1月16日2010/01/17 03:02

 本日は、ある意味昨日の話題の続き。付けられたレスの中に、「潜在的ウォーゲーマーというのは、どのくらい存在しているんでしょうね。」という問いかけがあったので、私の考えを述べてみようかと。専門性は高いですので、ご注意下さい。
 
 潜在的ウォーゲーマーとは…難しい問いかけだなあ。とりあえず、現時点ではそんなものの定義がハッキリしない。定義がハッキリしない以上、具体的にどうこうって話もしにくい。「新規参入者がロクにいない」って現状から推測して「ほとんどいない」と考えることも出来るし、囲碁将棋ならやる・PCやコンシューマー機でSLGをプレイする…といった、「類似してると言えなくもないモノ」をプレイしている人間がそれなりにいる以上、それなりにはいるはずと言うこともできる。
 
 とりあえず、人間の遺伝子に直接「ウォーゲーマーになるかどうか」って情報が載っているワケはないので、「潜在的ウォーゲーマーかどうかは、生まれながらにして決まっている」なんてコトはありえない。多少の向き不向きは影響あるかも知れないけど、この時点で残る奴は山ほどいるはずだ。
 
 生まれがあまり関係なさそうな以上、大事なのは「育ち」だ。その意味で最高なのは「昔はゲーマーだった奴」、つまり出戻りだな。過去にプレイしていた経験がある以上、現役に戻ってくる可能性はある。こういう層を必死になって掘り起こし、ある程度の数を稼いで生き延びてきたってのが、ここ最近のこの業界である。
 
 出戻り以外ではどんな奴が「潜在的ウォーゲーマーと呼べるような育ち」か?よくわかりません。冬の時代が長かった関係もあり、現役ゲーマーが「自分はこうやってゲーマーになった」って経験は「古い時代の話」になってしまい、現代に通用するとは限らなくなってしまったからだ。特に大きいとされるのが「ファミコンに代表される、コンシューマーゲーム機」だ。現役ゲーマーって、ファミコンが流行する以前にゲーマーになった奴が多い。「今の若い奴は、ゲーム機で満足しちゃうから…」ってな意見は良く聞く。もっとも、そんなこと言う人間の多くは「アナタが幼少の頃にファミコンがあったとしても、やっぱりゲーマーになっていたと思うよ」とツッコミたくなるような人間だったりするんだけど(苦笑)。
 
 とりあえず、「歴史・軍事が好きで、ゲームも好き。対人対戦も厭わない」って人間なら、「潜在的ウォーゲーマーの可能性が高い」として扱っていいとは思う。過去・現在ウォーゲーマーではない人間で、そんな奴はいるのか?私の印象としては、どうも存在しているらしい。コミケで見かけた(苦笑)。いや冗談抜きに、コミケで「歴史・軍事を扱っているけど、シミュレーションゲームとは言い難いゲーム(カードゲーム等)」を作って売っている奴がいるのだ。そういうモノを「掘り出し物」と称してウォーゲーマーに紹介するってのが、私が担当した「コマンド誌掲載のコミケレポート」の課題の1つだったりするわけで。
 
 こういう「掘り出し物」はどれぐらい存在するのか?とりあえず私は「見つかる」に賭けた方が、分が良いんじゃないかと思っている。それなりの数が存在しているようだ。そんでもって、そーゆーゲームを買う層がそれなりにいることも間違いない。まさか「客の全てがコミケに出入りするウォーゲーマー」ってコトは無さそうだし。まだ調査を始めたばかりなので報告できることは少ないけど、とりあえず「潜在的ウォーゲーマー」がそれなりにいるのでは…と推測はできる。実のところ、私が「コミケでの掘り出し物」にこだわる理由の1つが、「そーゆーゲームをコマンド誌で紹介(宣伝になる)することによって、ゲーマー適性の高そうな奴にコマンド誌の存在を知ってもらう(これまた宣伝だ)」ってコトだったりする。持ちつ持たれつとは、こーゆーことでないかな。
 
 「歴史・軍事に詳しくないけど、アナログゲームは好き」って人間を潜在的ウォーゲーマーとして扱って良いのかどうかには、意見の対立がある。私は「素質はあるのでは」と主張している側だけど、反対意見があるのは認めるしかない。ただ、こういう層は結構数が多い。ウォーゲーム業界へと堕落ステップアップする確率は多少低くても、母数が多い分有望じゃないかとは思うんだけどね。フツーの一般人よりはマシ(どの程度マシなのかは諸説アリ)なのは間違いないから。
 
 「歴史・軍事は好きだけど、ゲームは好きじゃない」って層をどう考えるのかも、難しい。実を言えば、私は「この層は案外見込みがないのでは」と思っていたりする。理由は単純。色々話を聞く限りにおいては、現状における「ウォーゲーム勧誘活動」って、この層に向けられることが多いのだ。ウォーゲーマーにしてみれば、共通の話題を見つけやすいからなあ。でも、その成果は…「見込みはあるんだけど、売り込み回数が不足しているから」と考えることも出来るけど、「実は見込みが薄いから」ではないかって考えも出来るわけだ。ただまあ、これまた「母数は多く、見込みは単なる一般人よりはマシ」って話にはなる。
 
 ここからは、別の絞り方として「現役ゲーマーと人間関係がある奴」を考察してみよう。まずは「ゲーマーの家族」はどうか?これは、「印象よりはゲーマーになる可能性がある」と思われる。「兄弟ゲーマーです」とか、「親から教わりました」って例は、一応聞いたことがあるので。身近な人間がハマっている存在であれば、いきなり否定まではしないからではないかなあ。ただまあ、「一般人と比べればマシ」程度の確率であって、世襲率の高さが目に付くモノ(政治家とレーシングドライバーは世襲率が高いと思う)と比べてはイケナイ。
 
 「ゲーマーと、ゲーム以外の理由で知り合った友人」はどうか?実は私はこの経路でゲーマーになった。しかし、現在他の経路で知り合った友人をゲーマーにすることには成功していない。生活基盤を共にするような関係(同じ寮に住んでいるとか)ならまだしも、単なる友人関係ってだけでは「一般人と変わらない」と考えて良さそうな。学生ならまだしも、社会人だと厳しいでしょ。
 
 「職場で知り合った存在」はどうだろう。そりゃまあ、サラリーマンの上司・同僚・部下や取引先の社員じゃ普通ダメだ。麻雀やゴルフならアリなのにね(苦笑)。でも、「教師と生徒」などのちょっと特殊な関係ならどうだろう。専門学校の講師やっている知人が、生徒の一部をトレカゲームの道に引きずり込んだ例を知っていたりするので、「環境次第では、あるいは」と考えて良いような。だからって、「接待麻雀」ならぬ「接待ウォーゲーム」なんて強要しないで欲しいけど。
 
 かなり幅広い意味で「潜在的ウォーゲーマー」と呼べるような存在となると、こんな感じになるのかな。もちろんこれは、「無作為に選んだ一般人がウォーゲーマーになる確率を1/100,000と仮定した場合、2/100,000以上を期待できる存在」って程度に過ぎない。まさに五十歩百歩。昨日の話題に出た「幅広く当たってみる」を実行するには、まだ絞り込みが足らないような。とはいえ、「ゲームが好きってだけ」「歴史が好きってだけ」という連中をどう評価するのか…って部分からして意見が割れている現状では、絞り込みようがないか絞りすぎて対象が残らないかのどちらかでしょ。
 
 現役ゲーマーの一部に、「潜在的ウォーゲーマーは少ないってコトにしておけば、初心者勧誘などと言う面倒なことをやらなくて済む免罪符になりうる」と考えている人間がいるのは否めない。ソレを責めるのは簡単だけど、「たかが遊び、何で面倒なことしなくちゃイケナイ」と言われたら、返す言葉がないんだよね。大半のゲーマーはそれじゃいかんと思いつつ、「じゃあどうすれば良いのか」がわからないので行動が伴わず、結果として初心者を勧誘できていない。方法論が確立してない以上、本来ならば「ダメなのを承知でやってみて、『やっぱりこの方法じゃダメだった』ってことを証明するつもりでやってみる」しかないとは思うんだけどね。
 
 とりあえず私は「コミケをほっつき歩く」という手段によって、「多少ゲーマーになる確率が高いんでないかな」って層が存在しているってコトまでは発見できた。潜在的ウォーゲーマーって、一般的な現役ゲーマー(私含む)が抱いている印象よりはいるんじゃないだろうか。むしろ問題は、理屈だけこねくり回してそーゆー層を真剣に探そうとしない、現役ゲーマーの側にあるのでは。私にとっても無茶苦茶耳が痛い話なんだけど。