ちはわかる。私も「アニプレックス3周してきて」って指令が来たら、同じくらいやさぐれたと思う。
 
 今回は、「指令下された品を入手し損ねる」という、本来あってはならないコトをやらかしてしまった。ある程度やむを得ないことだとわかっちゃいるけれど、すごく口惜しい。前回もパチスロ系で同じコトやらかしているだけに、余計口惜しい。とはいえ、いい対策があるワケじゃないんだよね…体力や私自身の買い物も含めて考えると、色々限界はあるわけで。ただまあ、次こそこんなコトがないよう、精進しないと。
 
 コミケが終わると、「夏も終わりだねえ」という雰囲気になる…はずなんだけど、今回は翌週のコミティアに参戦予定で、更に9月アタマに大阪行きの予定。「まだまだ戦わなきゃ」って感がありますね。「永遠の旅人、ヲタクに休息はなかったのである」(大木毅・鹿内靖共著「鉄十字の軌跡」より引用)ってトコロですか。トホホ…

8月20日2011/08/20 23:18

 ヴィクトワールピサについては後日。なんつーか…今は色々言葉になりません。少し立ち直る時間を下さい。
 
 コミケ戦果、ゲーム編。分量が多くなりそうなので、独立させました。コマンド誌には絶対書かないことを中心にお届けします。と言っても、今回のレポートがコマンド誌に載ることはないから、そーゆーネタもここで扱うわけだけれど。なお今回は完全敬称略です。悪しからず。
 
 今回真っ先に紹介すべきは、2011(CM76-CM80)」(TNG 初日西つ-11a)かな。ゲーム(電源不要)のサークル配置データを紹介したもの。大半のゲーマーには無用の長物だけど、私のような「ちょっと特別な興味を持つ人間」にとっては有り難いシロモノ。個別のゲームを紹介する前に、全体を俯瞰する意味でこの本から入ってみた。ちなみに、CM76は一応私が「コミケレポート」なるものを最初に書いた回。それから今回のCM80 までのデータが掲載されている。どう考えてもマニアックなモノだけど、「一度はコマンド誌に載せてやる」と意気込んでいたんだけどなあ(笑)。
 
 この同人誌を見ればわかるんだけど、ゲーム(電源不要)の中のサブジャンルに、「SLG」というモノがある。にもかかわらず、実のところ「SLGを扱っているか否か」は、サブジャンルだけでは判断できない。例を出そう。今回のCM80において、サブジャンル「SLG」って区分で出展したサークルは8つとなっている。しかしながら、実際はもう少し多い。少なくとも「SLGamer」のさいたまオフラインが含まれていないのだから、「そーゆー分類をするのはF男だけ」って話ではなく、「実態と違う」と断言していいのでは。
 
 何故このような「食い違い」が生じるのか?単純に「実態に即している」かどうかで言えば、私の持っているデータの方だと思う。それが、「SLGがあるかも」ってだけでコミケ会場を飛び回っている人間の強みってことで。ただ、このやり方でゲーム(電源不要)全体を俯瞰するのは、ハッキリ言って不可能でしょ。私だってSLG限定という「ものすごく幅の狭い範囲」だから「足を使った取材」ができるのであって、よりサークル数の多いTRPGやカードゲーム等も含めてそれをやれって言われたら、逃げ出す。少なくとも依頼してきた奴に「公式の取材許可証もらってから来い!話はそれからだ。」と伝えるね。マジに。ちなみに、コマンド誌からそんなモノを支給された覚えはない。
 
 こういう食い違いがあったからと言って、買う側は別に問題ない…というワケでもない。これは推測だけど、コミケを主催する側が各サークルを「どのサブジャンルに分類しているのか」は、むしろ 「電源不要同人クロニクル」の持っているデータに近いと思われる。そのため、「他のSLG系サークルと離れた位置に配置された」とか、「他のSLG系サークルより当選確率がやたら低い」といった「ちょっとした不都合」が生じる可能性がある。これらは当然買い手にも色々影響してくるわけだ。
 
 実を言えばこの「サブジャンルの不一致」って現象については、以前から「どうもそーなっていそうだ」と推測はしていた。とはいえ、これは「マイナージャンル故の悲哀」とか、「各サークルの生き残り戦略」などが絡んだ結果こうなったと思われるので、今更是正もへったくれもないとは思う。ただ、似たような現象はゲームマーケットでは見られなかったことを考えると、「コミケという場でSLG系サークルが生き残ってゆく方法」なんてコトを考察しようと思ったら、それなりの意味を持ってくるのかも知れない。
 
 この問題に関しては、現状では「私の推測に対し、ある程度の裏付けが取れた」だけで満足しようと思う。主に私の好奇心を満足させるため、より細かい調査に挑戦するとは思うけど、せいぜいが「そういう機会があったら」って話になるかな。現状では何の役に立つのか、ハッキリしない問題に過ぎないし。
 
 とまあ、全体の傾向に関するお堅い話はここまでとしよう。お楽しみ?の個別紹介に行ってみよう。今回イチ押しは何と言っても「F-16ファイティングファルコン」でしょ!昔エポックの「シミュレーションゲーム入門2」についていた同ゲームが、「勝手に再版シリーズ」として復活だ。複数のサークルから「アレはいい」って趣旨のコメントを聞いたくらいだ。よくぞ再版してくれた。賞賛に値する。ちなみに発行はStudio Pirates、コミケでは東方大隊(初日西つー4b)。なお、東方大隊発行のAvalanche Press特集はまたもや完結せず…私は最後までつき合うので、頑張って下さい。今回はPanzer Grenadier編。あと、ソロ空戦ゲーム「Phantom Leader」のルール和訳もありました。
 
 今回色々お世話になったさいたまオフライン(初日西つ-5a)。「SLGamer」のvol.3が出ていました。精力的な活動は頭が下がります。今回の付録ゲームは「関ヶ原総進撃」。記事の特集も当然関ヶ原。ゲームだけじゃなくて記事もしっかりしているトコロは素晴らしいです。あと、ド硬派同人誌「The Last Stand」(コマンド誌に連載を持つ鈴木拓也氏の同人誌)も委託で出ていました。
 
 ハードなゲームが好みという方、Technical Term(初日西て-4b)のフリートシリーズは如何?今回は中東が舞台の「Arabistern Fleet」。ただ…実は中東の海軍って、弱小なトコロ中心なのよね。そこでマップを東方向に広く取って、インドVSパキスタンの戦いも扱っています。インド海軍の戦力は強力ですなあ。コレに対し、イラン海・空軍の戦力の弱いこと…「マトモに動くのか?」って疑問がある、革命前に買った航空機含めてコレだからなあ。なお、次回はイスラエル周辺を扱う予定で、今回のマップとの連結も視野に入れているとか。
 
 第二次大戦陸戦モノじゃなきゃつまらん?そんな方は商業誌だけ相手にしていれば…ってワケでもありません。2015年紀解読委員会(初日西て-3a)の「蕋江作戦」が二次大戦陸戦モノです。日本軍対重慶軍(国民党)だけど。ポイントトゥポイントシステムで、45年4月の支那派遣軍最後の攻勢作戦を扱っています。こういうテーマのゲームこそ、「ウォーゲーム日本史」の付録ゲームに…するわけないか(笑)。
 
 複数の同人サークルから「あのコンポーネントは凄い」という賞賛の声が聞かれた、マケドニア本舗(初日西て-3b)の「軍艦越後の戦いDX」。今回は追加ユニットが1シート分出ていました。本体をお持ちの方は是非入手したいところですね。
 
 後はSLGと言うよりは「境界のゲーム」になるのかな。とはいえ、そーゆーモノも積極的に取り上げるのが私のポリシー。このジャンルイチ押しは何と言っても「高速鉄道を埋めよう!」(芸無工房LOSERDOGS:初日西て-6a)…デザイナーズノート?にある「今は反省している」の一言が全てを言い表しています。このノリ、私は好きだな。
 
 昔懐かしタンクバスターのルールを使ったのが、「タンクバスターマクロス」(Gカンパニー:初日西つー3b)。何故マクロス。ただ、この手のゲームのネタは、ヤマト・ガンダム・マクロスが「3強」だと思う。作者の年代とか色々あるんだろうな。
 
 こういうモノも評価できる私でありたい。オペレーションミラージュ(初日西て-4a)の「とある爆撃機の尾部銃座」は、米軍のB-17を操って戦略爆撃を成功させる…ってゲーム。プレイヤーは全員同じ機体の乗員を操り、力を合わせて爆撃を成功させて帰還することを目指す…ってのがミソ。「野獣げぇまぁ」の徳岡氏が喜びそうなシステムじゃないかと。これもまた立派な「シミュレーションゲーム」だと思う。
 
 あと、油断しまくってサークル名が不明(奥付に書いてあるかと思ったら、何もなかった…)なんだけど、「宇宙戦艦ヤマトカードゲーム」なるものも入手。ネタがヤマトなので。プレイヤーはヤマト…ではなく、その敵役(苦笑)。「地球を攻撃したのはお前か!」てな理由で攻撃してくるヤマトを迎え撃ったり、言い訳して他人のトコロに行ってもらう…ってゲーム。ミョーなキャラ付けが楽しい。
 
 3日目のメカミリに居を構えていた、「みことが!命別館」(3日目東Y-46a)のゲームについても触れておきましょ。1人用の「レイテ湾の咆哮」「帝都大戦」ってゲームを出していました。まだルールブックも読んでいない(整理は色々タイヘンなんだよ)ので、どんなゲームなのかはよくわからん。一応「考える余地のあるスゴロク」らしい。
 
 あと、本来ならば?ココでの対象にならないゲームについても。イッシーサークル(初日西つ-19b)にて頒布されていた「まどか☆マギカ」のカードゲーム…も入手したんだけど、大事なのはそこで売られていたフォント。私がこみっく☆トレジャーで見かけた「不穏当屋」のフォント集があったのだ。くっ、もっと「宣伝」するんだった…
 
 とまあ、今回も多彩なモノが入手できました。「同人ウォーゲーム発表の場」を考えた場合、去年辺りからコミケよりもゲームマーケットの方が「適切な場」になってきている気がする。実際、「売り上げに関してはゲームマーケットの方が…」という話も聞いているし。ただ、だからって「ゲームマーケットがあればいい」って話になるワケじゃない。特に、関東圏以外に在住の方に行きやすいのはどちらかと言われれば、一応コミケの方ではないかと。また、同人ゲーム・ゲーム同人誌においても「美しいコンポーネント」は重要で、そういうモノを作る「才能」を持った奴はゲーマーであるよりヲタクである可能性の方が高い(あくまで私の印象だけど)以上、「イラスト及びコンポーネント制作で力貸してくれた人間のご機嫌取り」ってな理由でコミケに出る意義はあると思う(笑)。私としては、ヲタクとしてクソ忙しいコミケにおいて、ゲームを物色するのはタイヘンだという事情があるにもかかわらず、やはりコミケにも同人ゲームがあって欲しい。私自身は同人誌も同人ゲームも出す気がないけれど、それでも支援になりそうなことは続けていきたいな。
 
 なお、個人的事情により今回は「駆け足もいいところ」だったので、漏れは例によって山のようにあると思います。そーゆーもんだ。更に、商業誌掲載ならばもっと詳しく書くべきところを、しょせん私のブログだからって理由でかな~り手抜きでお送りしてます。悪しからず。

8月30日2011/08/31 01:10

 先日の豪雨により、モニターが水被って絶不調に。他も色々タイヘンだったので、更新が疎かに。まいったね。なお、モニターは一応「復活」したとみなしました。
 
 本当ならば競馬絡みで語ることがあるんだけど、それはもうしばらく封印。本日は、コマンド誌に出した「ハンガリー戦線1944-45」のルールに関する質問の内容と、その回答を細かく解説する。私個人の覚え書きに近いので、あまり深く気にしないように。疑問点は直接コマンド誌に問い合わせて下さい。
 
 記念すべきコマンド誌100号の付録ゲームとなったこのゲームだけど、ルールブックを一読しての感想は、「完成度が低い」。ここで言う完成度とは、ゲームそのものではなくルールブックに関するモノである。多分オリジナルからして完成度が低かったんだろうな。本来ならばそこをクリアしてから出して欲しかったんだけど、それは流石に高望みか。ま、この業界はそんなモノでしょ。
 
 特に気になったのは、機動攻撃(MA。ゲーマーにはオーバーランといった方が通りがいいと思う)とスタック制限の関係。正直、私はオーバーランとかMAって行為のルールが大嫌いである。行為そのものは好きでも嫌いでもないけど、それを説明したルールが嫌いなのだ。大抵の場合、なんか曖昧だから。特に、オーバーランを行う直前にスタック制限のルールを適用するのか、それともしないのか、極めて曖昧な場合が多い。これは、ゲーマー内に「スタック制限は適用しなくてイイ」って派と「スタック制限は適用される」って派の両方がいて、それぞれ自分が信じているモノこそが「常識」だと信じて疑っていないからではないかと思う。両方とも一定の勢力を持っていると推定される以上、常識でも何でもないっての。常に「このゲームでは、スタック制限違反となるようなヘクスからオーバーランをして良い/してはいけない」と明確に書いて欲しいものだ。
 
 その他諸々レアケースを承知の上で明確化を求めた所、いくつかルール改定が入った。フツーのゲーマーにはどーでもいい改訂だとは思うけど、私にとっては「デカい改訂」だ。そこでまあ、改訂のポイントを説明しようと思う。なお、この改訂はまだコマンド誌の公式サイトに掲載されていないけれど、そのうち掲載されると思う。「どーでもいい部分だから、質問してきた馬鹿に返事すれば足りる」ってな内容じゃないので。
 
 まず改訂その1。「あるヘクスにいるスタックが攻撃及びMAを行う場合、スタック制限内のユニットだけが攻撃・MAを行える」ってルールが追加された。ただし、防御の時のように追加損害や退却は存在しない。これは、「スタック制限違反解除したいんだけど、包囲されているので全く移動できないんですけれど」ってな場合のように、全くあり得ない話ではない。「規定がない以上、全ユニットが攻撃していいんだな?」って聞いたら改訂された。
 
 このルール、攻撃の時はあまり重要ではない。直前にある移動フェイズに「スタック制限違反を解消すべく努力しろという義務の規定」があるので、自発的にこういう状態にはなりそうもないから。むしろ重要なのはMAの場合。たとえばだ。増援・補充を登場させるRRWフェイズに、スタック制限違反となる数の独軍装甲をスタックさせる。ルールブックに堂々と「こーゆーコトやっていい」と書いてある行為だ。このスタックが丸ごと動いてMAを行うと宣言したら、どーなるのか?改訂前はフツーに全力攻撃できた気がするけれど、改訂によりそれは出来なくなった。
 
 ここから先は私の解釈。この改訂にもかかわらず、「巨大スタックMA」を宣言できるのか?一応できるんだと思う。MAに攻撃力を使用できないのにMAを行う移動コスト支払わされるので、お得じゃないけれど。ただ、こうしておくと複数回のMAを行う場合、2回目以降は最初のMAで損耗状態になった部隊を「今度はコイツがスタック制限外の部隊ね」と言って外し、「フレッシュな」部隊を使用できるんじゃないかと。そんなコトをする余裕がこのゲームの独軍にあるのかどうかはともかく、一応は「使える小技」かな。
 
 なお、「すでに移動済みのスタック制限一杯の友軍部隊がいるヘクスに部隊を新たに侵入させ、そこからMAして良いか」って疑問に関しては、「スタック制限内のユニットだけがMAを行うのであれば、問題なくできる」となった。そのMAで敵軍部隊を排除して前進を継続できるかどうかを問わず。これを使えば、実質的には「移動フェイズに故意にスタック制限違反のスタックを形成する」ことが可能である。形式的にはあくまで「移動する権利が強制的に失われたことによる現象」なので、任意の行動ではない点に注意。何の得があるのか不明なので、だからどーしたレベルの話ではあるけれど。
 
 あと、細かい明確化として「ユニットを動かす権利が与えられた場合、それを使ってスタック制限違反を解除する義務が生じる」とされた。これはあくまで「ユニットを動かす権利が与えられたならば」であり、その権利を獲得する義務まではない。どーゆーことか?つまりこーゆーことだ。スタック制限違反のスタックが戦闘後前進もしくは突破前進できるようになった場合、必ずそれを使ってスタック制限を解除するようにしなくてはならない。ただし、「必ず戦闘して、戦闘後前進できる機会を獲得すべく努力しろ」ってトコロまでは求めていない。あくまで戦闘参加は任意。後続突破の場合もコレに同じ。もっとも、ほぼあり得ない(一応理屈ではあり得る)けれどな。後続突破が可能な位置に制限に違反しているスタックがある場合、そのスタックの部隊を後続突破に指定する義務はないけれど、指定したらスタック制限を解除するよう部隊を動かす必要がある。
 
 なおこの解除義務、可能ならばとにかく最優先でそうする必要があるようだ。ということは、MA可能なユニットを含む制限違反のスタックは、MAを使ってスタック制限違反を解除する必要がある。比率問わず…どころか、「わざとバラバラにMAして戦闘比を下げ、ユニットを壊滅させることによりスタック制限違反を解除できるならば、そうする必要がある」くらい。この場合、「どう移動させるか」って部分に任意性が失われ、「とにかくスタック制限違反を解除しろ」って方向で移動を計画する義務が生じるのだと思われる。そこが「スタックオーバーMAしたら動けなくなっちゃいました。スタック制限違反だけど仕方ないよね」って場合との違いなのだろう。つまり、突破前進・後続突破を使ってMA可能な部隊を含むスタック制限違反のスタックをうまく包囲してやれば、相手は勝手に自殺してくれる。どんなに低い確率でも「MAかけまくって相手を除去し、そのヘクスへ移動することによりスタック制限違反を解除する」ことに失敗する可能性があるのなら、「確実に成功する自殺」が優先される。ただまあ、ある程度自殺した時点でスタック制限以内に収まるはずなので、ソコまで凶悪な手段ではない。
 
 更に細かい改訂。後続突破を行う場合、必ず突破前進が生じた防御側全滅ヘクスを通過しなければならないとあるけれど、これは間違い。「通過」じゃなくて「侵入」すればソレで足りる。後方にいる部隊を前線近くに持っていきたい場合、地味に重要かもね。あと、後続突破を行った部隊は「戦闘に参加した」とみなされると明確化された。そうしないと「連続して後続突破」ってな行為が可能になるので、妥当ではないかと。
 
 最後に、すげー重要な改訂を。ルールブックには、砲兵の攻撃参加の要件が抜け落ちています。「隣接してない場所を攻撃できそうなルールが何1つ無いのに、本誌掲載の例じゃ離れた場所を攻撃してる!どーなってるんだ!」と吼えたら改訂されました。当然だ当然。「いずれかの友軍ユニットとスタックしている、または隣接している砲兵は、その友軍ユニットが関与する戦闘(攻撃/防御どちらでも)に、砲兵戦闘力を加算する事ができます」と付け加えられた。「射程が2ヘクス」ってワケじゃないので注意。ついでに言うと、単純に「隣接しているユニットに戦闘力を加算できる」ってワケでもない。そう解釈すると、「砲兵と隣接しているヘクスにいる1戦力の部隊と、砲兵に隣接していないヘクスにいる9戦力の部隊が合同で攻撃する場合」、砲兵の攻撃力は1しか加算できないことになる。加算対象はあくまで「スタックまたは隣接しているユニットが関与している戦闘」なので、この場合10戦力まで加算できるはずだ。
 
 ルールの穴は、いつまで経っても無くならない。無くそうと日夜努力しているハズなんだけど、記念すべきコマンド誌100号の付録ゲームでコレだもんなあ…この雑誌が200号を迎えることが出来るかどうかは流石に断言できないけれど、その暁にはキチンとしたルールブックに仕上げてもらいたいものだ。まったくもう…