8月14日2009/08/14 20:43

 コミケである。当然かなり疲れている。明日以降のことを考えたら、更新なんぞして無駄に体力消耗している場合ではない。にもかかわらず、本日は重大なニュースが飛び込んできたので、更新します。分量は少なめですが。
 
 本日、私の「お目当て」は、競馬。ここには絶対の定番商品が存在している。「中山グランプリ」殿の「有馬・宝塚記念ファン投票本」だ。JRAが発表しない「全有効投票」を網羅したものだ。コミケカタログを見た時点で「当選して存在している」ことは確認できたので、後はただ行くだけ…と、情報は何もチェックしていなかった。そして本日、中山グランプリ殿のスペースを訪れて発見したのは…「次のコミケでこの活動を停止する」という、ショッキングなニュースだった…
 
 活動を停止する理由は単純。諸般の事情により、ファン投票の内容を入手不能になったから。実を言えばこれは「JRA側のてこ入れ」に近い背景があり、競馬ファン全体としてはむしろ喜ばしい改革だろう。ただ、その結果として中山グランプリ殿の活動が不可能になり、結果として活動停止宣言となったわけだ。
 
 とはいえ、活動を停止するのはあくまで「中山グランプリ」というサークル。ずっと続けてきた活動を停止する節目として、この名前での活動を停止するってだけの話。個人としては(おそらくサークル名を変えて)同人活動を続けたいとの意欲をお持ちのようだ。それを思えば、このニュースは「哀しい話」ではない。断じてそんな話ではない。でも、長年このサークルを応援し、毎回楽しみにしていた私は、動揺してしまいました。
 
 この同人誌、ハッキリ言って売れ筋ではない。当たり前だ。コミケに行く奴の大半は競馬に興味がない(あっても薄い)ので価値がわからず、価値がわかるような競馬マニアはコミケなんて行かないんだから。それでも私を含む「常連」はいたし、おそらくは皆この同人誌を応援し続けていた。この関係がいかに尊いものであったのかは、筆舌尽くしがたい。物事の価値を「動いたカネ」だけでしか判断できないような奴はともかく、そうでなければ、ある程度はわかってもらえると思いたいな。
 
 本来であるならば、こういう発表はJRA自身が公式に行うべきだと思う。競馬ファンの魂が込められた1票なのだから。確かに、数票しか入らない馬がグランプリに出走する可能性は低い(ゼロではない。過去レゴラス15票419位が出走した)のだから、発表する意義は薄いだろう。でも、「結果がまるでわからない」というのは、ある意味無効投票や投票しなかったのと同じだ。「一口馬主として出資している」とか「元PO馬」といった理由があれば、「オレ以外誰も投票しないけど、死に票同然だけど、それでも…」と、アツい気持ちを込めて投票されることもある。私はそういう「アツい気持ち」を鑑賞して楽しんでいたわけだ。世間やJRAが何を言おうとも、あの活動は「競馬文化に大きな貢献がある」ものだったと心底思う。
 
 私と「中山グランプリ」殿のつきあいは長い。記憶が正しければ、第1号からず~っと応援してきたのだ。少なくとも初期の「300頭までリスト」だった頃から応援していたのは間違いない。「どうせなら全馬リストをお願いします!」って激励した、克明な記憶がある。そんなサークルが(発展的解消と言ってもいいんだろうけど)無くなると聞けば、哀しくはないけど寂しいよね。卒業生を送り出す先生、娘を嫁にやる父親並みに。
 
 この本は単体としても面白くて価値があるけれど、「長年続けてこそ味が出てくる」と思っていた。そのため、私はいつもいつも「次も期待しています!」と声を掛けていた。諸行無常の世の中である以上、いつかは終わりが来る。それは仕方がない。でも、中山グランプリ殿が「誰も買ってくれない。応援してくれない。寂しいから止める」と感じたので終わるってことだけは避けて欲しかった。それが私に出来る「競馬界への貢献」の1つだと心底信じていた。私以外の常連さんの中にも、そう思っていた奴はいるんじゃないかなあ。
 
 中山グランプリ殿のこの活動は、14年続いた。競馬の歴史全体はもちろん、有馬・宝塚両グランプリの歴史から見た場合、決して長い活動ではないかも知れない。でも、14年だよ?これだけの期間ずっと本を作り続けてきた中山グランプリ殿が偉いのは言うに及ばずだけど、私も「応援し続けて14年」なわけだ。ついつい感傷的なことを書いてしまうのも、ある程度は当然でしょ。
 
 幸いなことに、「中山グランプリ」殿の活動はあと1回だけ続く。だから、「最後の言葉」はその時までとっておこう。今回は、あえて「いつもの」台詞で〆としたい。いつもいつも楽しい本を有り難うございます。次回も楽しみにしているので、またコミケで逢いましょう!