6月11日2009/06/12 01:00

 本日のネタは、比較的平和に科学ネタ。超新星爆発について。あくまで「ひょっとすると」だけど、結構有名な星が超新星爆発するかも…って話が出てきたので、それをお知らせしようかと。
 
 超新星爆発とは、恒星(自前で光る星。太陽とか)の「最期」の1つ。大きくて重たい恒星が、その最期に大爆発を起こして「吹っ飛ぶ」もの。望遠鏡のない昔々は「今まで何もなかったところに、いきなり星が出来た」ように見えたので「新星」と呼ばれている。
 
 この超新星爆発、銀河系全体で考えればありふれた現象である。星の数なんて山のようにあるわけで。ただ、その多くは肉眼で確認できるようなモノじゃなく、専門家にしかわからない。大爆発してさえそんな程度なので、元々の星の状態もよくわからん。超新星爆発ってのは、「そのうち銀河のどこかで起きる」とは言えても、「次はこの辺で起きそうだ」なんてことは、現在の技術じゃわからない。
 
 とはいえ、超新星爆発の仕組みはある程度わかっているので、「いずれ大爆発しそうだ」って星はいくつか見つかっている。もっとも、天文学で言う「いずれ」ってのは数万年以内で…ってな話ではあるけど。それじゃ素人の役には立たないけど、そーゆーモノなんだから仕方がない。
 
 ところがだ。そのうちの1つが、「なんか最近変な動きを見せ始めた」そうな。どうやら、怖ろしい勢いで縮んでいるらしい。恒星が膨らんだり縮んだり…ってのは良くある話で、必ずしも超新星の兆候ではない。今まで知られていなかっただけで、良くある話なのかも知れない。でも、「一般人レベルで考えても近いうち」に超新星爆発する兆候かも知れないのは事実だ。
 
 天文学に興味を持つ人間なら、この時点で「おおっ」と思うはず。でも、一般人には関係ない…ってレベルの話じゃない。この「爆発しそうな星」、かな~り有名で、場合によればド素人でも「あれか」ってわかるような星なのだ。なにしろ、オリオン座のベテルギウスなんだから。
 
 オリオン座のベテルギウス。日本では冬を代表する星座の1つで、そこにあるかな~り明るい星である。「冬の大三角」の1つ。昔学校で習ったから、何となく覚えが…って人は多いのでは。あれが近いうちに大爆発するかもしれないのだ。スゴいでしょ。
 
 この星が超新星爆発したら、どうなるのか?とりあえず、冬の夜空は相当明るくなる。元々かなりよく見える星だから、昼でも肉眼で確認できるくらい明るくなるかも知れない。そういう状態がしばらく続き、その後ベテルギウスは消える。ただ、おそらくは残骸が確認できるはずだ。肉眼でも「暗い、やたらもやもやした星」が見えるんじゃないかなあ。私に言えるのはこれぐらいだ。
 
 そんな星が大爆発して、地球に悪影響はないのか?うーん…有力な推定では、「あんまり影響がない」となっている。ただまあ、天文学者の言うところの「あんまり影響ない」なので、人間とか言う生物種は2割ぐらい減るかも知れないな。天文学とか古生物学とかは「調べている対象が対象なので、その程度のことしか言いようがない」学問だからね。
 
 もっとも…最近の研究では、超新星爆発に伴う「ヤバいモノ」(放射線とか)は特定の方向に強く吹き出す傾向があり、それが何かの偶然で太陽系方向を向いていた場合、地球死滅もあるかもね…って話もある。ま、だからって防ぎようがないので、気にしても仕方ないのでは。
 
 望遠鏡発明以前から名前が付くほど有名な星(当然、数は多くない)が「吹っ飛んだ」例ってのは、とりあえず確認されていない。なんとか原人とかいうご先祖様なら…って話はあるのかも知れないけれど。そーゆー意味では、我々は「今まで見たこともないモノ」を目撃できる可能性がある。もっとも、現時点では「その可能性が否定できない」レベルであり、来る来る言われていながらちっとも起きない、東海大地震よりも遙かに眉唾だと思っていいけれど。
 
 可能性から言えば、今現在地球上にいる人間が「ベテルギウス超新星爆発」を目撃できる可能性は極めて低い。仮に今回確認された現象が「超新星爆発の兆候」だったとしても、「数百年以内に爆発する」(天文学レベルでは「一瞬」だ)ってな話になりそうだし、そもそも「確認されてなかっただけで、実は良くある話」かもしれないからだ。ついでに言えば、超新星爆発確認と同時に人類が滅びる可能性もあるのであって。ただ、永遠不変に感じられる夜空の星が、吹っ飛んでしまう「かも」と考える(心配するのか期待するのかはさておき)のは、アリじゃないかな。今までもそういう話はあった(数万年以内に吹っ飛びそうだって話は知られていたから)けど、多少現実味が出てきたのは確かだから。
 
 今は夏なので、日本ではベテルギウスは観察しにくい。けど、冬になったらすぐに観察できる。流石にそれぐらいは「持つ」んじゃないかな。そんでもって、冬の空に輝く赤い光を眺めながら、諸行無常の思いに浸るのも悪くないのでは。まあ、我々素人に出来る話ってのは、この程度だからして。