9月6日2010/09/07 01:22

 諸般の事情により、昨日は「ヒトラー電撃戦」の続きを。前回怪進撃(快進撃でもいいんだけど)を見せた独軍の運命やいかに!
 
 ゲーム再開後しばらく経った43年前半。独軍は熟考に沈む。赤軍のスタック中に、混成軍や親衛歩兵といった「3戦力ユニット」の割合が増えてきた…これはつまり、こちらの装甲部隊による「敵攻撃兵力のすり潰し」がやりにくくなってきたことを意味する。もちろん、攻撃力も増している。これは危険な兆候だ。さて、どうする。
 
 「ヒトラー電撃戦」で最も難しいのは、撤退戦闘だろう。なにせ部隊を移動させるだけで燃料を使うゲームだ。当然撤退でも燃料が必要になる。しかも、その必要量はかなり多い。攻撃ならまだしも、防御側が「戦線を構成している部隊のうち、一部だけを撤退させる」のは意味がない。取り残された部隊が壊滅するだけだ。動かさない部隊との連携を保ちつつ、広い範囲の部隊を動かさなくては、撤退する意味がない。そのためには大量の燃料が必要で、それを蓄積するための計画が必要になる。主導権を持ってないのにそんな計画を練らなくてはイケナイのだから、かなり精度の高い先読みが必要だ。
 
 実際このゲームでの「撤退戦闘」がどれだけ難しいのかは、バルバロッサ作戦の研究をやった人間なら知っていると思う。国境付近に展開した赤軍が崩壊してしまい、山ほど来る増援も各個撃破されるだけ…って展開を目の当たりにし、「どーやって守るんだコレ!」とアタマを抱えた人間は、私だけじゃないはずだ。
 
 しかし…ゲーム中盤まで攻撃側の独軍は、攻守逆転した後は撤退戦闘を戦わなければならない。失敗すれば戦線が消滅する。「ソ連降伏を目指してとにかく突っ込み、失敗したらさっさと戦線消滅させてゲームを終わらせる」なんて考えもあると思うけど、「このゲームの後半の流れがどうなるのか、見てみたい」という理由から「最後までの勝負」を申し込んでいただいたAzathoth殿相手に、そんな無責任なことは出来ない。自信はないけど、私の研究をキチンと披露しなければ!
 
 確かに、目の前の赤軍は強化されてきている。しかし、我が独軍の東部戦線も充分強力で、その気になればこのまま持ちこたえることは可能だろう。問題はソコじゃない。実はこの東部戦線、強力すぎるのだ。東部戦線が「赤軍の攻撃に耐えられる」ということは、西部戦線にロクに部隊がいないってのと同義語だ。実際、ある程度時間稼ぎをしないとヤバそうな「大西洋の壁」以外は「守備隊と言うより単なる見張り」程度の部隊しか送ってない。着々と増強されている米軍が動き出せば、対応するための部隊を捻出するしかない。その捻出先は、東部戦線を支えている部隊しかいない。つまり、我が軍の東部戦線は、見た目ほど強力ではない。
 
 かといって、ここで撤退することは、「南方資源」を赤軍に渡すことを意味する。そうなれば赤軍の燃料事情が好転するので、より強力な攻撃を受けかねない。可能な限りこのラインで踏みとどまって時間稼ぎをしたいのだ。しかし、しかし…
 
 長考の末に私が下した決断は、「ここで撤退」だった。最終的な決め手になったのは、燃料事情である。今ならまだ燃料に余裕がある。しかし、戦略爆撃が開始され始めた以上、いつ燃料事情が悪化しても文句は言えない。いずれ撤退しなければならない以上、燃料に余裕がある間に…そう考えたのだ。
 
 というわけで、43年春に独軍大撤退。史実より半年以上早いタイミングだ。この半年はいつか取り返せるのだろうか…そんな感傷に浸る間もなく、米軍が北アフリカに上陸。カサブランカに加え、ルール上可能になっているアルジェ・オランにも上陸部隊を送り込み、ヴィシーフランス瞬殺。わかっていたことだけど、何て頼りない…同時に「砂漠のネズミ」こと、スエズの英軍も西進を開始。これらを迎え撃つのは、ロンメル抜きの伊軍…
 
 だがしかーし!伊軍は頑張った。トブルク付近では、英軍のミスを突いて補給を切断、進撃を1ターン遅らせることに成功。チュニジアでは、チュニスに籠もった伊軍相手にまさかの「補給不足で攻撃停止」が。ゴミのような戦力にもかかわらず、見事に英米の足を止めて見せた。有り難う…君らの死に様は、記憶するに足りるものだったよ。そんなこんなで、伊降伏は何と44年夏。史実より1年も降伏を先送りに出来た。
 
 伊降伏に先立つ44年春、ついにオーバーロード作戦開始。最初に上陸できたのはブレストだけだったが、上陸した部隊と強襲上陸を組み合わせ、「西方防壁」をこじ開ける!これに対抗する戦力を捻出するため、東部戦線では遂にルーマニア放棄が決断される。悪いけれど、君たちを守る戦力はドコにもない。
 
 だが…ここで独軍にミスが!ユーゴパルチザンに気を取られ、なんとな~く戦線側面に穴を作ってしまう。確かにパルチザンはユーゴから出られないので、この穴は利用できない。けど、付近まで進出していた赤軍戦車隊は話が別だ。コイツらに一気にウィーンを占領されてしまった…
 
 正直言おう。この時、私の心は折れかけていた。東部戦線北方では東プロイセンが赤軍の執拗な攻撃を受け、イタリアもルーマニアも降伏。そこにこのミスである。だけど、最後の気力を振り絞って突出してきた赤軍戦車部隊への反撃を計画した。部隊自体はそれなりにいるんだけど、燃料が足りるか?収入はもうボロボロだけど、備蓄はまだある。コレを使って赤軍戦車部隊を叩き出した。いやもう、冷や汗ものだった…
 
 そんな紆余曲折の末、44年をしのぎきって45年に突入。独軍は「最終防衛ライン」にそれなりの戦力を籠もらせることに成功。燃料は乏しいながらもまだ残っている。コレを使って「バルジ大作戦」でもやってやろうかと考えたけど、やはり補給は貴重だ…ってんで計画放棄。46ターン終了時点で独軍に「どう頑張ってもベルリンが陥ちないユニット配置」を行えるだけの部隊&燃料があると判明したので、独軍勝利としてゲームを終わらせてもらった。か、勝った…
 
 確かに勝ちはしたけれど、「後半の独軍」は辛いよ…燃料事情から言って、独軍は何度も連続して大撤退できない。かといって、中途半端な撤退はやるだけ無駄。必然的に「撤退~しばらく耐えて燃料備蓄~また撤退」」を繰り返す必要がある。何かの間違いで「撤退しないとマズいのに、燃料がない」となったらアウト。撤退が早すぎても、燃料事情が悪化するのでアウト。そんな中で撤退のタイミングを見計らうのは、辛いなんてものじゃない。あくまで現時点での予測だけど、多分「連合軍辛勝」って結果が多いんじゃないかなあ。
 
 あえて「後半の独軍のコツ」を述べるとするならば、「とにかく燃料を大切に!」かな。燃料さえ残っていれば、攻撃を受ける前に逃げ出すことも、反撃で相手を叩くことも出来る。「本当の窮地」に備え、とにかく燃料の無駄遣いをしないように努める。そうすれば、「最後まで戦う」ことが可能になるんじゃないかな。実は今回、独軍はロクに攻撃していない。「反撃により敵戦力を削り、守りを楽にする」って作戦は何度も私の脳内で計画されたんだけど、「そのための燃料がない」と却下された。
 
 Azathoth殿の敗因は…多分一番大きいのは「中東を占領されたこと」だろう。燃料事情が脚を引っ張ったとおぼしき局面がいくつかあったからなあ。時間とリソースを気にして中東奪回をやらなかったけど、あれもやっておくべきだったのでは。もっとも、この辺私も自信があるワケじゃない。それと、「私なら」という限定での話ではあるけど、バルカン半島上陸やスカンジナビア攻略などを行って、独軍の戦力分散・燃料浪費を強いたと思う。その分主攻が弱くなりかねないので、趣味の問題かな?って気もするけど。
 
 かく言う私もミス犯しまくりだったけど、何とか致命的な結果を招かずに済んだようだ。ただ…やはり全体的に撤退が早すぎたかなって気もする。本当ならばもう少し「戦争経済」面で相手を苦しめないと、苦しいんじゃないかなあ。もっとも、ギリギリまで踏み込むのは相当なリスクを背負うので、現状の私ではアレが精一杯でしょ。まだ研究足らないよ。
 
 全体を振り返ってみると、意外なほど「WW2の流れ」に従ったプレイになった気がする。そりゃまあ、タイフーンが省略された代わりに青作戦が豪快すぎるとか、米軍上陸までアフリカで動きがなかったとか、「死守命令」が飛ばなかったとかいった違いはあるけど、それでも「らしさ」を色濃く残した上での変化って気がする。しかも、それらはルールやカードなどで強いられたモノじゃなく、両プレイヤーが「こう戦えば良いんじゃないかな」って考えた末のものだ。そういう「細部にとらわれず、全体のつじつま合わせを重視している」って点が、このゲームの良い点でしょ。
 
 個人的に「頭が下がる」のは、イタリア兵。今回のプレイにおいては、心の底から「君達が味方で良かった」と言いたくなるほど、活躍してくれた。この国が供給してくれる燃料がなけりゃ、とても戦えなかっただろう。航空機も大活躍してたな、主に東部戦線で。そして…ルール上は頼りない陸軍だけど、今回は何故か頑張った。微弱ながらも英米の足を止めたアフリカでの戦いっぷり、そして降伏するまで補給切れにもかかわらずバスラを守備し続け、「奪回するのは手間だ」と思わせ続けた中東遠征軍(他にテキトーな守備隊がいなかったので、コーカサス経由で送り込まれた)も偉かった。なんかムッソリーニ閣下から言われちゃいそうな方向の活躍って気はするけど、降伏が1年遅れたんだからカンベンして欲しい。
 
 というわけで、2回に分けて「ヒトラー電撃戦」リプレイをお届けしました。結構ボリュームのあるゲームだけど、慣れれば2日で終わります。ということは、その気になれば「週末を通してのプレイ」で決着が付くわけだ。大作は敬遠されがちな昨今ではあるけど、それでも挑戦してみる価値はあるんじゃないかな。

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