10月1日2007/10/02 01:33

 マルコメのGⅠ制覇はいい。問題は香港に向かうのかどうか。行けば間違いなく、「マルコメ~!」という、現地民には全くもって理解不能なヤジが飛ぶ。恥ずかしい話だなあ。なお、暮れの香港に行きそうな日本人は山ほどいるけど、本当にこんなコト叫びそうな奴は自分自身しか知らない(笑)。
 
 マルコメ&アストンマーチャンを差し置いて、本日の話題は「ゴドルフィンの世界制覇」について。先月語るつもりだったのに、延び延びになっていたからなあ。ある意味ワケわからん話題なので、注意して下さい。
 
 私に言わせれば、ゴドルフィンは悪である。その理由は、競馬界だけとはいえ「世界制覇」をたくらんでいるから。この野望を持ってる奴は、何であれ悪と呼ぶに値する。
 
 ただし。迎え撃つ社台グループもまた「悪」なのかは微妙。こっちはとりあえず日本制覇を目指している(達成したって話はあるけど)けど、世界制覇と違って日本制覇は悪と呼ぶべきかどうかビミョーなんだな。これは単なるスケールの問題じゃない。
 
 世界制覇が何故悪か?世界ってのは、単純に言って色んな価値観に満ちあふれている。「日本の常識、世界の非常識」なんてのは、ごく当たり前のことだ。世界制覇ってのは、この価値観を1つに塗りつぶすことを意味する。これは確かに悪でしょ。日本は「1つの価値観に塗りつぶされるのが悪いこと」なのかビミョーな国だから、社台の野望も微妙となる。
 
 なんでゴドルフィンは世界制覇なんて考えているのか?私にもよくわからん。とりあえず目先のゼニカネの問題ではなさそうだ。その他色々と考えても、なんか違う気がする。結局のトコロ、「世界を制覇してやるのだ!」という、ある意味ガキっぽい野望が全てなのかもしれない。
 
 ゴドルフィンが世界の競馬界を支配するとどうなるのか?単純に言って、ドバイの殿下が「いい馬だ」と思う馬が、かなりの高率で世界中の大レースを制覇する。ただそれだけ。ただ…これは、ある意味とてつもないコトである。
 
 その昔英国のチャーチル首相は「ダービー馬を所有するのは、首相になるより難しい」と言ったそうな。これが真実かどうかはともかく、この手の名誉ってのは確かに入手しにくい。ある意味では市場経済原理に反しているから。どんなにカネ積もうとも、「ダービー馬の馬主」って権利そのものを買うことは出来ないからね。
 
 いやね、確かにカネ持ちはダービー馬の馬主になりやすい。カネにあかせていい馬買いまくっていれば、そのうちダービー馬をツモる可能性が高まるわけで。そもそも、ダービー出走馬の半数以上を「自分の馬」にしてしまえば、数年以内にダービーは獲れるでしょ。しかし、そのためにかかる費用は「何でそんなことしなくちゃイケナイのか」説明が必要なレベル。「カネを出せば、値段相応の品が手に出来る」という市場原理の基本法則(あくまで基本)を超越してるレベルではあると思うね。
 
 ましてや競馬である。競走馬ってのは、ある意味市場経済原則にケンカ売ってるような商品だ。「値段の高いクズ」が山のようにいやがる世界だからなあ。野球やサッカーでも時々「値段の高いクズ」の話が出るけど、正直競走馬に比べたらよほど計算できると思うな。人間と違ってカネの価値理解してないクセに、機械と違って繊細ときてるからねえ。「世界制覇」の野望を満たしたいって言うのなら、スペインかイングランドのサッカーチーム買収する方を選んだ方が手っ取り早いと思う。
 
 にもかかわらず、何で競馬界制覇?うーん、これはやはり何かしら独特の美学が関係していると思われる。そこから先になると、この私にも理解不能だ。ドバイの殿下の気持ちがそこまで理解できるんんなら、私は今頃こんなことしてない。ダーレージャパンの一員として働かされてるでしょ(笑)。現代表でさえ、どこまで理解しているのか未知数だってのに。
 
 そんなゴドルフィンを迎え撃つ「世界」の方だけど…とりあえず、欧州競馬は半ば乗っ取られた(苦笑)。ま、クールモアがいるから完全制覇はできてないようだけど。ガリレオについては良く知らないけど、モンジューはスゴい奴だからなあ…あいつの一族に「ギャフンと言わせたい」って気持ちに関しては、ドバイの殿下は私に匹敵するんじゃないかと。ファンタスティックライト様が当人にトンコロ喰らい、エレクトロキューショニストが息子にひねられたからねえ。ただ、「使っちゃイケナイ金」吸い上げられた私だって恨みは深いけど(笑)。
 
 欧州はともかく、問題は日本だ。ゴドルフィンは日本乗っ取りに成功するか?うーん…案外何とかなりそうな。このままで行けば、軽く乗っ取れちゃうレベルにまで日本競馬が落ち込みそうなので。むしろ、乗っ取られた方が日本競馬のためかもしれない。それぐらい日本競馬界は病んできているからねえ。まあ、今回は深く踏み込まないけど。
 
 とはいえ、冒頭でも述べたように、ゴドルフィンは本質的には「悪」だ。簡単に屈しちゃイケナイはずである。これは「心情的にはゴドルフィンの手先」である私にもわかる。わかるけど、「ゴドルフィンは悪だ、悪だから追い出さなきゃ」なんて理屈だけで追い出せると思ったら、多分間違いだ。仮に追い出せたとしても、そんな理屈だけでゴドルフィンを排斥しているようじゃ、日本競馬に未来はない。
 
 じゃあどうしろと?まあ簡単に言えば、ゴドルフィンに対抗しうるモノが必要だろうね。真っ向勝負して勝つとか、「ゴドルフィンの馬作りの理屈」に対抗できる馬作りの理屈とか。少なくとも「ゴドルフィンの力を借りなくても今の日本競馬を立て直す」ことぐらいはできないとマズいんだけど…
 
 その昔、ある調教師は著書の中で「日本馬が外国馬に挑戦するなんて無駄だ。そこには大きな差があるのだ」ってな趣旨のことを書いた。でも、それに続けてこうも書いている。その差は縮めることが可能だと。そういう努力をしている者こそが残っていくのだと。うーん、やはり「鍛えて最強馬をつくる」(故戸山調教師)はいいこと書いてあるよねえ。日本馬が海外で勝つなんてさほど珍しくはなくなったけど、それでも決して時代遅れな発言ではないと思う。ゴドルフィンと「戦う」ことになった昨今、日本の競馬関係者はこの言葉をもう一度深く噛みしめる必要があるんじゃないかな。
 
 なお、私は心情的にはゴドルフィンの手先であり、最終的には日本がゴドルフィンに屈することを心底望んでいる。体にゴドルフィンブルーの青い血が流れていないのが悔しいぐらいだ。だからこそ日本競馬には頑張ってもらいたいんだよ。ボロボロですぐ占領できちゃうような日本競馬界を征服して何が楽しい?やはりここは、ライスシャワーに交わされながらも最後まで踏ん張って2着死守したミホノブルボンのごとく、見事な抵抗を見せてくれないと。し・か・し、最後に笑うのは必ずや殿下である!日本の競馬関係者は、その日が一刻でも遅くなるよう、せいぜい頑張るがいい。わはははは…