4月26日2010/04/27 01:31

 同じ色の話題は…と言いつつ、またもや同じ色の話題。続くなあ。だって、ネタがあるんだもの。というわけで、本日の話題は「私と武田騎馬軍団」。一応、ここでも「弁明」しておいた方が良さそうなので。
 
 具体的に「どの範囲で通用する話」だか知らないけれど、私は「武田騎馬軍団」再版推進派だと思われているらしい。確かに、この話に私が一枚噛んでいるのは事実だ。ウォーゲーマー向けSNS「MustAttack」内にある、非公開の「『武田騎馬軍団』制作委員会」なるコミュニティー(以下「制作委員会」と表記)のメンバーだし。友人知人のたぐいをテストプレイに引きずり込んでいることも認める。我ながら、そう思われる方が自然って気はするな。
 
 ごく限られた「制作委員会」のメンバーなら知っている話ではあるのだけど、実際はその反対である。「制作委員会」内において、私は都合3回ほど「再版中止」を提唱しているくらいだ。多分、私ほど強硬な「再版中止主義者」はいない。ごく普通の再版中止主義者が「どーせなら俺が好きなゲームを出してもらいたいから、反対」といった程度の「消極的反対主義者」だとすれば、私は積極的に「再版は中止すべきだ!」と訴えている人間である。
 
 何故再版に反対しているのか?そりゃまあ…思い切って言ってしまおう。旧版がダメダメだからである。具体的に旧版のドコが駄目なのか、確定させたくてテストプレイを繰り返したようなモノだ。おかげで、私は「何故、『武田騎馬軍団』がダメダメなのか」を、世界一詳しく語ることが出来る。こんなアホなことが世界一だからって、自慢にはならないけど。ただ、その私の主張を持ってしても、このゲームの再版が中止されるかどうかは定かではない。再版責任者が説得できなきゃ、意味ないから。
 
 このゲームのドコがダメダメなのか?とにかく多方面に問題があるんだけど、一番マズい部分はこう要約できる。「派手な殴り合いを見せたいのに、腰の引けたアウトボクサー同士の試合しか見せられない」だ。こういう現象は勝利条件設定がオカシイ場合にも発生するけど、このゲームの場合は、基本システムからしてそうなっちゃうよう設定されてしまっているのだ。コレじゃ駄目でしょ。
 
 どーゆーことかって?このゲームはターンごとに主導権を決めるんだけど、主導権を持つ側が強すぎて、非主導権側は逃げるしかない。主導権側はそれを追いかけるんだけど、原則的には上手く捕捉できない。せいぜいが「諸般の事情により逃げ遅れた敵を叩く」ぐらい。ターンが代わって主導権がそのままなら、コレが繰り返される。主導権が移ったら、単に立場が変わるだけ。こういう「腰の引けたアウトボクサー同士の、ジャブの撃ち合い」みたいな戦いを延々繰り返した末、「逃げ場が無くなった」側(マップエッジに追い詰められたとか、勝利得点が足らないので逃げても負けるだけとか)が「相手が間違ったことをやりまくった末、最悪のダイス目しか出さない」という奇蹟を信じて無謀突撃し、やっぱり強烈なカウンター喰らってマットに沈むだけ…こうなっちゃうのだ。
 
 必要ならば、基本システムのどの辺がどうマズいのでそうなっちゃうのか、詳細に説明できる。実際「制作委員会」ではそれを展開しているし。ただ、ここではそれは割愛する。長い割に意味がないからね。ただまあ、これだけは言える。このゲームがダメダメなのは「システムからしてダメダメだから」であり、「プレイングがダメダメだから」ではないと。あくまで可能性の問題で言えば「打開策が存在する可能性はある」んだけど、それは生きている人間がいる限り「人間は必ずいつか死ぬ」を証明することは出来ない…ってのと似たようなレベルでの話。少なくとも私はそう判断している。とりあえず、「平均的なウォーゲーマー」に打開策発見は期待できないんじゃないかな。
 
 何も責任が無い人間ならば、「オレには打開策が発見できなかった。だから、打開策など無いに違いない」と決めつけたところで、大きな問題にはならない。けど、曲がりなりにも再版作業に参加している以上、「自分に見つけられなかった」と「打開策は存在しない」をイコールにするわけには…そんなわけで、私は「打開策など無い」という「不在証明」を得るため、不毛なテストプレイ地獄に入り込んだわけだ。
 
 ついでに言えば、もう1つ「軽々しく結論を出せなかった」理由がある。私が直感的に「そうなんじゃねえか」と疑い、苦悩の末に出した結論から導かれる推論として、「このゲームを楽しいと主張する人間は、少なくとも当人または対戦相手のどちらか一方(可能性として高いのは双方)のプレイングがダメダメだから」というのがあるのだ…大変申し訳ないけど、さんざんテストを繰り返した結果、今の私はそう主張することにためらいはない。キチンとシステムを理解し、ある程度研究を重ねれば、いずれ「このゲームはツマラナイ」って結論になる。「そんなことない!」と主張するのは自由だけど、それは「刷り込み」から来るものであり、他人を説得するだけの論拠は無いはずだ。「このゲームの問題点は、根本から来るモノである」と断言するってコトは、そーゆーことなのだ。
 
 いくらこのゲームが「昔あったブームの末期」に出たからって、そこまでヒドいとは思えない…と考えるのは勝手だ。私自身がそう考えていた。でも、今となっては「デザイナーもテストプレイヤーも、大事なモノを見落としていた」と断言できる。何ら痛痒を感じずに。我ながらヒドいこと書いていると思うけど、ソコまで言えるくらい理論武装しなきゃ、「このゲームはダメダメだ」と言えないんだから仕方ない。もちろん、異論・反論は受け付けます…というか、あるんならしてくれ。正直、「何も知らなきゃ、コッチがボコって勝ち。多少知恵が付いてきたら、つまんねー展開に持ち込んだあげくダイス目勝負。」って展開に飽き飽きしているのは、私だ。
 
 何故こんなモノの再版を?さあ。私は別に再版責任者じゃない。色々提唱は出来ても、最終決定権なんて持ってない。私が「デザイナーみたいな地位」になるって選択肢は考えられるけれど、それをボランティアでやるのは無茶がある。今までテストプレイにつき合っていただいた方々に対し、私が何ら苦痛を感じていないとでも?「貴重な時間をこんなものに費やさせてしまって、申し訳ない」って気持ちはベラボーに強い。せめてなにがしかの謝礼でも払えるようにならないと、これ以上「力を入れる」のはイヤだ。
 
 このゲームが最終的に再版されるのか、再版されるとしてどんな形になるのかは、まだわからない。根底から手直しする覚悟で取り組めば「マトモな」ゲームになるのでは…って話はあるし、歴史的遺物を再現するような目的で旧版のまま出すって手もある。私のオススメは「再版中止」だけどね。ここまで「深入り」した以上、私はどんな結論になろうとも、とりあえず最後まで関与する覚悟はある。私の意見が片っ端から却下されまくるようなら、「関与はするけど、ルールブックに俺の名を掲載するな」と言うかも知れないけど。向こうから「関与しなくていい」って言われたら?そりゃもう、喜んで離脱しますよ私は。「もうこんなゲームに関わらなくて良いんだ」って理由じゃなく、「それがこのゲームを良くする方向になりそうだってんなら、それぐらいどうってことはない」からだ。
 
 色々述べてはいるけれど、今回の記事が単なる「愚痴と言い訳」の塊であることは否定しない。ただ、少なくとも自分の中では、胸を張って「オレはこんなことを言うだけの根拠がある」と言えるくらい、このゲームに「尽くして」きたつもりだ。その上で「まだこの先もこのゲームに関わり続ける」つもりなんだから、現時点、あくまで現時点で愚痴と言い訳を言うくらい許して欲しい。「武田騎馬軍団」にはそれぐらい苦しめられたし、おそらくこれから先もしばらくは苦しめられ続けるんだから。本当、どーすんだよコレ…