11月28日2006/11/29 02:54

 昨日は色々あって更新できず。なので、JC回顧をココで。ま、やはり回顧しておかないとイケナイと思うので。一口持ってる誰かさんには申し訳ないけど、今日はJCDはうっちゃります(苦笑)。
 
 ディープインパクト雪辱で盛り上がるJC。しかし、私の本命はハーツクライ。当たり前だ。そこまでする覚悟がなけりゃ、去年有馬記念でこの馬買わないっての。正直駄目そうな気は大いにしたんだけど、知ったことではない。
 
 駄目そうな気がした理由は1つ。ディープインパクトがマトモに走ったら、かなわない。けどねえ。だからってディープインパクト買ってるようじゃ、駄目なんだよ。それを言いだしたら、キングジョージのハリケーンランの方がもっと「ヤバかった」んだから。相手が何であろうとも、惚れた馬から買う。これは大事なことなんだよ。少なくとも私は、その昔テンジンショウグンって馬に「買ってないとどーなるのか」イヤってほど教えてもらったからなあ…
 
 しかしである。ハーツクライは全く競馬せず。明らかにオカシイ。勝った負けたの問題じゃない。正直、「飛ぶときは派手かもね」と思ってたので、3着以内に来なかったことは仕方ない。けど、あの負け方は明らかに「私の知ってるハーツクライ」じゃない。
 
 事前に報道された「ノド鳴り」(病気の一種)が原因かどうかは、何とも言えない。おそらくはそうじゃないかと思うけど。調教でしっかり動いていたのにアレだからねえ。単にヤル気が出なかったって可能性もあるけど、だとしてもあれは一過性のモノじゃないでしょ。とりあえず、有馬記念で勝負にならないのは間違いないと思うね。
 
 ハーツクライのあの負け方は、なんか「重なる」光景がある。私が原居民様を最後に観たレースだ。勝ち負けはともかく、いつもいつも私の目の前ではしっかり走っていた原居民様が、この時は全く競馬にならなかった。これと同じモノを観たような気がする。
 
 そりゃあね、原居民様とハーツクライじゃ色々違う。原居民様はとっくの昔に全盛期を過ぎ、惨敗したところで「ああ、やっぱり」と言われて終わり。そもそも当たり前じゃないかと言われれば、その通りだ。さらに言うなら、あの時は調教の動きからして悪く、「これはひょっとして…」って思いは強かった。その意味では、「ハーツクライはまだまだ頑張れるんじゃないの?」って意見があるのもわかる。
 
 けどねえ。うまく言えないけど、あれは駄目だと思う。表面的な負け方がどうこうじゃなく、馬から受ける「雰囲気」がそう言ってる。原居民様も最後はそんな雰囲気を漂わせながらゴール板を通過した。やる気がなくなったとか、今回はたまたま能力の限界だったとか、そんな甘っちょろい負け方じゃない。私が「もう駄目だから引退しますってのは、ココまでやって初めて言えることなんだなあ」と感じ入ったときの原居民様と同じ雰囲気だよ?あそこから復活があるんなら、原居民様だって復活できたと思うね。
 
 私も競馬歴そこそこ長いだけに、いわゆる「奇跡の復活」ってのも何度か観た経験がある。けど、あの状態からの復活はない。ライスシャワーもああいう状態じゃなかったし、ホワイトストーンも同様。テンジンショウグンでさえ、ああいう「死に方」じゃなかったなあ。強いて探すなら、最後の有馬記念直前のオグリキャップか?ただあの頃は競馬始めたばかりなので、オグリがどうだったのか見抜く目はなかったんだよな。私は無根拠に「まだ死んでないと思う」なんて言ってたけど。
 
 ハーツクライがああなっちゃたのは、辛いねえ。応援してるしてないを別にしても、すごーく辛い。文字通り「芸術作品が壊れてゆく様」を観てることになるからねえ。サラブレッドは走るからこそ美しい。引退した馬みたいに「いかにも走れない姿」を見るのならあきらめもつくけど、表面上まるで変わらないのに、いきなり「走れなく」なっていくのは…ガラス瓶が砕け散るよりも、よっぽど劇的だと思うなあ。
 
 ただまあ、それもまた競馬である。応援してる馬がこんな姿になるのは、できれば観たくないけど、いつか観てしまう。それはイヤなことだし辛くて哀しいんだけど、それでも素晴らしい光景でもある。好きな馬・応援してる馬って言うのなら、できればそこまで見届けたい。そーゆーものじゃないかなあ。
 
 ハーツクライはどう考えても「引退後の生活」ってモノがあり、その都合で現役続けかねないのは事実。なにせ今引退すると、ディープインパクト・ロックオブジブラルタル・ファンタスティックライト様に混じって「初年度配合相手」確保しなくちゃいけないからねえ。いっそのことどっかに売った方がいいんじゃとも思うけど、あの(実質的な)馬主がそんなこと考えるとは…仮に引退するとしても、有馬記念には花道として出てくるかも。けど、それらは全てオマケだね。あった方がいいのかない方がいいのかは一口に言いがたいけど、本質的には「どーでもいいこと」じゃないかな。多分、強いハーツクライはもう観られないんだから。
 
 強いハーツクライが観られないのは、ちょっと寂しい。けど、ハーツクライには大事な仕事がある。その魂受け継ぐような子供を作り、ハリケーンランの魂受け継いだ子供を撃破することだ。しかも、アスコット1.5マイルで。それが血統のロマンってものでしょ。言葉にするとちょっと安っぽいかもしれないけど、「あのモンジューの息子を打ち破ってくれ!」って期待をかけた馬なんだもの、そこまで期待しなくてどーする。
 
 というわけで、ハーツクライには単に「これから頼むぞ」とだけ言っておこうと思う。そしてだ。強い息子ができた暁にはアスコット競馬場で、引退してゆくハーツクライには言えなかった台詞を叫ぶのさ。そう、「カネ返せ!」と(笑)。