10月13日2007/10/14 02:44

 昨日は暗い話題になったので、同じテーマで明るい話題に行ってみよう。題して、「新規ゲーマーはドコで探すのか」。ま、あまり本気にしないで下さい。
 
 新規ゲーマーなる存在を見なくなって久しい。生き残っている大学サークルもあるらしいので、軽々しいことは言わない方が良いのかも知れないけど…でも、「周囲のドコを見渡しても70~80年代にこの趣味始めた連中」って現状では、少し考えた方が良いのは事実。ま、これ自体はいつも私が主張してることだ。
 
 ここで問題になるのは、「どんな奴をこの趣味に引きずり込むのか」だ。そこらの道歩いている連中を片っ端から連行して、「独ソ戦」やらすわけにはいかないでしょ(笑)。なんとか「この趣味に興味持ってくれそうな奴」を発見し、そいつらを騙して…ってのが基本となるはず。そこで、そんなバカは今現在何を趣味としているのか、ちょっと考えてみた。なお、一応中・高・大学生を対象としているモノとします。こんな連中のことは良く知らないんだけど。
 
 私にとって、今時の中高大学生なんてエイリアン並に理解不能である。周囲に大学院生が山ほどいるんだけど、これがまた昔の学生とは異質な存在で…ってのは、あえて深く考えないこととする。そりゃあ違う点ばかりだけど、共通点もあるはずだから。囲碁・将棋が多少の浮き沈みがありつつも「新規参入者」が枯渇して困ったって話は聞かないところを見ると、ボードシミュレイションゲームを始めようって奴がいても不思議はないのだから。
 
 まず候補となるのが、「歴史に興味がある奴」かな。日本史もしくは世界史にかなり詳しく、時代によっては授業を受ける前から「知ってるよ」って状態の奴。大河ドラマなどの影響で、日本の戦国時代にむやみやたらと詳しい…なんて奴はいても不思議はないでしょ?こういう奴を引きずり込むことを狙ってみる。
 
 実を言えば、私はこの見解にあまり賛成しない。母数こそ多そうだけど、多分そのほとんどがゲームに興味を示さないと思われる。理由は単純、こういう連中は結構「受け身」なのだ。大量に与えられる小説やドラマを楽しむだけなら、受け身でも何とかなるからね。ボードシミュレイションゲームは対戦型の趣味なので、ある程度主体性を持った奴(平たく言えばワガママで人の話聞かない奴)でないと付いて来れないと思うんだな。別に歴史好きだから受け身なのではなく、対戦型ゲームを趣味としそうな程度に主体性を持った人間が「抽出」されていないってこと。これは巨大なハンデだと思うなあ。
 
 さらに言えば、最近の大河ドラマは昔と描き方がかなり変わってきていて、「舞台背景以外は普通のドラマ」に近くなってきている。よって、大河ドラマ好きだからって闘争本能旺盛ではありません…って奴の割合が多くなっているような。ここにゲーマーを求めるのは、そこらの道歩いている奴にゲーマーの資質を求めるのと似たような困難があると思う。資質のある奴の割合が少なくてはねえ…
 
 似たような連中ではあるけど、「ミリメカ(ミリタリーメカ。戦車や戦闘機など)好き」の方が多少はマシではないかと思う。この分野に興味がある奴で「俺の手で動かしてみたい…」って欲求を持たない奴は、むしろ少な目だろう。これはある種の主体性があることを意味する。初期においてこの趣味を普及させたのは、本質的にプラモデル雑誌である「ホビージャパン」だったことを考えれば、むしろ王道はこれかもしれない。
 
 ただ、難点はある。その昔々と異なりコンピュータ技術が発展した関係上、「そういう」欲望はPC・コンシューマーゲームで満たすことが可能になった。こういうゲームは「敵味方がクソバカ」という欠点があるんだけど、そんなこと気にしない連中が多そうだからねえ…ただ、指揮官・司令官といった「上の話」に関する知識を仕入れる機会も多いはずなので、より「一般人」に近い(と私は思っている)歴史ファンより多少マシかも知れない。
 
 「ゲーマーとしての資質が…」なんて言うのなら、最初からゲーマーを相手にすればいいじゃん。そういう意見はある。少し難しいボードゲームやカードゲームをプレイする若い連中はちゃんといるんだから、そーゆー連中を育成すれば…確かにそれは正しい。実は私もこの系列に属する。「超人ロック」はシミュレイションゲームではないからね(笑)。
 
 ただ、冷厳な事実がある。こういう「より一般的な」ゲームをデザインしたりプロデュースしてる連中の中には、少なからず「この趣味」を知っている奴が含まれている。いやまあ、歴史雑誌だのプラモ雑誌だのにも「この趣味知ってる」奴はいるはずだけど、あまり表に出てこないからねえ。それやこれやから考えると、今まで採り上げた分野より「門戸が開放されている」はずなのだ。にもかかわらず、参入者はほとんどいない。
 
 なんでそうなるのか?色々分析してみた結果、この趣味には必然的に存在する「不公平」が気に入らないようなのだ。有利不利どころか、「攻撃側と防御側が存在する」ことすら違和感があるらしい。うーむ。ただ、言われてみればわかる気もする。ボードシミュレイションゲームでは、勝ち負けは対戦相手とだけ競うモノではなく、「史実と比べてどれだけ頑張ったか」って視点が存在する。たとえマップ上の状態がボロボロでも、「ナポレオンより長くパリを守った」となりゃあ喜ぶし、相手を圧倒していても「アイゼンハワー(英米連合軍の最高指揮官。後に米大統領)よりライン川渡るのが遅かった」となりゃあオカンムリだ。こういう知識に乏しい場合、「不平等が当たり前」のシミュレイションゲームに違和感を抱くのは当然かも。
 
 とまあ、どのジャンルも「問題アリ」と指摘したわけだけど…考えてみればこれは「当然」である。昨日、私は「ボードシミュレイションゲームはヒストリカル性・シミュレイション性・ゲーム性のバランスだ」って話をした。そして、ココで採り上げた趣味にハマっているってことは、いずれも「どれか1つを際だたせたもの」を求めてるってことになる。歴史好きはヒストリカル性を、メカ好きはシミュレイション性を、ゲーム好きはゲーム性を追求している。それらを「弱め」て「他の要素」を加えたモノに対し、どれだけ魅力を感じてもらえるのか。
 
 誤解しないでもらいたいんだけど、私はここで「ボードシミュレイションゲームなんてヘンなものを趣味にしてるのは、どっかオカシイ奴だけ」と主張したいわけではない。歴史好き・メカ好き・ゲーム好きの中に、自分がやってることに対しある種の違和感を抱いている奴はきっといる。ごくごく少数だろうけどね。本来なら、そういう連中が「自然と」この趣味に流れてくるはず…というより、そうならなければイケナイ。なのに、現状そうなってない。
 
 なんでそうなのか?まず糾弾されるべきは、外部への説明不足でしょ。「この世にはこーゆーモノがあるんですよ」ってことが知られていない。ただ、それを「宣伝広告費を出せない、ビンボーな業界が悪いんだ」で片付けては駄目だ。「しょせん理解されない」ってことを口実に、我々個々のゲーマーもまた宣伝をサボっては来なかったか?まあ、細かくは追求しないけどさ。
 
 もっとも、参入候補者側にも問題はありそうだ。「さほどの苦労なく入手できるモノ」、実質的には「単に与えられたモノ」で我慢してないか?我々ゲーマーの間に漂う「ある種の諦め感」から推測する限りの話だけど、そんな奴は結構多いと思うなあ。ジジイばかりの現役ゲーマー(何しろ私が若手である)と「今時の若者」を比較するのは問題なんだけどさ。
 
 私がたまに「初心者獲得」を主張するのは、「潜在的にボードシミュレイションゲームを楽しめそうな奴が、この世界の存在すら知らない・知ってても始めるとっかかりを掴めない」って状態を「もったいない」と思うからだ。私がゲーマーなのは、別に私がゲーマーとして優秀だったからではない。単にその存在を知る機会があったからに過ぎない。言ってみれば単なるツキの問題だ。今現在そんな機会があるか?正直言おう。私が現時点で高校生だったら、シミュレイションゲーマになってないと思う。私だけではない。軍神を含む全てのゲーマー(私なんぞより相当ディープな方々)であっても、この趣味を発見できるかどうか疑問だね。
 
 そりゃあね、総論としてはともかく、具体的なことになると私も「そこはそれ…」で逃げ回ってはいる。それじゃイカンと言われればそれまでだし、「みんなそれでいいんだよ」と言われれば納得してしまいそうだ。けど…いわゆる「出戻り」だけ相手にしていればいいって発想はどうかと思うのも事実なんだよね。
 
 結局のトコロ、我々が新規ゲーマーを獲得できないのは「ある種の排他性」ではないかと思う。これはどんな分野にも存在するけど、メジャーなモノはそれを打ち破るパワーがある。しかし、ボードシミュレイションゲームにそのパワーはない。何か打開策があるとすれば、この排他性を弱めるよう努力するしかないんだろうけど…難しいよね。でも、他に手があるとでも?
 
 こういう排他性を弱めて考えれば、ボードシミュレイションゲームを趣味としそうな奴は、そこら中にいると思う。いや、確かに確率はやたら低い。けど、資質を持った奴は色んなトコロにいるんじゃないかと。大切なのは、そういう人間に出会いの機会を与えてやるコトじゃないかな。「新規ゲーマーはドコで探すのか」って問の答えは、「ドコにでもいる。そう見えないのは、我々がカベを作っているから」としておこう。それではどうすりゃいいのか…えーと、とりあえず道行く人に無理矢理ゲームやらせてみるのはどうかな?1万人に1人ぐらいは「面白い、もっとやりたい」って言ってくれるんじゃないかと。後は残りの9,999人から訴えられるのをどうにかするだけだ(笑)。