9月2日2008/09/03 02:28

 本日の話題は、延び延びになっていた「コミケ総括・ゲーム編」を。ただし、とりあえずはスポーツゲーム編から。よって、あえてこの色で。
 
 カタログ見た時点で期待していたとおり、今回は野球ゲームを2種類3つ入手できた。何故2種類3つ?これにはちょっとした事情がある。
 
 ゲームの野球と言えばファミコンの…って路線が一般的なんだろうけど、私は何と言っても「APBA」と「ザ☆ビッグ野球」(以下BIG野球)である。そんなもの知らないって人間のため、少し細かく説明しよう。
 
 この2つのゲームは、今だとカードゲームに分類されるんだろう。12球団の実名入り選手カードがあり、コレを使って野球をやる。大事な特徴としては、1球単位でプレイを解決するのではなく、1打席ごとに解決するってコト。
 
 このシステムを初めて知った時には「乱暴だなあ」と思ったんだけど、プレイしてみると案外違和感はない。1球ごとの駆け引きは味わえないけど、監督の視点に立てばそれがむしろ当然ではないかと。何より、サクサク進むのが楽しい。慣れればコンシューマー系の野球ゲームより早く1試合終わるし。
 
 APBAってのはより古くからあるシステム。原型は米国にあったもので、それのNPB版である。日本だと83~91まで出ていたのかな?色違いの6面ダイス2つを使用する。カードには11~66(普通「イチイチ」「ロクロク」と読む)の36個の「打撃結果(1~40の数字のどれか)」がある。片方のダイスを1の位・もう片方を10の位としてダイスを振り、出た目をカードに当てはめて打撃結果の数値を求める。その数字をランナーの数ごとに分類されたチャートに当てはめ、具体的に何が起きたのか結果を出す。言葉にするとややこしいけど、慣れればすげー単純なシステムだ。
 
 それじゃあ投手の良し悪しが表現できない?投手はグレードってものがあり、それに従ってヒットをアウトに変えることが出来る。他に四球が少なかったり多かったり、三振が多い、ホームランが多い少ない…といった特徴がある。
 
 このゲームの特徴は、「単純」ってコトに尽きる。慣れればゲーム進行が早い…どころか、数字の意味をあっさり覚えることが出来るので、普通の人には意味不明な数字の羅列を見ただけで「良い選手」なのか「駄目な選手」なのかわかる。「今年の落合はニーニーも3かよ」「松永はサンゴーも24かぁ。相変わらずだなあ」なる、部外者には意味不明な呪文を毎年のように唱えていたものだ。
 
 BIG野球は、一応その「続き」として出た。基本的な考えはAPBAと似ているんだけど、APBAがダイス一振りだけで1打席解決だったのに対し、こちらはまず投手のダイスを振り、「絶好球」「打ち頃の球」「打ち取れる球」「ボール球」「三振捕れる球」のいずれかを求める。次に打者カードの「該当する球が来た時の打撃欄」を見て、ダイス振って打撃結果を求める。ちなみに使用するダイスは20面。普通の人間は見たこと無いと思うけど、私はたくさん持ってます(苦笑)。
 
 実は野球ボードゲームってのは他にもあったんだけど、メジャーなもの(あくまでこの世界でだけど)となるとこの2つになる。何故なのかは、正直よくわからん。ちなみに発売元はホビージャパンって会社。この会社が野球ゲームから手を引いたことは、先日の一件(8/17参照)に匹敵する「恨み」である(苦笑)。ま、当時と違って今だと選手会に払うカネがタイヘンだろうから、出し続けるのは無理があるとは思うけど。
 
 私は、コミケでこの手の野球ゲームを扱っているサークルを発見した場合、原則として買う。他人とプレイする機会は正直無いけど、それでもね。ソロプレイはできるし、何より「観賞」してるだけで楽しいから。それに、こういう存在は「絶滅させてはいけない」と思うんだな。多少なりとも「次もコミケで売ろう」って気持ちを強くしてもらうため、とにかく買う。
 
 私がコミケで「2種類3つ」購入した理由はココにある。APBAの方はともかく、BIG野球は2サークルが出していたのだ。しかも、すぐ隣で。ドコをどう考えてもどちらか一方だけ、安い方を買えば良かったんだろうけど、サークル保護という観点からすれば両方買わないと。そーゆーことやるのが私である。
 
 さて、せっかく2つ買ったんだから、この両者を比べてみよう。理屈から言えば、両者はほとんど同じハズである。だってそうでしょうが。NPBの打撃成績なんてものは年度ごとに1種類しかない。それを同じゲームに「落とし込んで」いるんだから、大きな違いが生じたらオカシイことになる。まあ端数処理の問題はあるだろうし、守備力(実はさほど重要ではないけど)や投手のスタミナ(かなり重要)なんかは製作者の主観が色濃く出るので、まるきり同じとは思えないけど。
 
 ところがだ。比べてみると結構違う。いやまあ全体としては一致している部分が多いんだけど、細かく違うのだ。一番目立つのは、「右対右」「左対左」に関する処理かな。オリジナルのこのゲームは右対右・左対左は「とにかく投手が有利」になるよう設計されていたはず(デザイナー殿が力説してたのを聞いたことがある)だけど、これが片方は緩和されているようだ。
 
 私は「自前のBIG野球カードを制作可能」なほど、このゲームに詳しくはない。よって、オリジナルに近い求め方をしてるのがどちらなのかはわからない。基本概念自体は簡単なので、多少のズレを覚悟すれば「自前のカード」を作れるはず。よって、片方が「オリジナルに近い左対左の概念を持っている」からって、全部オリジナルに忠実とは限らないのだ。
 
 こうしてみると、やっぱりこの手の野球ゲームって「職人芸」なんだなと思う。基本部分は単純な数値処理だとしても、細かい部分はやはり製作者の個性が反映されるのでは。理想を言えば「コレこそが正規版だ!」ってモノが欲しいけど、選手会にゼニ払えそうもない現状では無い物ねだりでしょ。だとしたら、どれが正規版に近いかはあまり気にせず、とにかく「今いる職人」を大切に保護するしかないのでは。乱立は乱立で困るけど、どーせ「山ほどいて困る」って状態じゃないんだから。
 
 ちなみにだ。APBAやBIG野球の需要ってのは「少ないが、ゼロではない」はずであり、別に私が保護意識を持たなくてもやっていけると思われる。買う奴は何だかんだ言って毎年欲しがるはずなので。でも、そういう馬鹿が増えてくれると有り難いのも事実。この話題に「完璧について行ける」人間には、保護活動に加わって欲しいですね。ただ、「そのためにコミケという名の地獄へ堕ちろと?」って聞かれたら困っちゃうんだけど(苦笑)。