3月1日2009/03/02 03:07

 昨日のDASREICH殿との「モスクワ'41」は、心底アホな負け方をした。私は何故か(今思えば、「レッドタイフーン」と混同したんだと思う)「2:1攻撃にはEXがない」と思い込んでおり、反撃ターンに2:1攻撃を仕掛けてしまったところ、見事EX連発。おかげで戦線に大穴が空き、モスクワ占領で敗北。少しややこしい移動をキチンと行っていれば、戦闘比を1:1に下げられたはずなのに…いかんね。とりあえず、「ソレが無くても厳しかった」とは思うけど。
 
 この勝負については、ここまでとする。他に紹介したいネタがあるから。題して、「戦略級ゲームにおける、対仏戦省略」。何で今更こんな話を?それは、昨日ゲームが終わった後の飲み会に理由がある。
 
 細かい経緯は忘れたけど、DASREICH殿が「ポーランド戦以前の占領政策をいじくれば、独が英仏を敵に回さず、対ソ戦を行うことができたのでは?」と提唱してきた。具体的内容については、DASREICH殿が自説を公開した時のお楽しみとさせてもらう。これに対し私は「そうですかね?」というエクスキューズを投げかけ、議論になったわけだ。
 
 まあ、この手の分析ってのは正直難しい。実際起きなかっただけに、「どうなったと思われるのか」には無限の解釈が考えられ、どの解釈がより正当なのかを証明することは難しい。ただまあ、ソレを承知の上で色々夢想してみるのが、「ゲーマーって人種の特権」なんだけどね。
 
 あくまで私個人の意見としては、当時の英仏は「大ドイツ帝国復活は悪夢であり、必要と判断したら対独開戦も辞さず」という態度を取ったと思う(ポーランドを見殺しにしたような連中なので、準備は遅れたと思うけど)ので、結局は似たような流れに落ち着いたような気がする。とはいえ、その裏付けは薄弱だ。少なくとも、事前に下調べが進んでいたDASREICH殿と真っ向張り合うことができるホドじゃない。そもそも、研究次第でDASREICH殿と同じ結論に至る可能性もあるわけで。
 
 そこでまあ、とりあえず「あくまでゲームの中では、対仏戦を省略してのバルバロッサはどうなる?」ってことを分析してみようかと。私はこれでも一応「戦略級ゲームの作戦研究書いた人」なんだし。ゲーム内での扱いがどうなっていようとも、それはあくまでそのゲームの中だけの話だ。ただ、これを分析することによって「デザイナーはどう捕らえていたのか」「史実における問題点がどの辺に出てきそうか」を分析する役には立つと思われる。
 
 戦略級ゲームの古典的傑作「第三帝国(AH)」では、対仏戦省略は無意味である。このゲームは「外国を征服すると独の国力がかなり向上する」ので、仏は放置しておく利益より占領する利益の方が遙かに高い。ただ、それが正しい歴史認識かと問われれば、「どうもそうじゃなさそうだ」という分析を、「失われた勝利」デザイナーの柿崎殿が何度かゲーム雑誌に発表している。
 
 「第二次欧州大戦(SPI/HJ)」ではどうか?残念ながら、私はこのゲームでそんな戦略を提唱した人間は知らない。暗黙のタブーだと思われる。軽々しくプレイできないバケモノのようなビッグゲームなので、そんな「史実の流れを根底からブチ壊す戦略」を提唱する人間がいるとは…とりあえず独の生産力は向上するけど、「第三帝国」に比べれば貧弱なものだと、シミュレイターに掲載された「ある悲惨なる戦い」なる連載記事(これまた柿崎殿の作品)で報告されている。それゆえ、「フランスに行かない」って選択肢もありそうだとは思う(事実、「ユーゴに行く意味なし」がこのゲームの常識)けどね。私も通しでこのゲームをプレイしたことはないし、研究もやったことはないので、これ以上のことは言えない。ゲームをお持ちの方から、「ルールを読む限りではどうなりそうなのか」報告していただけると嬉しい。おそらく政治ポイントの絡みで「フランスには行く必要があった」ような気がするんだけど…
 
 「ドイッチュラント・ウンターゲルト」(HJ/GJ)、「第二次世界大戦」(バンダイ)、「ヒトラー帝国の野望」(翔企画/国際通信社)では、やはり収入面で対仏戦を行う意義があったような気が。この辺、私もうろ覚えである。半年ほど前に軽く参照した記憶があるんだけど、あくまで「軽く」だったので、覚えてないのだ。すいません。ただ、いずれにせよ「対仏戦は行うのが定石…というより、省略したら不利になるだけ」だった気がする。
 
 それでは、「ヒトラー電撃戦」(国際通信社)ではどうか?あくまで私はだけど、「省略可能である」と思っている。なにせ、「後々苦しいながらも戦えちゃいそう」だと発見してしまい、それを前提として「バルバロッサへの道(連載第2回)」「独ソ戦と大陸反攻(連載第3回)」をまとめたんだから。
 
 このゲームは最大の特徴として、「外国を征服しても生産力は一切向上しない」ってのがある。土地を占領されることによって生産力が減ることはあっても、一切増えないのだ。おまけにフランスの生産力は「燃料の生産は英国に依存する」ので、積極的に活用して「独ソ戦の最中にベルリン占領」ってのは少し無理がある。ナリだけデカいけど動きが鈍く、結局独軍に圧倒された仏軍らしさは出ているような。まあ、これはどんなゲームでもある程度再現されているけど。
 
 生産力が向上するワケじゃない、放置しておいても当面の大きな脅威にはならない、だったら無視して問題ない…これが「ヒト電」の仏である。ある程度国境に守備隊を置く必要があるけど、そんなものは「対仏戦終了後、英国がちょっかい出してこないよう」海岸に貼り付けておく部隊のことを考えれば、大きな負担になるワケでもない。
 
 とはいえ、流石に「バリエーションとしてはアリだけど、ベスト戦略とは言えない」という位置付けにしかならなかった。理由は単純、やっぱり「東西に敵を抱える状況」だと、たとえ相手が「補給生産量が乏しい関係上」鈍重な英仏連合軍であっても負担は負担だし、米国が参戦してきて補給が豊かになり、米陸軍が強襲上陸抜きで投入されるようになったら、「たとえソ連を降伏させても、独本土を蹂躙されてゲーム上は敗北」しちゃう可能性が高いから。赤軍プレイヤーが「対仏戦が終わるまでは攻めてこない」と油断していて、米国参戦前に赤軍を崩壊に持って行けそうな場合(実は大いに考え得る)限定の戦略である…ってのが、私の評価。それゆえ、対仏戦は「省略できちゃう」と書いたし、バルバロッサの解説で、赤軍は「早い段階からきちんとした備えが必要→一度構築した戦線は軽々しく前進させられない→引いて守らなきゃ駄目」と書いた。
 
 なお、「対仏戦を省略したあげく、史実と似たような時期に対ソ戦を行う」って作戦も考察してみたけど、私の意見としては「対仏戦を省略するのなら、むしろ早い時期にソ連へ侵攻した方が、赤軍が弱体な分だけ戦いやすいのでは」って結論が出た。このゲームの生産力は独>ソなので、開戦時期を遅らせた方が戦力差は開く理屈だけど、「6:2の方が10:4より戦いやすい」って理屈でそんな結論になった。実はこのゲーム、赤軍の初期戦力は、他のゲームより「すご~く貧弱」なのだ。生産ルールの関係から、そのように調整されたのだと思われる。
 
 とまあ、ゲーム上の位置づけではこうなる。じゃあ、史実において独が対仏戦省略を検討したら、少なくとも「英仏と戦わなくて済むよう」史実以上に配慮したら、どーなったのか?うーん…私は歴史家じゃないので、ロクに調査もしてない段階でそんなコト聞かれても困る。つーわけで、現時点じゃここまで。そーゆーコトは、「鉄十字の軌跡」(シミュレイターに連載された歴史記事。そのうち国際通信社から単行本が出る予定らしい)を書いた大木毅殿とか、「第二次大戦はズデーデン割譲要求から始まったかも知れない」と主張なさる(デザイン中と聞く「新・第二次世界大戦」にもそういうシナリオが?)高梨俊一先生とかに聞くべきでしょ。なんかお二方から「コッチに振るなよ」ってツッコまれそうではあるんだけど(苦笑)。

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