5月3日2007/05/04 03:25

 昨日も更新予定だったけど、長電話のため中止。なお、最近の若い者は「5分で長電話扱い」するって話を聞いたことあるけど、ココで言う「長電話」たあ、2時間を軽く超える。まあ、それが私だ。
 
 本日の話題は、某マンガで思いっきり暴かれてしまった、「法科大学院卒業生の進路」について。いや別に隠していたワケじゃないけどさあ。本来私はこの問題にタッチしてないけど、まあとりあえず語ってみましょうかね。
 
 大方の人は知らないし興味もないだろうけど、今現在「司法改革」なるものが推進中である。裁判員制度の導入なんかがその一例だね。もちろん、法科大学院なるものを作って司法試験制度を改めているのもこの一環。これはいい。
 
 ところがだ。こういう改革にありがちなことだけど、いじった結果とりあえずうまくいってない…ってな部分がある。それが就職問題。今現在、司法試験受かったけど職がないという「就職浪人」が発生中なのだ。大変だね…って、オレは他人事でもないんだけど。
 
 何でそんなことに?話は単純。各大学が景気良く法科大学院を作りまくり、生徒を山ほど募集した結果、「徐々に増やす」って計画があっさりと崩壊したから。この辺、法務省と文科省の間でワケわからんバトルがあったらしい。なお、この結果「法科大学院卒業生の7割が新司法試験を通過する」という見込みが完全崩壊した(今年の予想合格率3割…)けど、これについては割愛する。
 
 新司法試験合格した、その後の研修(義務づけられていて、一応落第もある)も通過した、ここまではいい。ただ、最後にもう1つ難問が控えていたんだな。それが就職である。新司法試験によって資格を手にした奴は増えたけど、求人はあんまり増えてなかったんだな。まあ、ある意味当然なんだけど。
 
 どれぐらい厳しいのか?確か昨年度の司法試験合格者の場合、有効求人倍率は0.6ぐらいって話があったような。実際はどうだか知らないけど、苦労してるのは確からしい。みんな頑張って就職活動しているとは思うけど。ただ…そのしわ寄せが今年度以降(去年より合格者が増える予定)に来るのは間違いない。思いっきり就職冬の時代である。
 
 司法試験合格したんなら、独立して仕事すればいいんじゃない?そう思う人もいると思う。けど、そりゃあ無理・無茶だ。ドコの誰が「資格持ってます」ってだけで実績もコネもない奴を弁護士として雇うって?信用と信頼が必要な業種だけに、「資格持っています」ってだけじゃ単なる役立たず。場合によると「企業内の法務担当者(資格無し)」の方がよっぽど頼りになる。資格なんてそんなものでしょ。
 
 一般的な「弁護士の就職先」ってのは、まあ弁護士事務所である。デカいところなら社員感覚で弁護し雇うし、小さいところでも「居候」(実際には給料もらう)として置いてもらって経験と人脈を育成する(これがイソ弁)ことができる。弁護士事務所ってのは思いっきり「民間」だから、国の思惑より目の前の景気の方が大事だ。つーわけで、資格持つ奴は増えたけど求人は増えなかったわけである。
 
 まあ、今は結構景気が良い。求人自体は結構あるようだ。しかし…司法試験受かったのに、「営業として採用されました」「事務の仕事やります」ってなわけにはいかんでしょ。裁判官だの検事だの(公務員である)の数を増やすって話もあるけど、これまた簡単にはいかないでしょ。そもそも法務省は、こんなに合格者増やすつもりはなかったって噂があるし。
 
 しかもだ。笑えることに、法科大学院は大っぴらに就職活動支援をしてない。大学の「就職課」にあたる部門は、おそらくどこにも存在してないのだ。何で?カラクリはこうだ。大学生の場合、普通就職活動は在学中に行う。つまり学生の活動だから大学として支援しても問題はない。それに対し、法科大学院生は卒業してから新司法試験を受け、司法修習(落第付き研修のこと)受けた後に就職活動開始…となる。つまり、あくまで「卒業生」扱いであり、その支援には色々と問題があるんだな。実際は色々と動いているんだけど、しょせん陰からの支援、限界は思いっきり低い。
 
 希望があるとするなら、企業絡みかなあ。コンプライアンスがどーた、情報公開がこーだといったことが問われてきているので、「法務部門強化するか」って方向に行きそうだからね。ただまあ、これも「将来」の話になるかねえ。今現在での話を考えたら、法務部門に「しか」使えなそうな司法修習生より、色々使い回しが効きそうな「法学部を良い成績で卒業しました」って奴を採用して法務部門に入れた方が便利そうな気がするし。
 
 なおこの就職難、ここ数年間は「悪化し続ける」ことが確定している。新司法試験合格者は徐々に増えてゆく予定だからねえ。遠い将来はうまく回るんじゃないかと予想されているけど、それがいつになるかは…真面目な話、「営業やってます」「とりあえず事務に回されました」って司法修習生が誕生するかも。それどころか、「とりあえずの食い扶持確保のため、派遣やってます」って奴が出てくるかもしれない(笑)。
 
 ちなみに、私にとっては最後の例は笑い事ではない。今現在、私は法科大学院で事務の仕事をしている。私の部署はちょっと特殊なところで、「なんか院生みたいな」仕事が多い。法律に関する知識は、あるに越したことはない。ま、「なんちゃって法学部出身」でも務まる程度ではあるけど。
 
 そうやって考えてゆくと、「諸般の事情により、司法修習生なのに派遣になっちゃいました」って馬鹿が登場した場合、今の私の地位はそれなりに魅力的でしょ。とりあえず法律知識は無駄にならない。休み時間などに法律雑誌(私の部署に常備してある)を読んでも文句は言われない。先生方(実務講師含む)との接点も多い。イソ弁になったら事務仕事の一部を押しつけられるのは確実だろうから、「無駄な経歴」になならないんじゃないかなあ。少なくとも「将来法務部に回してやる」って口約束を信じて一般企業で営業や事務やるのとどっちがマシか、真剣に考慮する価値はあると思うな。
 
 そんな奴が登場した場合、私の職がピンチである…つーより、誰かそんな奴出現してくれ。いつでも代わってやるからさあ。喜んで。何で単なる派遣である私が、あんなことやこんなことをやらねばならんのだ!色んな意味で私に取って代わるのは大変だと思うけど、司法修習生なら文句は出ない…んじゃないかな。いやあ、これで私は「いつ辞めても大丈夫」ってことだな。良かった良かった。GW明けからバックれちまうか(おい)。

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