9月12日2008/09/13 00:43

 うーむ、ここに来ての連敗街道は痛すぎる…しかも、頑張ってきた中継ぎ・抑えが打ち込まれての負けだからねえ。まだ試合数は残っているけど、正直CS進出は苦しいな。やはり若い投手がもっと頑張ってくれないと…
 
 というわけで、本日は野球の話題。田澤投手のメジャー挑戦について。先日投球を見てきただけに、やはり気になるものですから。どーなるんだろうね。
 
 まずは、かなーりどーでもいい話題から。どの新聞を見ても「田沢投手」と表記されているんだけど、正式には「田澤投手」らしい。ENEOS野球部のプロフィールにこう表記してあるし、東京ドームの電光掲示板でも「田澤」と表記されていた。これって「気にする奴は大いに気にする」はずなんだけど、何故「田沢」表記なんだろ?NPB拒否の理由が「こーゆーところに無神経な日本のスポーツマスコミが腹立たしい」だったらどーすんだ(苦笑)。冗談はさておき、ここでは「田澤投手」としておきます。
 
 日本のプロ野球を経由しないで、メジャーに行く。実は過去に例はあるけれど、「ドラフトの目玉」クラスとなると初めて。それだけにNPBはギャアギャア騒いでいるわけだ。まあ、アマを管轄する日本野球連盟が容認って方針らしいので、いくら騒いでもどーしよーもないと思うけどね。
 
 田澤投手は通用するのか?うーん…正直、「難しい」とは言っておこう。コトは「いい球投げるかどうか」だけじゃないからねえ。生活などの問題はやはり大きい。なにせ言葉の壁があるし、メシの問題もある。人によっては飛行機移動はかなり苦痛(精神面はともかく、「あの薄い空気がイヤ」って奴はきっといる)だし、時差だって馬鹿には出来ない。メジャーならまだいい。マイナー落ちしようものなら、キツいどころの話じゃないでしょ。田澤投手がこんな環境で力を出せるかどうかは、私には何とも…
 
 実力面ではどうか?うーん…私が観た試合では、球速は確かに速かった。ただ、それだけで通用するわけはない。日本のプロでさえ、「球速だけで抑えられるほど甘くはない」んだし。球のキレとか細かいコントロールについては、さすがに私ごときが球場で1試合観ただけではわからない。ただまあ、「ここぞ!」ってポイントでファールはそれなりに打たれていた(ファールにするだけでスゴいんだけど)ので、おそらくは野茂・伊藤智クラスではない。せいぜいが松阪・ダルビッシュ級だろう…って、それだけやれば充分だろうけど。
 
 単に待遇やゼニだけ考えるのなら、メジャー行きはオススメできない。その辺も含めて考えるのなら、「日本でプロ入り~ポスティングでメジャー」が堅いだろう。まあ、それはおそらくわかっているんだと思う。夢に賭けるのなら、いきなりメジャーがベストってことになるだろうし。そもそも、現在の風潮だとポスティングでメジャーって話は信用できない。スカウトが何言おうとも、結局無かったことにされる可能性が高いからね。ファンもそれを望んでいるフシがあるし。
 
 田澤投手個人のことだけ考えるのなら、「メジャー行きたい!」というのなら、黙って送り出すのが正解のような気がする。仮に通用しなくてマイナー暮らしってことになったとしても、それは本人の決断。周囲がどうこう言う問題じゃないでしょ。同じ日本人としては、メジャーで活躍することを信じて送り出すべきでは?まあ、エアシャカールのキングジョージ挑戦よりは成功する可能性高そうだし(苦笑)。
 
 ただまあ、日本球界…どころか、世界全体の球界を考えた場合、「これで本当に良いのか」悩む余地があると思う。メジャーによるこの手の青田刈りを放置した場合、日本球界が本当に「米球団のマイナー組織」になってしまう危険性がある。そうなれば日本における野球人気が衰退し、結果としてメジャーで活躍する日本人も減ってゆき、最後は野球がマイナー化する…って可能性もあるからねえ。これはメジャー全体にとってもためにならない。「日本市場」を失うことになるので。
 
 また、「メジャーの戦力均衡」って観点からも歓迎しにくい。メジャーはどちらかと言えば「金持ち球団が強くて何が悪い」って主義で運営されているけど、戦力均衡をまるで無視しているワケでもない。好例はレイズ。あのクソ球団が今季優勝争いしているのは、ドラフト順で優遇されるのを利用して有望新人選手を指名して育ててきたのが大きい。どう考えても「岩村のバカが多少治ってきたから」だけじゃないでしょ。でも、金持ち球団が「海外から有望新人引っ張ってくる」ことが当然になってくれば、ドラフト順の意味が薄くなってしまう。
 
 いわゆる「海外への門戸開放」と「国内の保護育成」をどーするかってのは、頭の痛い問題である。何でもかんでも自由にすりゃあいいってものでもないし、逆に鎖国しまくって保護するのが正しいってワケでもない。私は、この点について「ホントーに色々あった」日本競馬界を知っているだけに、余計そう思いますね。多分今の日本球界って、JC開始前の日本競馬界並に「遅れている」んじゃなかろーか。
 
 ただまあ、この問題はいずれにせよ「海外とマトモに向き合う」必要があるんだけど、NPBがそれをサボり続けてきたのは間違いないかな。改革は痛みを伴うのが普通だから、考えたくなかった気持ちは大いにわかるけどね。それに、「何とかしないと!」って部分は一致していたとしても、「具体的にどうする」って部分が一致するとは限らない…どころか、一致しないのが当たり前。しかも、おそらく短期的には不利益も大きい。「どっちへ行っても地獄」ってわかっている中で、「先に繋がる地獄と、滅亡に至る地獄」を見分けるのは、楽じゃないだろうね。「その場に留まり続ける」という、滅亡に至る楽な道があるだけに。
 
 繰り返しになるけど、コトはNPBだけの問題じゃない。「メジャーの横暴」を放置しておくことは、世界全体の野球界のためになりゃしない。野球が五輪から追放されたのは、その一環と考えることもできるんじゃないかな。それどころか、米国球界のためにもならないかもしれない。「素質のある若い奴をバスケやアメフトに取られっぱなし」って話は聞いたことあるし。そう考えると、プロアマ含めた世界的視野で野球を語る必要性が高まっている気がするんだけど、そんなもの語れる奴がいるのかぁ?
 
 日本国内では、野球はまだ人気のあるスポーツだ。よって、色んな意味でまだ時間的余裕はあると思う。ここはとりあえず「人材の育成」から始めるべきじゃないかなあ。プロアマ含めた世界の野球を語れる人物を育成して、日本野球界のお偉いさんに意見具申できるようにする。そこから始めないと、どーしよーもないような。なにせ今の球界には「日本国内限定でも、プロアマ両方語れる」人間が少ないってのが現状だからして。