5月21日2009/05/22 03:50

 POG資料の検討が忙しく、つい更新がご無沙汰に。いけませんねえ。ちなみに今年のPOGドラフト方針は「ベタで行きます」とだけ言っておこうかと。
 
 本日の話題は、あえてタイムリーに裁判員制度を。私はこの制度に反対ではあるけれど、始まっちゃった以上、文句を言っても仕方ない。「もし自分が選ばれたら、何が出来るのか」を中心に、考えてみようかと。
 
 私は制度に反対なので、できれば裁判員はやりたくない。でも、流石に「呼び出しに出頭しない」といったことはやらないつもり。陪審員制を採用している国もあるくらいだから、「悪法」と言っても、従う義務を感じない…ってレベルではないと思うので。いずれ見直しの機会があるはずなので、その時点で反対を表明すれば良いだけの話だ。まあ、今度の選挙で「この制度を推進した最高裁判官」にペケつけるぐらいはするかもしれないけど。
 
 裁判員ってのは、「呼び出されたら裁判員に決定」ではない。選任手続きがある。ここでハネられればいい。裁判官・検察・被告弁護人は、面談の末「理由を裁判員候補者に告げずに」この人は駄目だと拒否する権利があるのだ。よって、この時点で「どう考えても選ばれそうもない」ことを主張すれば、おそらくは選ばれずに済む。もし「該当する理由がないので辞退は認められないから出頭したけど、どーしても裁判員なんてやりたくない」なんて人なら、この時に真顔でトンデモネーこと言えば、裁判所の方から「帰っていいです」と言ってくれるはずだ。もっとも、「常識的社会人」がコレを実際やるのは、実は結構キツいと思うけど。
 
 一応私は「消極的にだけど、死刑制度には反対」なので、「たとえいかなる事情があろうとも、死刑判決は出しません。」と真顔で言い放つことが出来る。この時点で、よほどのことがない限り、検察側が「外してくれ」と言うんじゃないかな。裁判員制度が適用される事件って、検察の求刑はかなり重い(死刑もしくは無期懲役)はずだし。オマケに「思想信条から裁判員制度に反対」だから、選ばれちゃう可能性は低いんじゃないかと。一応それなりの理論武装は出来ているので、「裁判員になりたくないから言っているだけ」とは思われないんじゃないかなあ。
 
 それでも選ばれちゃったら?まあ、これでも一応は法学部出身だ。仕方ないから、真面目に事件に取り組むしかない。すげー憂鬱だけどね。事件そのものも憂鬱だけど、「証拠品」としてグロいモノ見せられる可能性があるのが憂鬱。事件とマトモに向き合うためには、そーゆーモノ見せられるのも仕方ないと、理屈ではわかるけどさあ…こーゆー感情は被害者にも被告にも「申し訳がない」気がするけど、こちらの生理的な問題だからなあ。「法曹関係者と違って慣れも覚悟もない一般市民に、そんなものと向き合わせるんじゃねーよ」って気持ちはありますね。
 
 ついでに言えば、精神鑑定だのDNA鑑定だのに「シロクロつける」のも、なんかイヤ。こういうモノって実は「クロシロはっきりした答えが出る」とは限らないものだから。マトモに向き合ったら、確実に神経すり減ります。その辺の判断は裁判官に任せればいいのかもしれないけれど、「あの裁判官、実は素人相手だと思ってテキトーなことヌカしてないか?」とちょっとでも疑っちゃったら、地獄道だろうね。後々上訴審で「鑑定結果の判断が間違っていた」なんて言われたら、裁判官の意見を丸呑みしたコッチも気が重い。その可能性は低いと思うけどさあ。
 
 まあ、有罪無罪についてはあまり悩まなくて良いとは思う。割合から言えば「有罪か無罪かで争っている」裁判はあまり多くないはずなので。よほど運が悪く?ない限り「私がやったと認めているので、刑は軽くしてくれ」って裁判になるんじゃないかな。ただ…「どう考えても死刑」って事件だと、ダメモトで「無罪を主張」って例も出る(下手すると裁判員制度のおかげで増える)だろうから、実際問題としてどうなるのかはわからないけど。
 
 もっとも、広い意味での「量刑判断」となると、私の手に負えるかどうか…ハッキリ言おう。「私がやった(から被害者は死んだ)」と、「被告は殺人罪」はイコールじゃない。まず「殺人罪」なのか、「傷害致死」なのかで話はかなり変わるし、「過失致死」だと罪は相当軽い(あくまで殺人と比べてだけど)。この辺の判断は、下手すると裁判官同士でも意見が割れます。そういう難しい事例を「市民の視線で判断して下さい」って言われても…「わかるかそんなの。プロである裁判官が判断することだろ。コッチを巻き込んで責任回避するつもりか」ってのが「市民の視線での判断」だと思うけど。
 
 まあ、「過去に行われた、似たような事件の裁判ではどう判断したのか」、つまり判例はある程度説明してくれると思う。多分どこかで検察・弁護士双方が「自分にとって有利な判例」持ち出して説明してくるはずだし、そのどちらを当てはめるのが「より適切なのか」は、裁判官が理屈付きで説明してくれるんじゃないかな。とりあえずはそれが「判断材料」になるのでは。自力で見つけたか、他人に提示されたのかって違いはあるけど、要はプロも「判例」を重要な判断材料にしているわけだから。
 
 とりあえず、もし裁判員として呼び出しを喰らったら、裁判所や法務省のサイトにある広報用の映像を見るといいんじゃないかと。場合によると、DVDもしくはビデオを送りつけてくるかも知れない。何なら、法務省関連施設か裁判所に電話して「裁判員に選ばれた。資料映像見たいから送ってくれ」と請求すれば、何とかなるような。ある意味では「嘘くささ満載」かもしれない(そりゃーPRで「この判決を一生背負って生きてゆくのか」なんて話はしないからねえ…)けど、参考にはなるんじゃないかと。なお、「裁判員制度に反対する立場の人間が作った映像」がネット上にあるのかどうかは知らない。探せばありそうではあるんだけど。
 
 法律の専門書は…特に読む必要はないと思う。必要なことは説明してくれるはずだし。法律の専門書って、需要が少ないから案外高いんだよ。どうしてもって言うのなら、ア○ゾンの書評で「大学生向け」とある本を選ぶといい。まあ、送料含めても弁護士に法律相談するよりはやや安いはずだ。なお、本屋でじっくり立ち読みして買う本を決めるのはオススメしない。見る奴が見れば「裁判員として選ばれたな」ってわかっちゃう。大学生っぽくないのに刑法の専門書読む奴なんて、他に考えにくい(苦笑)。
 
 実際「呼び出し状」が届くのは、まだ先の話だとは思う。けど、選ばれちゃう可能性はあるんだから、ある程度「選ばれたらどうする」って話は考えておいた方が無難かな。なにせ「選ばれたら、気の重い事件に関与すること確定」だからして。私は一応「オレを選ぶほど、裁判所は馬鹿じゃない」と考える根拠があるけれど、実際どーなのかは…やっぱりバッくれた方が良いのかな(おい)。