1月17日2007/01/18 03:33

 むうう…「新たな雑誌を読んでみよう」キャンペーンに、重大な変更事項が生じてしまった。計画の前面見直し決定。おかげで、開始がかなり遅れる見通しです。来月ぐらいからかなあ。つーか、4コマ誌にこんな巨大な「見落とし」があったとは…ブツブツ。
 
 だからってワケじゃないけど、今回は番外編を。昨日創刊された無料配布コミック誌の「GUMBO」(以下「ガンボ」)を一応読んだので、これについて語ります。一応このネタなりに真面目にいこうかな。
 
 まずは率直な結論から。私にはまるでヒットせず。残念ながら次は読まない可能性が高い。そう言いながら読んじゃうかもしれないのが私ではあるけど、その可能性は薄いなあ。こーゆーものを受け取るストレスの方が勝るからねえ。
 
 ただ、これは私固有の問題が大量に絡んでいる。個人的信念として「広告収入に依存した無料誌」は好きになれないし、そーゆーモノを受け取る「ストレス」に弱い。私はタダ配りのティッシュでさえ受け取るのイヤがるからねえ。マンガヲタクだってことを差し引いても、高い評価は与えにくいんだな。その点を考えると、私がこの雑誌を語るのは間違いと言ってもいい。
 
 さらにだ。この雑誌は「若いサラリーマン」をターゲットにした雑誌と思われる。駅で配ってる無料誌を受け取りそうな連中は…って考えたら納得できるし、掲載作のラインナップからもそんな感じを受けた。既存の雑誌で言えば「スピリッツ」「バンチ」あたりが似たような路線で、「モーニング」「イブニング」「アクション」なんかは対象年齢ちょっと上か?ってなもんだ。それはいいんだけど、正直私はこの路線が苦手で…「スピリッツ」「バンチ」は毎週読む必要を感じないぐらい。率直に言って趣味が合った路線じゃない。
 
 こうした事情を考えれば、私にヒットしなかったからって「ガンボ」が駄目とは限らない。この点は多いに強調しておきたい。結局のトコロ、「面白いかどうか」なんて己自身で決めるモノ。私がココでこんなこと書いたからって、「じゃあ読まなくていい」と判断されるのは、私の信条に反することだ。このネタに興味があるのなら、是非自分で読んでもらいたい。
 
 ただ…「なんじゃこれ」と思っちゃったのもまた事実。だって、一番面白いのが村上もとかの「岳人列伝」再録だよ?そりゃあ不朽の名作で、いつ読んでも面白いけどさあ。雑誌としてコレをやっちゃうのはどうなのよ。目玉連載と思われる江川達也の「坊ちゃん」は予告編だけ。創刊号と言うより、創刊準備号だこりゃ。いくらタダだからって、出鼻は大事だと思うんだけど。
 
 連載開始作品についても、言いたいことは多い。大事な巻頭カラーページを飾るのは、野球マンガ。その次に来るのは、麻雀マンガ。それ自体はいい。けど、これが両方とも「問題のある」作品でねえ。面白いつまらないを語る以前に語るべきコトがある。
 
 まず野球。敵役ではなさそうな近未来のホモサピエンスが、何の説明もなく191kmのタマ投げるのはイカンだろ。野球ってのは日本人にとって相当身近なスポーツであり、球速を見れば誰でも「超人」「プロのトップ」「良いプロ」の区別が付く。191kmなんて、どう考えても超人の領域。何の説明もなくこんなタマ投げられると、嘘臭さが漂ってしまう。はっきり言って、シラける。
 
 マンガに超人が出てくるなんて良くある話だから、別にこういうタマを投げること自体が嘘臭いとは言わない。けど、そこには説明責任がある。「モーレツな特訓の末に会得した」とか、「そもそも我々の知ってるニンゲンじゃねえ」とか。いきなり投げるのが許されるのは、主人公が勝ち進んでいった末に現れるライバル(この場合、主人公の活躍が説得力になる)と、正統派ギャグマンガのキャラ(これは何でもアリ)だけでしょ。
 
 この作品はSF入っていて、対戦相手は宇宙人。アイデアとしてはそれもアリだとは思うけど、だったら相手の宇宙人が「人間なんて相手にならん」ところを、絵でしっかり見せるべきだ。松坂レベルの投手をメッタ打ちにするとかして。その後紆余曲折あって見つけてきた奴が投げる…ってんなら、まだいい。何の説明もなく「宇宙人VS超人」を見せられても、「宇宙人VS宇宙人」の対戦を見せられるようなモノで、盛り上がれないではないか。
 
 キリがないので、麻雀にいこう。これまた地味に作品数が多いだけに、生半可な作品じゃ通用しないジャンルだ。麻雀マンガの最大の特徴として、「メインとなる闘牌シーンが、実は地味」ってのがある。そりゃあそうだ。動きには明白な限界があるからね。ここを突き抜けたケッ作が「風の雀吾」って作品で…ってのはおいといて、麻雀マンガの主人公及び敵役には、この図式をどう崩すかが求められる。
 
 そのための手法ってのはいくつかある。語り出すと長いから省略するけど。けど、ガンボ掲載の作品にはその工夫が弱い。「特定の牌とやたら相性が良い」ってだけじゃあ…路線としては「哭きの竜」を目指してるのかも知れないけど、あれは主人公及び斬られ役のキャラがブッ飛んでるから面白いんであって、あの領域に達するのは容易じゃないぞ。あの路線で行くなら、もっと主人公または斬られ役がブッ飛んでいないと駄目だ。
 
 実のところ、こうした問題点は「話の本筋」とはあまり関係がない。言ってみれば枝葉である。けど、「リアリティ」とか「キャラのインパクト」ってのは、そうした細かい演出が重要でしょ。「面白いつまらないを語る以前」と言ったのは、これが理由だ。感情移入できなかったり、凄みを感じないようでは、本筋が台無しである。ちょっとした工夫でいくらでも治せる性質の問題なんだけどね。
 
 これは、まあ確かに漫画家の責任も大きい。ちゃんと勉強してくれって話になるからね。ただ、私がむしろ問題にしたいのは編集かなあ。こういう演出上の問題は、指摘次第でかなり改善できるはずだから。これって編集の仕事じゃないのか。そうした仕事ができてないのであれば、ちょっと問題だと思うぞ。
 
 私が無料誌を嫌う理由は、「カネ取れるモノを作る」って覚悟が不足してそうな点にある。それじゃあ身内用ブログ(正直言おう、ココも多分そうだ)とどこが違うんだ?アマチュアでさえ、同人誌作って売れば「カネ取れるモノを作る」厳しさを知ることができるってのに。無料誌には無料誌の難しさがあるとは思うけど、少なくとも今回、私はそれを感じ取ることができなかった。それが私の意見である。
 
 まあ、私ごときがこんなこと指摘したって無意味だとは思う。ただまあ、淡い期待と「ま、こんなものか」というヌルい妥協だけでズルズルとツマランもの世にタレ流されるのは、ちょっとイヤ。ジャンルがジャンルだけに、「オレには関係ない」で片付けたくはないね。それがヲタクの心意気ってモノだと思うな。よって、ガンボはもう手に取らないでしょ。悔しかったら号数重ねて人気作品をだし、コミックス創刊してみろってんだ。それをカネ出して買っても、私は何1つ後悔しないから。

コメント

_ はねだ ― 2007/01/18 13:04

>さらにだ。この雑誌は「若いサラリーマン」をターゲットにした雑誌と思われる。駅で配ってる無料誌を受け取りそうな連中は…って考えたら納得できるし、掲載作のラインナップからもそんな感じを受けた。既存の雑誌で言えば「スピリッツ」「バンチ」あたりが似たような路線で、「モーニング」「イブニング」「アクション」なんかは対象年齢ちょっと上か?ってなもんだ。それはいいんだけど、正直私はこの路線が苦手で…「スピリッツ」「バンチ」は毎週読む必要を感じないぐらい。率直に言って趣味が合った路線じゃない。

 これについては、いろいろとあるので今度呑んだ時にでも。

 ちなみに上記5誌の読者年齢層順は若い順に、
 モーニング、スピリッツ、イブニング、バンチ、アクションのはずよ。

_ F男 ― 2007/01/22 23:53

スピリッツ・バンチ・アクションの位置づけについては私も自信持って言えるんですよ。けど、モーニングとイブニングについては…年齢層うんぬんではなく、別の「棲み分け」がある気がしますね。

モーニングに関しては、当初は「若いサラリーマン向け」という明確なターゲットがあった気がしますが、今はかなりワケわかんなくなってると思いますよ。

ちなみに、私は「若いサラリーマン向けとは言い難い」マンガが多いモノほど好みです。

_ はねだ ― 2007/01/23 11:36

 了解。意見が違うのが面白いしね。
 反論書いても、お互い終わらなくなっちゃうからこの辺で。

 この続きは呑み会で、よろしく。

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