特別編 英国旅行記2006/08/02 02:55

 帰ってきました。英国から。いやもう、今回は大変でした。全部自業自得なんだけどさあ。ま、それもまた旅の醍醐味ってことで。
 
 チケット確保が遅れたため、「本当に行けるのか?」って状態だったのが2週間前。1週前になってやっと航空券確保。でも、宿がない。どーすんだおい。しばし考えた末に、現地確保を決心。無謀だ…でも、それが私。前日に荷物詰め込んで、手荷物1個で出発。
 
 長い長い禁煙タイムの後、着いちゃいましたヒースロー空港。今年の英国は暑かった。でも、日本と異なり日陰では涼しい。空気が乾燥しているんだな。さて、宿を確保すべく…と、ここで問題1号発生。クレジットカードの「ピンナンバー」の控えを忘れてしまった…クレジットカードなんてサインすりゃいいだろ、と思っていたところ、最近は「ナンバーなしじゃロクに使えない」と教えられる。な、なにぃ~!ゴネまくってみたところ、アメックスの両替商なら対応してるというので、やっとの思いで現金を手にする。いやあ、ヤバかった。多少日本で換金しておいて、本当に良かった…皆さんも気をつけてください。
 
 問題その2。上記の騒ぎを起こしてる最中、アタマがクラクラしてへたり込む。暑さ+冷や汗+旅行疲れにより、軽い貧血を起こしたのだ。自分としてはさほど問題ないんだけど、周囲に思いっきり心配されてしまった。いやだからさあ、ミネラルウォーター確保するのもドキドキものなんだって。
 
 しかしだなあ。この後生じた問題に比べれば、こんなのトラブルのうちに入らない。地下鉄で移動中、何だか知らないけど運転停止しやがった。車両動かないどころか、駅封鎖。当然周囲は大騒ぎ。でも、私は多少余裕ある。別に「行くべきトコロ」あるわけじゃないからね。とはいえ、バスが来ない。待てど暮らせどバスが来ない。事情考えれば当たり前だけど。
 
 ここで私は考えた。このままロンドン市街に出ても、そこで宿を探さなくてはいけない。ならば、ここでとりあえず1晩過ごしてもいいではないかと。ただ、問題は留められた場所。Boston Manorとかいう、「ドコをどう見ても住宅地」。日本で言えば、Middle-Earth東京支部の例会やってる井荻に似てるかも。宿なんてあるんか?と思って駅員に「宿はあるか」と聞いたトコロ、「ココを15分歩け」などと言われる。ビミョーな距離だね。
 
 ただまあ、着いたホテルは中当たり。料金安め。シャワートイレ付き。バストイレ共同のボッタクリすら覚悟していたからなあ。疲れてるので、とにかくそのまま寝る。コレで初日終了。
 
 2日目。寝起きのアタマで必死に考える。とりあえず宿は見つけた。けど、このまま泊まり続けるべきかどうか。料金は合格。市街でこの料金の宿は、探すの苦労するレベルでしょ。設備・環境は悪くない。特に、夜静かなのはナイス。でも、駅から遠い。駅自体もヘンな位置にある。どうするべきかねえ…最終的に決め手となったのは、食。朝食がイングリッシュブレックファースト(たらふく食える)で、近くにコンビニモドキがあったから。朝食と夜食で苦労しなくてイイってのは、大きいと判断した。
 
 余談だけど、このコンビニモドキはかなーり割安だった。ロンドンはとにかく自由価格なので、ほとんどのモノが買う場所ごとに値段が異なる。宿の傍に「安い店」があるってのは大きいよ。交通経費の元は取れたかも。
 
 初日の目当てはRECING POST(競馬新聞)の入手…じゃなかった、観光。競馬が主目的とはいえ、相手がロンドンだとやるコトも多い。まず向かったのは、ロンドン自然博物館。その昔恐竜図鑑で見た標本が、山ほど展示してある。いわゆる「恐竜化石」は、常設展示で見た方がいい。日本の臨時博はどうしても混むからねえ。現地のガキが結構いたけど、日本の「恐竜博」とは比べものにならん。じーっくり観察してきました。まさに至福。
 
 個人的なオススメは、魚竜化石か。山ほど展示してあった。印象よりは小さいんだけど、それを確認できたことが感動モノ。ハナくっつきそうな距離でじっくり観察してきました。日本の恐竜博じゃ、こんなことできっこない。くっそお、1つ持ち帰りたかったなあ。あれだけでご飯3杯はイケるね!
 
 続いて向かったのは、お隣のヴィクトリア&アルバータ博物館。大英博物館ほどじゃないけど、かなりデカい。「戦後のファッション」なんかも展示してある。ま、一番良かったのはやはりラファエロかな。ルネサンス三傑はやっぱり違うよ。
 
 最後に向かったのは、近くにある陸軍博物館。ここは戦車だの飛行機だのと言った「ハデな」展示物は少ないけど、資料的価値は高い。特に、「ワーテルローの戦い」関連は充実してる。やはり英国にとって重要な勝利だったんだな。戦況図なんかは「知ってるよ」ってものだけど、こーゆー場所で見ると改めて感動します。やはりあれだな、ベルギー行って実際の戦場見たいなあ。しかも、馬に乗って。
 
 1人旅のいいところは、とにかく何の気兼ねもなく行動できる点にある。私にしてみればこの3カ所は「絶対外せない場所」なんだけど、誰が同行してもどれかしらに引くでしょ。**さんだと自然博物館でアクビしそうだし、○○さんだとヴィクトリア&アルバータ博物館で「早く次行きましょうよ」連発しそうだし、△△君は軍事関連まるきり駄目だし。フツーなら妥協とか配慮とかも重要だと思うけど、大ロンドンでそんなことやってられっか!
 
 2日目。競馬の日。だけど、その前にロンドン水族館へ。競馬場へ向かうウォータールー駅の傍だから。ものの本によると、英国人博物学者が水槽使って「海水魚の観察」をしたのが水槽飼育の始まりだとか。歴史と伝統だけはあるわけだ。そんなわけで突撃してみたんだけど…かなり楽しかったんだなこれが。
 
 技術的に感心したのは、クラゲ。結構デリケートで飼育が難しいって聞いたことがあるだけに。日本の水族館でも案外珍しいと思う。あと、エイが可愛かった。元々「水底でじっとしてるだけで、ちょっとつまらん」と思っていたんだけど、活発に泳ぎ回っているとかなり楽しい。特に、鼻先を水面から出してる姿にはグッとキましたねえ。淡水産エイは日本の熱帯魚屋でも扱ってるはずなので、今度じっくり観てみようかな。でもアナタ、ココの「トップ」は、何と言ってもアジアアロワナでしょ。アジアアロワナは養殖物しか入手不能なので、フツーはカラフルな連中しか拝めない。これはこれで素晴らしいけど、白色でドデカイ奴の素晴らしさと言ったら…ラファエロの絵・戦車・戦闘機などなどをさしおいて、今回盗んで帰りたかったモノ筆頭である!
 
 そんなこんなで予定時間を少しだけオーバーした関係上、切符買ったら列車乗り遅れ。切符買うのに時間かかるってのは前回の経験で知っていたけど、今回はさらに時間かかっちゃいました。痛い…と思っていたところ、さらに列車事故で臨時停止。さすがに青くなりましたね。予定通りなら1レースに間に合うはずが、到着したのは3レース直前。ただ、この事故で「お詫びの品」としてミネラルウォーター配っていたのは感心した。この配慮は悪くないね。もっとも、そんなモノ用意してるカネとヒマがあるんなら、列車止めるな。
 
 やっとの思いでたどり着いたアスコット競馬場。駅から競馬場への道を覚えていたのは笑ったな。でも、スタンドは観たことない。大改装されていた。改装されていたのはスタンドだけじゃなく、馬場も。記憶にあるより坂が少し緩やかになった気が…それに、芝が短い!以前より少し「トンデモネー」感が薄くなっていた気がする。
 
 大きく変わったのは、観戦エリア配置。通常エリアとプレミアムエリアの2種類になっていた。ちなみに、通常エリアで25ポント(5千円以上!)もします。プレミアムエリアは売り切れだったけど、いくらするものなのやら。ダフ屋(「プレミアムチケット買うよ~」と叫んでる)から買うことも少しだけ考えてしまった…
 
 驚いたのは、パドック。通常エリアなのに、パドックがある。へ?それじゃあプレミアムチケットの連中は?と思ったら、昔のパドックがプレミアムエリア用になっていた…いやまあ、言いたいことはわかるんだけど、なんかおかしくねえか?ちなみに、通常エリアにあるのが「メインパドック」らしい。
 
 肝心の馬だけど、ハーツクライは「あんなもの」だと思う。うーん、JC・有馬記念の時よりは少し悪かったかな。でも展開向かなくて参考外の秋天ぐらいの出来にはあったと思う。むしろ問題は相手。ハリケーンランは良く見えた。前走の様子知らないけど、これでプライドに負けたとはとても思えない。それより良かったのはエレクトロキューショニスト。パドックの出来だけは1番だったような。
 
 馬券は…ハーツクライの単勝。だってそうでしょーが。ハリケーンランは、プライドに負けたのも気にくわないけど、何よりモンジュー産駒だよ?前回英国に来たとき、「リベンジしてやるぜ!」って吼えた私にとっては、立派なカタキ。意地と威信に賭けて買えない。エレクトロキューショニストは…いやまあ、天才の馬は世界中ドコでも買えるから(笑)。そう思いつつオッズとパドック見ていた時、アタマの中で「ブチッ」って音がして、気がついたら単勝握ってました。
 
 そうこうしてるうちにレース開始。展開は…ハーツクライはちょっと控えめ。ペースメーカーがいたので、控えたのかぁ?ただまあ元々追い込み馬なんだから、それも悪くはない。直線は3強の叩き合い。結果どうなったのかは、日本でも報道されたでしょ。1着ハリケーンラン。2着エレクトロキューショニスト。ハーツクライは3着だった…声がかれるほどさけんだんだけどねえ。
 
 内容は「惜しい」の一言かな。直線半ばで一旦先頭だったんだけど、そこから伸びきれなかった。結果としてちょっと早仕掛けだったかも。ハリケーンランは強いねえ。親父のモンジューに勝るとも劣らない、いい馬だと思う。でも、じゃあ何で前走よりによってプライドに負けたのか、今でも納得出来ん。エレクトロキューショニストは…馬自体の力や状態がどうこうより、やっぱり鞍上の天才でしょ。最後にグッと伸びて2着を確保するところが「天才の天才たる所以」だね。やっぱり天才のワザは違う。私が「海外競馬観戦」なんてものを趣味にしてる理由の1つが、この天才の技量見たさだからね。
 
 しかし、惜しかろうが何だろうが負けは負け。馬券は紙屑に…ちょっと待て。この金額は何だ。予定の倍額なんですけど(マジ)。計算するとだなあ…この後のレースはただ眺めてました。だって、カネないんだもの!日本なら笑い事だけど、海外でコレやっちまったのは、ファンタスティックライト様に「もし負けたら晩飯代もナシ」ってカネ張り込んで以来。あの時は勝ったから良かったんだけどね。とはいえ、後の馬券代程度で済んだのは良かった。
 
 3日目。メシ代がちょっと寂しいけど、朝食多めなので問題なし。向かった先は帝国戦争博物館。ここは戦車だの飛行機だのが置いてある。まず出迎えるのは、戦艦に搭載されていた15インチ砲。かなりデカいけど、戦艦陸奥の主砲を知るこちらにとってみれば、「思ったよりは小さかった」ってのがホンネかな。中に入るといきなり戦車が出迎える。独のヤークトパンター、赤軍のT34/85、シャーマン通常型にチャーチルにマチルダ。でも、一番感心したのはマ-クIかなあ。英国が開発した、世界最初の戦車。性能的にはゴミなんだろうけど、「コレが発展していったんだな」と思うと感慨深い。
 
 そのまま上を見上げると飛行機が展示してある。スピットファイアMkI・フォッケウルフA-8・P-51Dといった連中。やっぱかっこいい。もっとも、それらをさしおいてランカスターの機首部分に燃えていたって話はあるけど。妄想の中で爆撃手になって、テルピッツに1トン爆弾の照準合わせてました(笑)。
 
 この後は大人しく?テート・モダンとテート・ブリテンという美術館へ。面白かったのはモダンの方かな。日本じゃやたら評価の低い現代美術だけど、いいものはいいと思うんだけどなあ。特にカンディンスキーは…と思ったらカンディンスキーの特別展(入場料高い)やっていて、その関係からかカンディンスキーの展示は1つのみ。でも、他も面白かったよ。こういう作品はぼーっとアタマ真っ白にして眺めて、「おっ」と思えたらそれでいいと思うな。映像系の作品なんかも展示している。
 
 テート・ブリテンはイマイチ。私の「お目当ての品」は大半がモダンの方に行っちゃったからね。でも、ターナー(英国の有名な画家)は確かにイイ。万人向けの絵だし。ただまあ、そこが物足りないところでもあるんだけど。
 
 帰国の際はちょっと緊張しました。こんだけトラブル続きだったんだもの、また何かあるんじゃねーかと思って。でも、平和に帰国。これはこれでツマンネーぞ(笑)。もっとも、飛行機に間に合わなかったらシャレじゃ済まないわけだけど。
 
 旅行全体の感想としては、「リベンジならず!」の一言だね。エアシャカールのケツ追いかけていって、モンジューの前に沈められた前回と似た結果に終わったワケだから。その息子であるハリケーンランを倒して雪辱を…って思いがあったんだけど、リベンジならず。くそう。ただまあ、カタキが強いってのはそれはそれで嬉しいモノ。今度は、ハリケーンランの産駒相手にリベンジを挑むだけの話だ。こーゆーのもまた「血統のロマン」だね。追いかけるのはすごーく大変だけど(笑)。
 
 諸般の事情により、どうも凱旋門賞は行けそうもない。今回ハーツクライが勝っていればわからなかったけど(笑)。ディープインパクトVSハリケーンランは見応えありそうなんだけどなあ。でもまあ、いいんだ。世の中なんてそんなものだから。休みの取りやすさとかもあるけど、私はそれも含めてハーツクライに賭けたんだから。結果は残念なモノだったけど、それもまた競馬の楽しさ。いつかリベンジしてやるから、覚えていろよハリケーンラン!