10月11日2005/10/12 01:05

 野球の話題。青木がついに200本安打達成とか、館山が10勝したってのも大事だけど、あえて他球団の話題にしよう。このサイトの趣旨には反するけど、旬の話題である村上ファンドの阪神電鉄株買収を語りましょ。
 
 去年近鉄バファローズが勝手に合併を宣言し、「球団保有の意義とは」が問われていた昨今、ある意味究極の球団買収策が炸裂した。親会社を買い占めるって手段だ。理屈の上では可能だったとはいえ、改めて直面すると衝撃ですねえ。
 
 私の知る限り、今のプロ野球機構にはこれに対する対応策が存在しない。するわけない。親会社の交代にはいくらでもケチをつけることができるけど、親会社の経営そのものには口出しできるわけがない。やるとすれば除名だけど、阪神タイガース除名を望む奴なんて誰もいない。阪神電鉄が防衛に成功するんならともかく、買われてしまったら本当に打つ手がない。
 
 ファンはどうか?これまた打つ手がない。結局プロ野球ってのは「企業所有のスポーツ団体」であり、親会社の意向には逆らえないってのが「常識」だからだ。去年あれだけファンが騒いだにもかかわらず、近鉄はバファローズ「売却」ではなく「合併」を押し通した。これがいい例だと思う。
 
 プロ野球機構にしてみれば、親会社買収ってのは「想定外」だろう。親会社ってのは一応「日本を代表する企業」であり、そんな企業を買収するなんて、できるわきゃないと思っていたに違いない。もはやそんな時代じゃないんだけどね。買収されそうな球団は他にもあると思うぞ。私が思うに、ヤクルトってのは多少危ないんじゃないかと…球団がどうこうじゃなく、世界規模の健康飲料水メーカー統合に巻き込まれそうで…
 
 今のところ「阪神タイガース株上場」がどーたらこーたらと騒いでいるけど、これはどう考えても枝葉である。阪神電鉄が防衛に失敗したら、阪神電鉄の経営権が乗っ取られる。こうなってしまえば、阪神タイガースの経営権もセットで乗っ取られる。極端な話、電鉄事業その他を全部売り払うか子会社に移し、タイガース経営に専念されたらどーすんの。経営権さえ握ってしまえば、後は本当にどうとでもなる。なってしまう。
 
 この問題で一番責められるべきは、阪神電鉄経営陣である。何を根拠に「自分達が買収の対象にならない」と思ったのか?今の時代、そんな保障はドコにもない。フツーの会社の経営陣として考えても問題がある。ましてや「公共財」阪神タイガースのオーナー会社なのだ。自身の独立性には人一倍気を遣う価値があったはず。自覚足らないだろ。
 
 ま、かく言う私自身も意識が低かったと反省している。阪神電鉄買収ってのは、本来驚くようなニュースじゃないはずだ。その昔バブル経済華やかなりし頃、タイガースは正直弱かった。その当時冗談交じりに「関西財界が親会社ごと球団を買収して立て直す」って噂があったのを覚えている。こう言っては何だけど、阪神電鉄って会社は「その程度」の経営規模だったわけだ。それを思えば、いつかこんな話が出てきても不思議はなかったんだよな。
 
 まあ、阪神ファンが不快感を覚えるのはわかる。私も「ライブドアスワローズ」の悪夢に怯えたわけだし。ただ…私の記憶が正しければ、阪神のフロントってファンの間からも文句言われてなかったか?いわゆる「星野改革」以降はともかく、それ以前の補強なんかは文句たらたらだったような気が…村上ファンドが何考えているのかはともかく、長期的視点で株価つり上げるつもりだとしたら、マトモな球団経営する可能性があると思うけど。
 
 ここであえてプラス思考をすると、今回の騒ぎはフロントという「いくら文句を言いたくても手を付けられなかった領域」に、ファンの声が反映するチャンスなのかもしれない。「フロントがアホだ!」って叫んだ経験のない野球ファンって、少ないと思うんだけど。ここにファンの声が反映するってのは、ある意味野球ファンの悲願じゃなかったっけ?それを思えば、今回の騒動はあながちマイナスばかりじゃないような気がする。
 
 今回の騒動に関しては、感情的で擁護しにくい意見も山ほど存在する。その代表は「阪神の株買って、もし弱かったら損しちゃうじゃないか!」ってのがある。それのドコが悪いんでしょうか?言っては何だけど、競馬じゃそれが当たり前の話。そのリスクを承知の上で一口馬主やってる奴が、どれだけいると思っているのか。私は一口馬主はやってない(やる気はない)けど、馬に惚れて追いかけて騙されるなんて日常茶飯事。当然大損ぶっこいている。株を買う、出資するってのはそーゆーことじゃないか。それがイヤなら、株買わなきゃいいだけの話。優勝したのに株価下がったってんなら、話は別だけどね。
 
 もう1つアホらしいと思うのは、「よりによってシリーズ前に公表しやがって」ってもの。確かに褒められた話ではないけど、コトが親会社絡みである以上、仕方ないじゃないか。親会社ってのは野球に専念してるワケじゃないんだから。去年ダイエーと西武絡みのニュースはシリーズ直前でもちゃーんと流れていた。球団保有に関する部分は手加減してたみたいだけど、それはあくまでニュース流す側の事情。そう考えれば、文句言っても始まらないのでは。
 
 今回の騒動は、ある意味日本球界にとって未知の領域である。それだけに不安が大きいのはわかる。わかるけど、場合によってはプラスになることも考えられるのだ。私は別に村上ファンドを応援するつもりはないけど、阪神フロントの味方をする気にもなれない。その狭間で揺れる選手・監督だのファンだのには同情するけど、それとコレとは別じゃないかな。
 
 日本球界が変わらなくてはならない、ってのは長年言われていたことだ。ここに来て色んな意味で風穴が開いてきてると思う。ただ、変化ってのはどうしても「プラスだけ」ってわけにはいかない。中間段階ではどうしても悪い面も出る。大切なのは最終的な帳尻を合わせるコトじゃないかな。村上ファンドが何言うにせよ、まさか全タイガースファン、全プロ野球ファンを完全に敵に回すことは出来ないはず。ここは落ち着いて冷静に変化を受け止め、「駄目なモノは駄目、いいものはいい」と見極めていきたいと思う。スワローズのファンにとっても他人事じゃないんだから。

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