8月21日2006/08/22 01:26

 世間一般ドコでも取り上げてるネタだけど、それでも触れずにはいられない。早稲田実業、甲子園制覇おめでとう!
 
 実を言えば、私の母校と実業は「同志であり、ライバルでもある」関係。早稲田高校だからね。「大学早稲田何するモノぞ!」ってな顔であの辺をうろついてきた我々にとっても、やはり実業早稲田の生徒は特別でした。
 
 そりゃあ、硬式野球に関しては比べものにならないほど実力が違う。けど、「早稲田」って名前の魂を背負っているのは、大学よりもむしろ我々と実業だ…ってな思いはあったんですよ。学力がどうとか、スポーツの成績がこうとかだけでなく。
 
 言うまでもなく、実業早稲田の野球部は「早稲田スピリット」の権化である。強い弱いの問題じゃない。地元も外様も関係なし。どんなに野球が上手くても、学力足らなきゃ容赦なく落とす。実は我が強くて長いモノに巻かれるのを良しとしないクセに、いざという時の団結力は強固きわまりない…「らしくない勝ち方をするぐらいなら、らしく負ける」覚悟が足らない大学なんかより、よほど早稲田って名前に相応しい。それが早実野球部だ。
 
 特に素晴らしいのが、エースの斎藤君。早実のエースたるもの、打たれもしないのにマウンド他人に譲るなんて許されないでしょ。そりゃあ効率考えたら、駒大苫小牧の田中君みたいに、適度に控え投手に投げさせて…って方が正しい。でも、それは実業早稲田のエースには相応しくない態度だ。他の何が負けても、「オレが投げるんだ!」って気持ちだけは相手投手に劣っては駄目。ついでに言えば、外見と態度も素晴らしい。スマートな外見とクールな態度に熱いハート。まるでマンガだけど、それを要求されるのが早実のエースって生き物である。
 
 今では早稲田界隈から移転し、共学になり、初等部まである早実。ある意味大きく様変わりしている。ただ、その程度で失われるほど「早稲田魂」は甘っちょろいモノじゃない。同じ「早稲田」を背負う者としてそれを疑ったことはないけど、こうやって形になるのはやっぱり別格だねえ。しかも、球史に残る決勝引き分け再試合の末、3連覇がかかる駒大苫小牧相手に勝っての優勝ですよ。嬉しくもあり、「負けたなあ」って悔しさもあり…うん、やっぱり独特ですねえ。
 
 早実の伝統は勝ち負けよりも重い。でも、負けたらやっぱり心底悔しい。そりゃそーだ。早実の伝統は、「勝ちたい!」って気持ちが他に劣ることを許さない。負けてヘラヘラしてるようじゃ、早実野球部の名を背負う価値がない。伝統の名の下に不利な野球を展開し、負けて心底悔し涙を流す…これが早実魂だと思うな。
 
 だからこそ、早実が勝つと美しいのである。有利だからって油断しない。不利だからって投げ出さない。ただひたすらに己の力とチームメイトと早実の伝統を信じて、それで勝負に勝つからたまらないのだ。そして、今年の夏は最後の最後まで美しいままだった。いやあ、サイコーだね!
 
 まあ、私は「早稲田」を背負うには相当役者不足である。そんな奴の応援なんてどーでも良かったんだとは思うけど、やっぱりね。うんうん、改めておめでとう!