6月25日2010/06/26 04:38

 先日のネタは、デザイナーとプレイヤーの間で「アツい」意見交換が行われている。こーゆーのはいいよね。ネット時代の昨今だとフツーのゲームでもこういうコトが行われるかも知れないけれど、この手の敷居が低いのが同人ゲーム(同人誌もだけど)の良いところ。こーゆー面白さを広めるのが、私の仕事なんだろうな。うんうん。
 
 本日の話題は、W杯ネタをすっ飛ばして、雑誌休刊ネタ。コミックバンチ、休刊だそうです。一応は「コンビニで普遍的に見かける週刊誌」だったので、多少語っておきたいかなと。
 
 コミッックバンチ。新潮社刊行。毎週金曜発行の漫画週刊誌。代表作は…えーと、「蒼天の拳」になるのか?「北斗の拳」スピンオフ作品で、作品そのものよりパチンコ・パチスロ(どちらかは忘れた)の方が有名な気がする。F男的な代表作は別にあるんだけど。
 
 この雑誌、正直言ってターゲットが良くわかんなかった。多分…というより間違いなく、その昔「北斗の拳」を読んでいた人間がターゲットだったってのはわかる。わかるけど、「そんな人間は、今どんな作品を好むのか」って部分が、最後まで良くわかっていなかったような気がするな。
 
 私は年代的に「思いっきりターゲット」に属する。それだけによくわかるんだけど、ターゲットとなった年代ってのは、漫画雑誌的には大きく2つに分けて考えることが出来る。「未だ少年漫画から卒業しきっていない」ヲタク層と、「流石にソレは卒業した」比較的一般的な層である。そんでもって、このどちらをターゲットとするのかによって、「掲載作品」は大きく違ってくるんだな。
 
 まずはヲタク層を説明しよう。一口にヲタク層と言っても色んな奴がいるけど、あえてザックリまとめてしまうと、「『燃え』または『萌え』のいずれかを好む」となる。ある種の現実逃避の手段として今もマンガ読んでいるので、どちらかと言えば「現実臭の強い作品」は好まない傾向がある。ただ、「マンガを読むのは当たり前の行為」の1つなので、「傾向だけ見れば好みから外れた」作品でも読んでいることがある。
 
 これに対して一般層は、あまりマンガを読まないのがフツー。読むとしても、現実に密着した傾向の作品を好む。もっとも、ここで言う「現実に密着」とは、単に小市民的な願望をテーマにしているだけって気もするんだけど。ここでこの手のマンガを深く語っても仕方ないので、とりあえず「そんなものだ」と理解してくれればいい。
 
 つまりだ。この年代のヲタク層ってのは、未だ少年誌や月刊のドマイナーなマンガ雑誌を平気で読んでいる。それに対し、一般層ってのはせいぜいが「年齢層に見合った雑誌」を読む程度。年齢層に見合った雑誌って何かって?ビッグコミック&ビッグコミックオリジナルとか、モーニングとかかな。そもそも「この年齢になってもマンガ読んでいる奴」の絶対数が少ない(ヲタクって案外数は少ない)ので、実はキチンとしたデータがまとめられているワケじゃないんだけど、おおむねそんなものと考えて良いと思う。
 
 話をコミックバンチに戻そう。この雑誌のウリは「北斗の拳スピンオフ作品」である。マイナーなモノも含めて、色々やっていたんだよ。ソレはこの際良しとしよう。本家は相当人気があったし、それを懐かしむ奴は多い。けど、その脇をどんな作品で埋めればいいのか?これは相当悩ましい。コミックバンチは、これに「良い回答」を示せなかった気がする。
 
 「北斗の拳」は、元々少年ジャンプ掲載作品。何だかんだ言って、結構「少年マンガっぽい」トコロを多く含んでいたりする。今現在の社会に済む人間からしてみれば、あまり接点の無さそうな世界が舞台だし、現実に応用出来なそうなワザ使っているし。その意味では、こんな作品の脇を占めるのは、やはり少年マンガっぽい作品が相応しいって考え方が出来る。そーゆー作品が好き・嫌いって話は別にしてだ。
 
 にもかかわらず、コミックバンチはそーゆー「ヲタク向け」路線を採用しなかった。そりゃまあ、当時「北斗の拳」を読んでいた人間の大半は「一般人」になったはずだから、そーゆー人間が好みそうな作品として、より現実臭の強い作品を入れてみたんだと思う。ただ、これが思いっきりミスマッチになった気がして仕方ない。平たく言えば、ビッグコミックオリジナルの中で「北斗の拳」連載しているような。
 
 ちなみに、似たようなコトやらかしている雑誌ってのは、他にもある。代表例はアフタヌーンか。ただ、アレは月刊誌だし、分厚くて作品数が多いので「何となくまあ許せる」けど、週刊誌なので「作品数少ないし、月刊誌と比べると話が短くてブツ切り」であるコミックバンチでコレをやられるとなあ…あくまで「私は」だけど、どーしても「違和感」がつきまとった。結果、「読む作品は一応読むけど、他に目を通すのが苦痛」だったんだよね。
 
 特に私は根がヲタクなので、実のところ「ヲタク向き」の作品の方が好みに合う。リアリティ追求路線モノも読むけど、「好みの路線」じゃない分、どーしても採点が辛くなるんだよな…せめてメインが「シティハート」スピンオフの「エンジェルハート」の方だったらねえ…はあ。
 
 私は別にこの雑誌を「完全な失敗だった」と見なしているワケじゃない。何かしらポツポツと「読みたくなる」作品が掲載されていて、そこだけ拾い読みはしていたんだから。ただ、問題は「F男が」露骨な拾い読みする雑誌ってのは、この雑誌くらいだってことにある。他は「読まない」か、あるいは「一応は目を通す」のだ。クソ分厚くて全部読むのが物理的にかったるい少年ガンガン・厚いしジャンルが多彩すぎて混乱することも多いアフタヌーン・最近流石に「ついて行く」のが難しくなってきた少年ジャンプ・おおむね読めるけど、「ただひたすらダダ甘なだけ」って感じる作品が含まれていることもある少女マンガ誌…なんてものでさえ、一応目を通すのに。要はこの雑誌、個々の掲載作品はともかく、「全体の品揃え」に問題があった気がするんだな。
 
 細かく調べたトコロ、どうやらコミックバンチは「文字通りの休刊」になるらしい。今年の年末頃に色々変えた末に復活する予定なんだとか。この予定とやらがドコまで信用できるのかはわからないけど、「漫画アクション復活」「月刊ジャンプがジャンプSQとして一応復活」みたいな事例があるので、一応そうなると考えて良いのでは。おそらく、なんか迷走感のある掲載作のラインアップを一度整理したいから、「休刊」するのではないかと。一応は前向きな休刊と受け取って良いような。正直色々と信用できない部分が残っているんだけどね。そもそも、ドコをどう変えてどんなものにするつもりなんだ?
 
 なお、私の中でこの雑誌の代表作は「ガウガウわー太」。これは間違いない。けれど、この作品が「他の掲載作と比較した場合、違和感を感じるような作品」であったことは否定しない。その当時からずっと「なんかヘンな雑誌だ」と思っていて、それが今に至るまで続いていて、「諸般の事情」とやらでそれを修正しようとしたんじゃないかなあ。修正した結果がどうなるのかは、まだわからないけれども。
 
 私は、とにかく「雑誌の休刊」が大嫌いである。リニューアルって話もまた同じくらい嫌いである。こと雑誌に関する限り、「少しずつ地道に直せ」って意識がモーレツに強い。コミックバンチについても、「休刊するぐらいなら、地道に見直して欲しい」と思う。思うけど、そういう「非常手段」使いたくなる気持ちも一応はわかるような。ただまあ、マンガ雑誌発行母体としては歴史が浅い新潮社のことだから、何やらかすのか信用できない(信用ってのは積み重ねで築いてゆくモノだから仕方ない)けどな。
 
 何はともあれ、雑誌の休刊は決定らしい。よって、私の中ではしばらくの間「経過観察が必要なモノ」扱いされることになる。何故いちいち…などと言ってはイケナイ。私自身そう思っているんだから。ただまあ、何かしら「やらかした」時にはリアルタイムで目撃したいから、観察するしかない。そーゆー趣味なんだから、仕方ないでしょ(苦笑)。
 
 観察すると言っても、おそらくはココで吼えたくなるようなネタが出てくるとは限らない。つーか、そうでなくちゃ困る。この手の話で私が「吼えたくなる」のは、ロクでもない話に腹を立てた時と相場が決まっているからなあ。最近ネタが不足気味とはいえ、この話については「新雑誌創刊時に改めて語る」だけで終わりにしたいです。はい。