8月26日2010/08/26 23:50

 アタマの中が原稿絡みでこの色モード。本日はあえて挑発的なネタにチャレンジ。題して、「女性に配慮したウォーゲームが欲しい」。思いっきり物議を醸し出しそうなネタだな。
 
 女性がウォーゲームなんてするのか?この世界に参入する女性なんて「特殊な例外」だけって気がする以上、女性向けゲームなんて不要なのでは?そういう話はあると思う。けど、私が「女性向けのウォーゲームが…」と言っているのは、実はその手前の話。ふとしたことから、「ゲームを挟んだ対面にウォーゲーム初心者の女性がいて、私が少し引きつった笑顔浮かべている」って局面に遭遇しちゃうかも…ってコトに気がついてしまったのだ。その状況を乗りきろうと思ったら、真ん中にあるゲームは「多少なりとも女性向け」の方が心強いでしょ。
 
 そんな局面、遭遇するワケが…と思った方、残念ながら少し考えが古いです。コマンド誌最新号に、中黒編集長のゲームマーケット2010のレポートが載っています。これによると、コマンド誌は今後このイベントに「可能な限り参加」していきたいそうです。私は、この意思表示をもって、ウォーゲーム界は「女性にゲームを普及させるかどうか言い争う時代」から「遭遇しちゃった女性にどう対処するか、真剣に考えなきゃイケナイ時代」に変化したんだと思っています。
 
 何故そんな話に?あのね、ゲームマーケットって、別にウォーゲームだけのイベントじゃない…どころか、メインは「そうじゃないボードゲームやカードゲームなど」(以後単に「ボードゲーム」と表記)のイベントだ。そんでもって、ボードゲームする女性って、数は少ないけどいるんだよ。実際会場で姿は見た。コマンドいちねんせい殿のように、「明らかに仕事の奴」とは別に。そんな場所で「初心者ホイホイ」仕掛けようとしている以上、何かの間違いで女性が引っかかる可能性は無視できない。
 
 よく考えてみて欲しい。彼氏だか大学のゲームサークルの先輩だか知らないけれど、とにかく男性(複数の場合アリ)のケツにくっついて会場に来る女性って、いても不思議はないのだ。そのツレがa-gameのブースでウォーゲームをプレイすることは無いだなんて、断言できるのか?もしこんな状況が訪れると、a-gameのブースのすぐ側に「手持ち無沙汰そうにしている女性」なる物体が出現する。そういう物体に対し、「初心者ホイホイ○号」担当していて、たまたま対戦相手がはけた奴がどう対応すると思う?「女性だから」で無視できるか?義理というか礼儀というか…って理由で「どうです?試しにやってみませんか?」って声掛けざるを得ないでしょ。内心「頼むから断ってくれ~!」って思っていてもだ。
 
 そこで素直に「いえ、私は…」と言ってくれればいい。押しに弱いとか1人っきりになるのはイヤだとかいった理由により、「じゃあ、私も…」なんて返事されたらどうする?まさかそこで「いや、あくまで礼儀として誘っただけなので、引き受けられると困るんですけど」なんて言えるワケがねえ。仕方なしに相手することになる。そうやって相手にした以上、内心で「つまらん時間だったぜ、ケッ!」と毒づかれるよりは、せめて「いいヒマ潰しにはなった」と思ってもらいたくないか?そのためのアシストをゲームに求めて、何が悪い。
 
 正直言って、実際こんな状況が発生する可能性はあまり高くない。ゲームマーケットの参加者は、やはり男性率が高い。レポートに記述がない以上、やはり前回女性は来なかったようだ。でも、「杞憂だ」で片付けられるホド低くもないと思うんですが。これを杞憂と呼ぶのならば、ピンゾロで攻撃側全滅が出てゲームが台無しになるとわかっているから、攻撃しないで自重する…ってプレイヤーも嗤われるべきじゃないかと。
 
 その時はその時、フツーに男性が来た時と同じように対処すればいいだけの話。それは正論かも知れないけれど、現場の人間に対してあまりに冷たくないか?迎撃側はかなりの確率で男性だ。男性相手なら「相手の性別問わず使える接客テクニック」に加え、「同性にのみ通用する接客テクニック」も使える。女性相手の場合、後者は使えない。それで相手に楽しい時間を過ごしてもらえと?言っておくけど、「繁華街限定で使える異性用テクニック」が使えるワケじゃないんだぞ。東部戦線の将兵に「当たり所が良ければKVだって撃破できるんだから、対戦車砲なんてドアノッカーがあればいい」と言えと?
 
 そりゃあね、「女性向けウォーゲームが欲しい」なんて要求だったら、「そりゃ行き過ぎだ」と言われても仕方ない。私はソコまで言ってない。「配慮してくれ」と言っているのだ。基本はああいう会場でウケそうな、男性の「ボードゲームは詳しいけどウォーゲームは良く知らない」人間向けの商品でいい。ただ、その枠の中でいくつかゲームを選び、「次のゲームマーケットでは、どのゲームを売ろうかな」って話になった時、その中から最も女性向けっぽいモノを選んでくれ…って話だ。これだけでかなり違うと思うぞ。
 
 でも、具体的にどうすりゃいいのかわかんない以上、どーしよーもないじゃないか…それは事実だ。けど、「わかんない」と「対処しなくていい」は違う。わかんないなりに対処しなくちゃイケナイ時なんて、良くある話じゃないか。リサーチする、怪しげな推論を立ててみる…その他、やれることはあるはず。まだちょっと先の話だけど、「来年のゲームマーケット開催日」までに何かしら手を打とうとする価値はあるはずだ。
 
 それでも、この問題に関してはグチャグチャ言われそうな気はする。そういう「観念論」につき合いたくはないので、あえて私から「来年のゲームマーケットで発売する、ウォーゲームハンドブック2011(仮)に付属させて欲しいゲーム」、つまり「私の考える、多少なりとも女性を意識したゲーム」を提唱しちゃおう。「F-16ファイティングファルコン」。その昔エポックの「シミュレーションゲーム入門2」に収録された空戦ゲームだ。
 
 コレのドコが「女性に配慮したゲーム」なのか?以前Webをうろついている時に発見した話に「どうも女性は集団戦闘を好まないらしい」って話があった。某ファンタジー・SF系の女性マンガ雑誌に掲載された某作品で集団戦闘の話を長々続けたところ、その期間は人気が落ちたんだと。
 
 このマンガ雑誌、いわゆる「バトル」は多い。そーゆーモノに何故か良く引っかかる私は、しばらくこの雑誌が「女性向け」だと知らずに(オカシイなとは思っていたけど)読んでいたくらいだ。好き嫌いはあるだろうけれど、結構「燃える」雑誌である。にもかかわらず、集団戦闘はあまり好まれなかったのだ。ボードゲームをプレイする女性は「バトルは好む」層と似た嗜好を持っていそうだから、「それでも集団戦闘はあまり好まないのでは」って仮説を立てる意義はあると思う。
 
 じゃあ、「女性はウォーゲーム駄目」ってことじゃん!と言うのは簡単だ。多分、その通りなのかも知れない。ただ、それだけで片付けていいのならば、「陸戦作戦級も一応プレイするけれど、好きなのは海戦とか空戦とか空母戦」って公言しておられる方もウォーゲーマー失格なのか?それに、別に私は女性をウォーゲーマーにしようと思っているわけじゃねえ。ちょっと試しにやってみて、まあいいヒマ潰しにはなったな…と思ってくれれば、ソレでイイ。
 
 バトルは好むけど、集団戦闘はイヤ。つまり、一騎打ちっぽい戦いを扱ったモノ…と考えてゆくと、空戦戦術級は該当すると思われる。こういうゲームはルールが複雑になりがちだけど、「F-16」はかな~り簡単なルール。レクチャーされながらであれば、ゲーム初心者でも「飛ばせる」と思う。実はメインターゲットである、古参ウォーゲーマーが喜ぶかどうかだけど…懐かしさもあって、結構ウケるんじゃ?少なくとも私は欲しい。複数機動かすと相当難しくなるので、「簡単すぎる」ってコトもない。
 
 これだけじゃ弱い?そこで秘密兵器。「ウォーゲームハンドブック2011(仮)」に、「イケメンパイロットによるルールレクチャーマンガ」を載せる。「そういう画力がある奴」使って。後は相手の妄想力で「私が操るこの機体には、イケメンが乗っている」と思ってもらえれば。この程度だったら「萌えだのイケメンだのはいらん」と公言しているゲーマーの方々も、お目こぼししてくれるんじゃないかと。エースパイロットはイケメンでOKってのは、「エリア88」が証明しているじゃないか!
 
 真面目な話、ゲームマーケット2010で発表された「ウォーゲームハンドブック2010」の付録が「初心者向けではあるけれど、硬派な作戦級ゲーム」だった以上、次の作品はもう少し変化球っぽいジャンルで勝負しても良いんじゃないかとは思う。必要ならば増刷して持ってゆけばいいので、「本格派は古い方、変化球なら新しい方」って売り方をしても悪くないと思うんだけどな。いいタマが無いのならともかく、「F-16」ならモノとして悪くないし、初心者にもやさしい。「とにかく再版してくれ!」って声があるゲームなんだから、こういう機会を利用して再版するのは悪くないと思う。女性向けうんぬんを別にしても、有力候補じゃないか?
 
 本来ならば、「女性向けっぽいのでは」なんて理屈は隠して、しれっとそれ以外の理由で「F-16ファイティングファルコンはどうでしょう」と売り込むのが、「大人」のやり口なのかも知れない。ただ、実際こんな感じの思考過程を経てこのゲームを思い出したのだ。その辺を書いちゃうのが私って生物なのさ。理屈はともかく、いいゲームだと思うけど、どうだろう。え?「今更ボード空戦ゲームなんて古い」「フライトシムに勝てるワケがない」だって?いやそれは…この後の弁護は空戦ゲーム愛好家の方々にパス!(おい)
 
 我々はボードウォー「シミュレーション」ゲーマーである。シミュレートの大切さは良く知っているはずだ。だから、女性を誘うべしとかソレは無駄だとかいった議論をする前に、「女性相手にウォーゲームをする羽目に陥ったら」をシミュレートしてみてもいいのでは?「そんな姿は全く想像できない」と言うのなら、それは「この場合限定で」女性像に欠落があると考えて良い。ボードゲームを好む女性、バトルを好む女性は確実にいる。そんな存在を知らなかったからと言って、社会人として問題があるワケじゃない…どころか、健全な証だと思う。でも、この議論を進める上では、そんな方の意見は価値が薄い。他のタイプの女性をいくら知っていても、「当てはまらない存在の話をしているだけ」ってコトに代わりはないのだから。まあ、逆に「どんなゲームでも喜々としてプレイしている姿しか思い浮かばない」なんて方も、役に立たないと思うけど…
 
 ゲームマーケット参加が成功に終わったことにより、「ウォーゲーム普及問題」は今までより1歩先に進んだような気がする。今までの「どんな層が有望なのかさえ良くわかっていなかった」という状態から、「少なくともボードゲームを好む層は、普及先としてある程度有望である」と証明されたのだから。それに伴い、今まで議論されてきた問題のうちいくつかは、問いかけの内容を変更するべきだと思われる。いわゆる「女性問題」に関しては、従来の「女性への普及は可能性があるのか?」といった抽象的問題から、「目の前に、『面白いかどうか試してやろうじゃない』という女性があらわれた!コマンド:たたかう・にげる・まほう…」に移行させるべきじゃないかなあ。少なくとも私はそうしてもらいたいですね。ゲームマーケットに参加していそうなだけに、私の個別利害が絡むので。
 
 ただまあ、正直言えば、私はゲームマーケットでは「取材」に忙しい可能性が高く、ソレが終わったら競馬場へすっ飛んでゆく可能性も高い(開催時期の問題で。前回は日本ダービーと重なりやがったからなあ…)関係上、「初心者ホイホイ要員」は担当しなくて済みそうなんだよな。良かった良かった…って、こんなオチかよ。